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石原 央記 院長の独自取材記事

千住あさひ町歯科

(足立区/北千住駅)

最終更新日:2025/04/07

石原央記院長 千住あさひ町歯科 main

北千住駅東口からすぐの場所にある「千住あさひ町歯科(せんじゅあさひちょうしか)」を訪ねた。迎えてくれたのは優しい笑顔の石原央記(おうき)院長。前の歯科医院の看板をそのままに、2024年10月に新規開業したばかりの歯科医院だ。最大の特徴は夜間中心であること。土日の休診日を除いて祝日も23時まで診療を行う。困っている人の受け皿になりたいという院長は、ユーモアもたっぷり。電話番号「03-6806-2990」の下4桁の語呂合わせも「ニククオウ」か「ニククレ」か迷ったと笑いながら話してくれた。緊急で来院する患者が多いという夜間診療。難しい症例も多いという。なぜ難症例に対応できるのか、そしてなぜ前の歯科医院の看板をそのまま引き継ぐのか、詳しく聞いた。

(取材日2024年11月21日)

にぎやかでありつつ穏やかな雰囲気に惹かれ開業を決意

先生がこの場所で開業した経緯についてお教えください。

石原央記院長 千住あさひ町歯科1

開業を意識したのは、ここ数年だと思います。勤務医をしている中で、自分が理想とする歯科医療というものが徐々に見え始め、理想と現実の間で葛藤していたときのことです。学生時代に塾講師として担当した教え子から、承継先を探して困っている人がいるという話を聞きました。歯科医院の院長が突然亡くなられ、ご家族も患者さんも困っていらっしゃると。それが、この千住あさひ町歯科でした。訪れてみると、駅のロータリーと大学に隣接していて、活気がありながらも落ち着いた場所で、一目で気に入ったのです。その後すぐに話を進めて、設備などをそのままにここで開業することを決めました。

看板や院内の雰囲気も温かみがあってすてきですね。

看板は以前のものをそのまま使用しています。この看板は前院長の奥さまがデザインしたものだそうです。奥さまは好きなように変えていいとおっしゃっていたのですが、デザインも良く想いが込められた看板なので是非使わせていただきたいとお願いしました。もし今後取り外すことがあっても、大切に保管するか、ご家族にお返しするかしたいですね。前院長は患者さんとよくお話しされる方だったそうで、そうしたアットホームな空気が残っているところも気に入っています。私も患者さんと対話することを大切にしているので、前院長と通じる部分もあるのでしょう。立地的にはとてもいい場所なので、他からの引き合いも多かったそうですが、私に譲っていただいたのは何かご縁を感じていただけたからだと思っています。

夜間中心診療としているのはなぜでしょうか。

石原央記院長 千住あさひ町歯科2

理由は3つあります。まず夜間診療を行う歯科医院が周辺に極めて少ないということです。これは以前から思っていたことで、歯科医院は遅くても20時頃で終わってしまいます。夜間や深夜に救急で診てほしいと思っても、診療しているところは多くありません。2つ目にお勤めや授業が20時より遅くに終わる方や夜間・深夜に歯の激痛に悩まされる方も大勢いらっしゃいます。中には夜パジャマで受診される患者さんもいらっしゃいます。最後の理由としては、土日など仕事がない休日には遊びにいったり朝から一日中思いっきり楽しんでほしいんです。そうした皆さんの受け皿になれる歯科医院になりたいと思いました。

歯科口腔外科での豊富な経験が夜間の緊急処置を可能に

夜間診療ではどういった患者さんが多いですか?

石原央記院長 千住あさひ町歯科3

差し歯や詰め物が取れた方、親知らずや神経の炎症による強い痛みに困っている方などがいらっしゃいます。特に親知らずは、かかりつけの歯科医院で大学病院を紹介されたけれど、平日の昼間しか診療していないので行けないというケースがあります。頑張って仕事を休んで1回行けたとしても、抜歯前後には通院が必要なので、継続的な治療が困難になるのです。当院では神経麻酔や大出血のリスクが高い場合、大学病院へ紹介するケースもありますが、仕事帰りに通院できるし助かるというお声もいただいています。夕方以降は自律神経のバランスが変わり痛みを感じやすくなるのか、電話で予約を取って、その日のうちに来院される患者さんが少なくありません。つい先日も緊急で来院した患者さんがいて、その様子を見た他の患者さんが自分の予約枠を譲ってくださったのです。私も助けてもらったからと。温かいやりとりがあるのも、うれしいことですね。

難しい親知らずの抜歯も対応できるのでしょうか。

歯科口腔外科で研鑽を積んだので、歯肉に埋まっている親知らずや、横向きに生えてしまっている親知らずの抜歯も行えます。忙しくて平日昼間の継続的な通院が難しい方は是非一度ご相談ください。勤務していた沖縄県の同仁病院は医科と歯科の総合病院でしたので、内科や外科に入院している全身状態の悪い患者さんも多く治療してきました。歯科口腔外科に運ばれてくる患者さんは、自転車で転んで顎が折れたとか、顔から首まで腫れて呼吸困難になっているといった重症のケースが少なくありません。時には命に関わるようなこともあり、歯科医師として非常に貴重な経験をさせてもらいました。歯科口腔外科だけでなく、入院患者さんの誤嚥性肺炎予防のため、医師や看護師、歯科衛生士、言語聴覚士など他職種でチームをつくり、口から食べる機能を取り戻せるような取り組みも行ってきました。こうした経験は、今の診療でも大いに役立っています。

夜間診療の場合、薬の処方はどうなりますか?

石原央記院長 千住あさひ町歯科4

周辺の薬局が19時頃に終わることも多いので当院では院内処方を行っています。抗生物質や鎮痛薬といった一般的な薬から、通常の歯科医院では取扱いが少ない薬なども、薬局が閉店してもカバーできるよう可能な限り幅広くそろえています。薬剤師さんのチェックを受けられない分、既往歴や常用している薬の飲み合わせ、アレルギーの情報にはより一層の配慮が必要です。患者さんからしっかりと情報を聞き、危険な処方とならないよう、特に注意して行っています。

周辺医療機関と連携し幅広い歯科医療を提供したい

歯科医師になったのは、どういったきっかけからですか?

石原央記院長 千住あさひ町歯科5

父の影響かもしれません。父は医師をめざしていたそうなのですが、家庭の事情で医学部には行けなかったのです。今思い返すと、幼い私に遠まわしな表現で医師になれと言っていたなと思います。その影響かわかりませんが、私も医師をめざして大学受験もしました。国立の志望校に受からず、いったんは一般大学に入学するものの、塾講師のバイトに夢中になって中退してしまいました。挫折しながらも医師になる道を挑戦したいという気持ちが諦めきれず、その後も塾講師をしながらセンター試験を受け続け、最後は昭和大学の歯学部に入学できました。同級生には塾の教え子がいて「何で先生いるの?」って(笑)。国家試験には無事合格し、研修先は日本歯科大学付属病院に決まりました。医師をめざしていたときは救命救急がしたかったので、より命に関わるところで働きたいという想いから、同仁病院の歯科口腔外科でも研修させていただき、その後就職もしました。

診療ではどういったことを心がけていますか?

患者さんにわかりやすい言葉で説明し、質問しやすい雰囲気をつくることを心がけています。そうしたスキルは、塾講師時代に生徒と関わることで身につきました。心に壁がある間は、こちらが訴えかけても届きません。世の中にはさまざまな情報があふれているので、それに惑わされて患者さんが不利益を被る可能性もあります。ですので、なるべく患者さんの心の壁を取り除いて、こちらの声を受け入れてもらえる土壌をつくることが大切です。そのために、診療とは関係のない話をしたり患者さんが困っていることを先回りして伝えてあげたりします。患者さんにはこうなりたいとか、これはいやだとか、わがままを言ってもらいたいのです。そうした関係性になることが、治療においても欠かせないと思っています。患者さんとの信頼関係に基づいた治療が患者さんにとってよりよい結果に結びつくのです。

今後の展望について教えてください。

石原央記院長 千住あさひ町歯科6

基本的に困っている人がいるところをカバーしたいと思っています。夜間診療に取り組み始めたので、次は訪問診療への対応を検討中です。世間では歯科医師があふれているというふうに言われますが、訪問診療の現場では歯科医師も歯科衛生士も足りていません。訪問診療の患者さんにも、お元気だった頃の価値観をなるべく維持できるような医療を提供したいと思っています。また、周辺の医療機関などとも連携を強化したいですね。1人でできることは限られていますので、よりよい医療を提供するために周辺の先生方と協力して助け合っていくことが理想です。

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