末永 七彩 院長の独自取材記事
日本橋人形町整形外科
(中央区/人形町駅)
最終更新日:2025/01/15

東京メトロ日比谷線の人形町駅から徒歩1分のビル2階に位置する「日本橋人形町整形外科」は、2024年10月に開業した。人形町という歴史ある街に調和する和風の内装が特徴で、日本人が大切にしてきた伝統や文化を感じられる空間を提供。院内にはBGMが流れ、リラックスできる雰囲気を提供している。院長の末永七彩先生は、「一生自分の足で元気に楽しく生きていく」をスローガンに掲げ、患者一人ひとりに合わせた元気な体づくりをサポートしている。また、同じ建物の1階にある薬局と連携し、患者に栄養面のアドバイスも行うなど、包括的なケアに力を入れる。特に骨粗しょう症やロコモティブシンドロームの予防に注力している末永院長に、診療にかける想いや方針について話を聞いた。
(取材日2024年11月20日)
一生自分の足で楽しく生きていく、大切なのは健康寿命
クリニックを開業した想いをお聞かせください。

開業前は大学病院に勤務しており、手術が必要な患者さんを多く診療していました。しかし、手術後には多くの患者さんが元のかかりつけのクリニックに戻られるため、術後の症状改善やリハビリテーションといった継続的なケアに十分関われない現状に課題を感じていました。その中で、大学病院での手術に至る前の段階から、予防医療や筋力トレーニングを通じて、より根本的に健康をサポートしたいという想いが次第に強まっていったのです。また、高齢の患者さんが手術後に「年齢のせいで動けなくなる」と思い込んでしまうことにも、大きな課題を感じていました。実際には、何歳であっても筋肉はつきますし、体と向き合うことで自分の足で楽しく生活を続けることができるのです。この考えを広め、心身ともに自立した健康的な生活を送れる期間、いわゆる健康寿命を延ばしたいという想いが、クリニックを開業する大きなきっかけとなりました。
クリニックの特徴について教えてください。
当院では「一生自分の足で元気に楽しく生きていく」をスローガンに、スタッフ一丸となって患者さんの健康づくりをサポートしています。筋力をつけることや骨粗しょう症の治療に力を入れ、理学療法士と二人三脚で患者さんの根本的な改善をめざします。一人ひとりの状態に合わせて、姿勢や体幹バランス、歩き方などを観察し、適切な筋力トレーニングやセルフストレッチを提案します。こうした取り組みが、ケガをしにくい柔軟な筋肉をつけることに役立つのです。また、リハビリテーションは自宅での継続が大切です。週1回または2週間に1回の来院を通じてモチベーションを維持しながら、無理なく続けていただけるようサポートします。この積み重ねが「一生自分の足で元気に楽しく生きていく」ためのベースとなるのです。
どのような患者さんが多く受診されていますか?

当院の患者さんは、50代から70代の方が全体の7割、小中学生から高校生の方が約3割を占めています。この地域の患者さんは、健康への意識が非常に高く、「痛みのない生活を送るためにどうすれば良いか」について真剣に考えておられる方が多いです。その想いにお応えしたいと、スタッフ一同、全力でサポートしています。小中高生の患者さんについては、土日診療を行っていることもあり、部活動中の捻挫や突き指といったケガでの来院が多いです。また、当院を開業する前、この場所には別の整形外科がありました。人形町には整形外科が少なく、そのクリニックの閉院後、通院先に困っているという患者さんの声が多く、当院の開業により、以前の患者さんにも引き続きご利用いただいています。
骨と筋肉の健康を守り、アクティブライフを応援
骨粗しょう症の予防について教えてください。

当院では骨粗しょう症の予防に力を入れています。骨粗しょう症は特に女性に多く見られる症状で、日本の高齢女性は痩せている方が多いため、筋肉の衰えや骨粗しょう症が原因となる「いつのまにか骨折」のリスクが高まります。このリスクを早期に発見し、骨が弱くならないよう対策を講じることが非常に重要です。また、骨粗しょう症予備軍といわれる方々も少なくありません。骨密度は20代でピークを迎えるにもかかわらず、スリムな体型を理想とする価値観の広がりで、十分な食事を取らず運動もしない若い女性が増えています。こうした状況が、将来的な骨粗しょう症リスクを高めています。当院では、腰骨や脚の付け根の骨密度を測定できる、高性能なDEXA法検査機器を導入しています。これにより、全身の骨密度を測定することが可能です。骨密度検査を通じて、骨粗しょう症の予防に努めてまいります。
ロコモティブシンドロームの予防について教えてください。
ロコモティブシンドロームとは、加齢や病気により骨、筋肉、関節、腱、神経などの運動器に障害が生じ、寝たきりになるリスクが高まる状態をいいます。特に運動不足や加齢による足腰の衰えが原因で、立つ、座る、歩くといった移動機能が低下しやすく注意が必要です。また、スマホやゲームの普及、昨今の新型感染症流行の影響で、子どもの間でもロコモティブシンドロームは深刻化しています。ロコモティブシンドロームは筋力維持で予防が期待できるため、当院では筋力維持に重点を置いて診療しています。さらに、栄養面も重視し、同じ建物の1階にある薬局と連携して栄養のアドバイスも行っています。筋肉をつけるには日頃のタンパク質摂取が重要で、クリニックと薬局が一体となって患者さんの栄養を支える体制は独自性のある取り組みです。
どのような時に相談してもらいたいですか?

骨や筋肉に関することなら、どんな些細なことでも気軽に相談してほしいと思っています。関節の痛みが気になる、骨密度が心配、筋力が低下してきた、ケガをした、筋力トレーニングの方法がわからない、正しい歩き方を教えてほしい、体の使い方についてアドバイスがほしい……、どんなことでも構いません。体が痛むと日常生活がストレスに感じ、気持ちもネガティブになりがちです。少しでも気になることがあれば、早めに相談して、白黒はっきりさせることが大切です。診療を受けることにハードルを感じる方も多いかもしれませんが、当院では、患者さんがリラックスして話せる雰囲気づくりを心がけています。また、スタッフ全員がしっかり連携してサポートしますので、まずはお気軽にご相談ください。
「動ける体づくり」を全力でサポート
医師をめざしたきっかけ、整形外科を選択した理由について教えてください。

私が医師をめざしたきっかけは、母が病気を患ったことです。病院に付き添った際、病気やケガを治療し、人々の健康を守ることができる医師になろうと強く決意しました。当時は他の大学で社会学を学んでいましたが、中途退学し、医学部へ編入しました。整形外科を選択した理由は、初期研修でさまざまな診療科を経験した中での気づきでした。内科では長期入院する患者さんが多い一方で、整形外科では手術後程なく、自分の足で退院される患者さんが多かったのです。「チームで手術を頑張り、患者さんを元気に送り出す」という整形外科の雰囲気が、自分に合っていると感じました。
どのようなクリニックをめざしたいですか?
患者さんが気軽に相談でき、「あそこに行けば何とかしてくれる」と信頼していただけるクリニックをめざしています。この地域には、テニスや登山などの趣味を楽しむ方が多く、その活動を続けるために「痛みを防ぎ、体を改善したい」と考える方がたくさんいらっしゃいます。そのような想いに全力で応えられるクリニックでありたいと考えています。地域にお住まいの方や働いている方すべてに貢献し、健康で充実した生活をサポートしていきたいです。
それでは最後にメッセージをお願いいたします。

私は、筋力をしっかり維持し、痛みを生じにくい体をつくることが大切だと考えています。また、関節や体の痛みが現れた後でも自分で体をつくることで進行を予防し、結果的に健康寿命の延伸がめざせることも伝え続けたいと思っています。私自身、腹部手術を2回経験していますが、術後は痛みで動けず、体力が低下したり、動くことがおっくうになったり、気持ちが沈んだりすることもありました。周囲のサポートと意欲の維持が重要だと実感しています。当院では、患者さんの「動ける体づくり」をサポートします。一緒に自分の足でしっかり歩いて、楽しく生きていける体をめざしましょう。体の痛みやお悩みがあれば、なんでも気軽に相談してください。