平田 幸司 院長の独自取材記事
ひらた内科・内視鏡クリニック
(札幌市中央区/苗穂駅)
最終更新日:2024/12/13

2024年10月、札幌市中央区の創成イーストエリアに立つマンション1階のクリニックモールに開業した「ひらた内科・内視鏡クリニック」。平田幸司院長は、北海道大学医学部を卒業後、道内の市立病院や大学病院で消化器内科の医師として研鑽を積んできた。特に、膵臓・胆道のエキスパートとしてさまざまな疾病に対応し、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医、日本消化器病学会消化器病専門医などの資格も持つ 。同院では、超音波内視鏡検査の技術を生かして、膵臓がんや胆道がんの早期発見・治療のために尽力している。「専門的な診療で地域医療に貢献したいです」と、語る平田院長に、診療への熱い思いを聞いた。
(取材日2024年10月30日)
頼れる街の開業医をめざして消化器内科の道へ
医師をめざした理由を教えてください。

小さい頃に小児喘息で、近くのかかりつけクリニックにお世話になっていました。そこの先生が頼もしくて格好良くて、憧れていましたね。僕の理想とする「頼れる街のお医者さん」の原点です。また、父が医師でしたので、成長するにつれ医師を身近な職業として意識するようになりました。医学部に入学した兄が楽しそうだった、というのもきっかけの一つかもしれません。もともと大学入学後は、研究ではなく臨床に行くと決めていました。なるべく幅広く診ることができる診療科が自分の理想の医師像と合っていると考え、専攻は循環器内科、消化器内科、消化器外科に絞りました。初期研修先もその3つの科がある病院を選び、最終的に消化器内科に決めたのは、指導担当の先生の影響が大きかったと思います。消化器内科は食道、胃、大腸、肝臓、膵臓と守備範囲が広く、内科的な治療に加えて手技も多く、幅広く専門的に診ることができる点にやりがいを感じました。
胆道・膵臓のエキスパートをめざしたターニングポイントはありましたか?
年齢を重ねるとがんは発生しやすくなりますが、早めに見つければ治癒をめざすことが可能です。しかし、膵臓がんは、なかなか症状が出づらいため早期発見が難しく、見つかった時には転移が進んで抗がん剤も効きにくいというケースが多い、難治がんの一つなんです。その膵臓がんになんとか立ち向かいたいと、亡くなっていく患者さんを見て思うようになりました。胆道がんについても同様で、この思いが自分の消化器内科の医師としての進路に影響を与えたと思います。大学病院では各診療科の中でさらに特定の専門分野を持ち、グループに分かれて診療をしています。私は胆道・膵臓について専門的に勉強したいと考え、北大消化器内科の胆道・膵臓グループに入れてもらい、胆道・膵臓の病気の患者さんを中心に診療し、研究にも従事いたしました。知識も深まり内視鏡技術も上達し、有意義な経験ができたと考えています。
どのようなきっかけで開業を決意したのですか?

総合病院でいろいろな診療科の医師と協力したり、先輩後輩と相談したりしながら進めるチーム医療はとても魅力的でした。しかし一方で、専門的に勉強してきた膵臓がん・胆道がんに関する知識と技術を使って、自分にしかできない社会貢献をしていきたいと考えるようになり、超音波内視鏡で膵臓や胆道をしっかり診られる消化器内科のクリニックを立ち上げたいと思いました。胃がんや大腸がんなどとは異なり、膵臓がんに関してはスクリーニング方法も定まっておらず、助成制度もないということもあり実際に膵臓がんの年間死亡者数は増加しています。クリニックでの取り組みがこの現状を打破するきっかけになればと思います。
超音波内視鏡を用いて膵臓・胆道がんの早期発見に尽力
超音波内視鏡について詳しく教えてください。

膵臓を診る検査には超音波、CT、MRI、超音波内視鏡がありますが、比較的早期に見つけることが期待できるのは、超音波内視鏡検査だといわれています。通常の内視鏡は、胃や腸、食道、十二指腸などを診ますが、超音波内視鏡は、先端に超音波の機械がついた胃内視鏡を口から胃の中に入れ、体の内側から超音波を当てて胆道・膵臓・胆管を診ます。体の表面からだと少し距離がありますし、胃や腸のガスで見えにくい場合がありますが、超音波内視鏡は近い位置からエコーを当てるので、よく見えます。通常の胃カメラが5分とすると、膵臓・胆道を診ると10分くらいでしょうか。少し長くかかりますので、鎮静剤を使って検査を行っています。
早期発見のためには、専門の医師による検査が重要なのですね。
たいていの人は、病気になってからでないと医療機関に行きません。しかし、がんの中でも特に膵臓がんは自覚症状が出づらく気づくにくいため、早期発見・治療が難しいといえます。糖尿病、慢性膵炎、膵嚢胞といった疾患がある方や、家族歴、喫煙、アルコール多飲のある方など、膵臓がんのリスクが高いと言われる方は、積極的に血液検査や超音波検査を受けていただくことをお勧めします。専門の医師でしたら異常に気づきやすく、そこから考えられる病気を想定して、さらに詳しい検査をするための判断が下せると思います。当院では、地域の人たちが健康に過ごすきっかけになるような情報をホームページやSNSで発信していきたいと思います。そして、来院して検査を受けていただくことで、皆さんが元気で長く生きられることにつながればと思っています。
院内設備のこだわりをお聞かせください。

患者さんがリラックスできるよう落ち着いた色使いにして、間接照明を増やし、ゆったりと過ごせる空間にしました。内視鏡検査では、ご希望により鎮静剤を使ったり、経鼻内視鏡を使ったりした検査も行いますが、中には検査中に自分の胃の中を見たい方もいらっしゃいます。首をかしげてモニターを見るのは苦しいと思いますので、患者さん用のモニターも設置しました。また、当院は内科も標榜し、発熱や咳の患者さんもいらっしゃいます。そのため感染症対策として隔離室も設置して、検査などを行っています。
専門的な診療で住民の健康を守る
この場所に開院したのはなぜですか?

人口が増えていて街に活気があふれていること、また、健康意識が高い方が多いと感じたからです。近くにはシニア向けマンションもありますが、お住まいの方とお話しすると非常に元気で健康意識が高く、まだまだ健康で長生きしたいと考えている方が多いですね。そういう街であれば、僕が提供する医療の需要があるのかなと考えました。西日本では医師会や大学を中心に、地域で膵臓がんスクリーニング検査を実施し、早期発見への取り組みを行っているところもあり、その効果もしっかり出てきているようです。北日本でも札幌を中心に膵臓がんスクリーニングのシステムができればと思いますし、自分も一員として貢献していきたいと考えています。
患者さんのために工夫していることはありますか?
ストレスなく過ごしてもらうために、待ち時間を少なくする工夫をしています。例えば、ウェブで事前にクレジットカードを登録することで、処方箋を受け取ったらすぐに帰宅することができる仕組みにしています。また、待っている間も有意義な時間を過ごしていただけるよう、待合室にある診療の順番を表示するモニターでは、健康に役立つ情報を流しています。順番が来て呼ばれた時に、「もうちょっと見たかったな」と思われるような情報提供をしていきたいですね。さらに、当院には、頼りになるスタッフがそろっています。全員とても勉強熱心で真面目で、患者さんとしっかりとコミュニケーションが取れるスタッフばかりですので、問診の際も安心していただけると思います。
今後の展望をお聞かせください。

親しみを持って通院してもらえるクリニックでありたいと思っています。そのための工夫や努力を続けていきたいですね。消化器内科の医師として、自分の信念に基づいて専門的な診療を行っていますが、内視鏡検査だけでなく内科の疾病にも対応していますので、気軽に来ていただきたいですし、来て良かったと思っていただける医療を提供していきたいです。特に、胆道と膵臓の超音波内視鏡に関しては、きっとお役に立てると自負していますので、少しでも不安があれば、気軽に頼っていただきたいと思います。地域の皆さんはもちろん、周辺の病院やクリニックにも信頼され、協力し合えるようなクリニックでありたいですね。