森田 昌士 院長、大場 有希子 副院長の独自取材記事
森田皮フ科
(横浜市旭区/三ツ境駅)
最終更新日:2021/10/12
三ツ境駅北口から徒歩1分の「森田皮フ科」。森田昌士院長と大場有希子副院長がとびきり明るい笑顔で迎えてくれた。「難治性疾患の患者さんこそ、希望を持って診療していきたい」と語る森田院長の専門は小児のアレルギー疾患。日本東洋医学会漢方専門医でもあり、漢方薬を用いた治療にも積極的だ。一方、一般皮膚科が専門の大場副院長は、「患者さんにはいつも私からお声がけします」とにこやか。インタビュー中も息ぴったりのかけ合いを見せてくれた2人だが、「ここにスタッフが入ったら、もっと話が止まらなくなりますよ」と笑う。1997年開業時のスタッフが全員残っているというチームワークの良さも同院の特徴の一つ。笑いの絶えない和やかな雰囲気の中、これまでの道のりや診療方針について話を聞いた。
(取材日2012年9月24日)
複数の医師の目で、いつも適切な診療を
お二人とも聖マリアンナ医科大学のご出身だそうですね。
【森田院長】はい。でも8学年違っていて、大場先生が入局した1993年は、僕が聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院に出向した頃で面識はありませんでした。僕は1997年に開業しましたが、1年後には忙しくて一人で診きれなくなってしまって。一緒に働ける良い先生を探していたら、医局の元教授から「ぜひ勧めたい先生がいる」と紹介されたのが大場先生だったんです。
【大場副院長】森田先生が開業された頃は、私自身は西部病院に出向していたので、休みの日だけこちらで外来を担当することになり、その後2001年から常勤となりました。
大場先生が加わったことで、診療の幅も広がったのでは?
【森田院長】大場先生は、患者さんとのコミュニケーションが上手で、患者さんから非常に信頼されているドクターです。お互いに診療の得意な分野が違いますので、相談し合いながら一人ひとりの患者さんに合った治療計画を決めていくなど、きめ細かな診療に役立てているつもりです。
【大場副院長】私としては、当時から尊敬していた先生でしたので、森田先生にお声をかけてもらえたのはとても光栄なことでした。さらに、このクリニックの雰囲気がすごく良くて自然とここの一員になってしまった感じですね。ちなみにこのクリニックには15年前のオープニングスタッフが今も全員いるんですよ。
それだけチームワークが良いということですよね。診療はどのように分担されているんですか?
【森田院長】基本は受付順ですが、一人の医師がずっと診たほうが良い患者さんにはそのように対応します。また、患者さんが女性医師を希望される場合には、大場先生か、週2日来ていただいている辰野優子先生にお願いします。その逆のケースもありますね。医師の指名もOKで、臨機応変に対応しています。大場先生は腫瘍の鑑別、特にそれが悪性か中間型か、良性かという見極めを適切に行うことのできる先生だと思います。僕も腫瘍に関して大場先生に相談することがよくあります。腫瘍の切除と病理検査はここではできないので、聖マリアンナ医科大学病院などに手術依頼をしています。
【大場副院長】アトピー性皮膚炎や漢方薬の処方については森田先生にコメントをいただきます。当院のように、医師が複数いるクリニックのメリットは、一方だけじゃなく複数の医師の目で見て診断・治療ができること。偏らない診療を常にめざしています。
皮膚ではなく、人間を診る
先生方が皮膚科を専門に選ばれたのはなぜですか?
【森田院長】学生の時、講義で皮膚科の良さについて聞いたんです。「ほかの科はエックス線とか心電図などの検査器具が必要だけど、皮膚科は患者さんを目で見て、触って、匂いをかいで、それで診断がつくんだよ」と。その言葉で決めましたね。もちろん皮膚科も顕微鏡を使ったりはするんですけど、見たり、話を聞いたりするだけで、ある程度わかる科だというところに惹かれました。
【大場副院長】私は、患者さん自身が皮膚を見て、治ったと実感できるところに惹かれました。私は一般皮膚科を幅広く学び、大学病院では膠原病を専門としていました。
森田院長のご専門は?
【森田院長】僕は小児アトピー性皮膚炎と漢方が専門です。小さい頃、自分が小児喘息でアレルギー症状を経験したので、皮膚科の中でも特に小児に興味を持って勉強しました。漢方の勉強は、聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院に勤めていた頃に始めました。漢方を取り入れると、非常に治療の角度が広がるんです。西洋薬では、アレルギーの体質改善剤・かゆみ止めの薬というように、薬の効能は単独です。ですが漢方薬は、例えばニキビ治療の目的で漢方を飲み始めると、冷え症や肩こり、便秘の症状にも変化が現れることがあり、最終的にニキビが減ることにつながったりするんです。皮膚病が良くなる前に西洋医学では考えられない経過があり、体質改善にもつながるのが漢方の魅力ですね。
診療で心がけていることは何ですか?
【森田院長】皮膚だけでなく人間を診る、心を診るということ。そして初診の場合は、とにかく患者さんの緊張を和らげたいと思っています。「アトピージプシー」という言葉があるように、いろいろな病院に行って傷ついたり悩んだりして当院にたどりついた患者さんも少なくはありません。なので、まずはそういう患者さんの医師への不信感や緊張感を取り払い、ありのままに話していただける雰囲気をつくっています。そうしたら、皮膚の治療にも入りやすいかなと。僕はそんな医療をめざしているんです。
【大場副院長】私も、「こんにちは」と最初に自分から声をかけるようにしています。そうすると患者さんも話の切り口を見つけやすいみたいです。また、皮膚疾患のために傷ついたり、人前に出たくないという患者さんも多いので、ただ皮膚を治すだけでなく、ポジティブに、少しでも快く生活できるような一助となることが本当の医療だと思っています。
難治性疾患の患者の診療にこそやりがいを感じる
やりがいを感じるのはどんな時ですか?
【森田院長】難治性疾患というものがあります。つまり「一生治らないから仲良くつき合いましょう」ということで、それは一理あるでしょう。でも、「絶対治らない」と言われたら患者さんは落ち込み、努力もできなくなりますよね。一方で、「奇跡的な完治」という言葉もある。実際に治った人がいるなら可能性はゼロじゃない。可能性が共有できたら、患者さんは頑張れるんです。時間はかかるかもしれないけれど一緒に病気を治しましょう、良くしていきましょうとお話しして、実際に結果に現れた時、一番やりがいを感じます。
大場先生はいかがでしょう。
【大場副院長】私がやりがいを感じるのは、患者さんと信頼関係をつくって、一緒に治療に向き合っている時です。医師が強引にお薬を出しても、それを飲んでもらえなければ治療していることになりませんから、まずは患者さんのご希望をしっかりと伺っています。例えば10代の子だと、毎日3回いろんな薬を飲んだり塗ったりするそういう姿をお友達に見せたくないですよね。そういうことも考えて、毎日薬を続けていけるモチベーションを持ってもらうことを大切にしています。
休日はどのように過ごされていますか?
【森田院長】ゴルフに行くことが多いです。学生時代はテニス部だったんですが、ゴルフの練習は仕事後に一人でもできるので、今のライフスタイルに合っていますね。
【大場副院長】私は旅行と観劇が好きで、忙しい合間を縫い、3泊5日でニューヨークへブロードウェイの舞台を見に行ったこともあります。ミュージカルやストレートプレイも好きで、日本でもいろいろなジャンルを見ますよ。リフレッシュできますし、すごくパワーをもらえるんです。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
【森田院長】お子さんのアトピー性皮膚炎が原因でノイローゼになるお母さんは少なくありません。お子さんが苦しんでいたら、夜も眠れず、心身がつらくなってしまうんですね。そんなときに一人で抱え込まずに友人なり家族なり病院なり、とにかく相談してほしいです。誰かに話したらわかってくれる人がいますから。
【大場副院長】まずは怖がらずに来てほしいですし、遠慮せずに何でも質問してほしいですね。質問するだけで心がほぐれることもありますから。
【森田院長】僕たちは一人ひとりの患者さんに対して誠心誠意向き合って接しています。通っていただいている患者さんに「治りましたよ。今日で卒業ですね」と一日でも早くお伝えできるように、今後も心のこもった医療を提供し続けていきたいと思います。