岸 宗佑 院長の独自取材記事
AMS きしクリニック札幌
(札幌市西区/琴似駅)
最終更新日:2025/11/04
札幌市でも有数の繁華街である琴似で、内科、消化器内科、女性内科、乳腺外科を診療する「AMS きしクリニック札幌」。大学病院や総合病院で研鑽を積み、消化器内科が専門ながら外科的処置も得意とする岸宗佑院長が2024年4月に開業したクリニックだ。乳腺外科は院長と妻の岸真理子先生の2人で担当。「女性を大切にしたい」との思いから、待合室やエコー室などにも女性専用エリアが設けられている。また、医療機器はクリニックとは思えない充実ぶりで、幅広い検査や治療に対応できる設備が整っている。常に全力で医療と向き合い、患者と真摯に向き合う姿が印象的な岸院長に、院内のこだわりや医師としてのターニングポイントなどを聞いた。
(取材日2025年8月22日)
患者側に立った経験が医師をめざすきっかけに
なぜ医師をめざそうと思われたのですか?

医師というのは特殊能力を持ったすごい人がなるものだと思っていて、本当は医師になりたかったのですが自分には無理だと諦めていました。そんな高校生の最後の頃、自転車事故に遭ったんです。顔の骨が砕けるほどの大けがをして、大学受験もできないまま入院し、半年間くらいは物が二重に見えるような状態でした。それで東京医科歯科大学(現・東京科学大学)の病院を受診したり、家に近い大学病院で治療を受けているうちに、これが医師になれという後押しじゃないかと感じたのです。「一回失った命、医師になったら全力でやろう」と香川大学の医学部を受けたら合格しました。幼い頃は病弱で、ずっと入院していたこともありますね。患者としての気持ちがよくわかる経験をしたことが医師をめざしたきっかけです。
消化器内科が専門ということですが、外科治療もかなりの数を行っているそうですね。
最初は外科医になろうと思ったのですが、初期研修の時、内視鏡を使って腸の中から膵臓がんなどを治療する方法に面白さを感じるようになりました。外科医はチームで手術しなければなりませんが、内視鏡は1人でできるのも魅力でしたね。一方で研修中、CVポートという、体内に医療機器を埋め込んで抗がん剤などを投与する治療の重要性を知りました。抗がん剤を使うのは内科医ですが、CVポートの埋設術は外科医に頼む必要があります。しかし小手術なので優先度が下がりがちで、必要な抗がん剤治療が受けられない患者さんも多くいます。私は外科研修の時にCVポートの埋設術もできるようになりましたので、消化器内科医でありながらCVポートの手術といった外科治療もやり、研修医のうちに乳がんに関する研鑽を積みました。
研修医時代からさまざまな研鑽を積まれてきたのですね。

初期研修の2年間はほとんど帰宅せず病院に泊まり込み、すべての科で勤務しました。新しくCVポートの手術方法を考案した時も外科の先生に「研修医の内科医が何やっているんだ」と怒られましたが、取り組んでいくうちに「外科・内科で分けるものじゃないよね」という感じになっていきました。開業してからも、外来患者さんの診察のほか、内視鏡検査やCVポートの手術、乳がんの針生検や下肢静脈瘤の手術など、いろいろと対応しています。
患者の本当の声に応える医療
医師としてターニングポイントになった患者さんはいますか?

以前、乳がんの既往歴がある膵がんの患者さんがいらっしゃいました。抗がん剤治療しか方法がなかったので、胸の前にCVポートを入れる一般的な方法を説明したら、患者さんから嫌だと言われました。「私はもう片胸しかないのに、その胸やデコルテラインを傷つけられたくない」と。普通は「そういうものだから」で終わるところですが、初めてそこまで言われたので私もいろいろな代替案を提案しました。しかしそれも嫌だと言われる。その時に、上腕の外側にCVポートを埋め、腕の皮下脂肪の中に点滴を通すLOVE手術という新しい手術方法を考案し提案しました。この方法であれば、首も胸も傷つきませんし、CVポートが埋まった部分は半袖を着てもあまり目立ちません。それを伝えた際、患者さんには喜んでいただけましたね。その患者さんに会わなければ考えなかった方法なので、まさにターニングポイントでした。
患者さんの声に応えることを大切にされているのですね。
がんの治療は手術、抗がん剤、といったふうに治療法が決まっていて、ガイドラインで決められたルールを守れば「医師としてやることはやった」で済みます。ただ、医師は医療が仕事ですが、抗がん剤を投与されるために生きている人はいませんよね。患者さんの人生や生活を良くするために医療はあります。患者さんがどう考えるか、患者さんにとってどうするのが一番いいのかを、そのことをきっかけにとても考えるようになりました。医師が持っている治療の固定観念を押しつけるのではなく、患者さん一人ひとりが大事にしていることをこちらも大切にして、「受けて良かった」と思ってもらえる治療をしたいと思っています。
先生がその際に提案されたというCVポート埋設術について、もう少し教えてください。

胸や腕の内側に入れる従来のCVポート埋設術は、うつ伏せでの内視鏡手術ができなかったり、血圧計が巻けない、採血できないなどの問題がありましたが、上腕にポートを埋めればそういった心配はありません。今では乳がんの患者さんや、がんを知られたくない患者さんなどたくさんの方が希望される手術法ですね。また当院には、その技術を学ぶために日本全国の若い先生が毎月見学に来ます。私も月1回は指導のため各地に赴いています。
院内で診療を完結できるよう、医療機器の充実に注力
クリニックの医療設備について教えてください。

エコーは3台、内視鏡は4台あり、マンモグラフィと手術室も備えています。クリニックでも病院のような検査や処置を受けていただきたいので、医療機器は性能にこだわってそろえました。マンモグラフィ検査は胸を挟む時にかなりの痛みを伴いますが、当院で導入した2Dマンモグラフィは、もう少しで痛くなるぞ、という圧力を測って強い痛みが出る前に止めるんです。北海道にはまだ設置が少ない機種と聞いていますが、放射線被ばくも少なく、痛みが少ないところがメリットです。また、天井からつるタイプのエックス線透視機器も導入しました。これも放射線被ばくがとても少なく、エックス線写真も撮れますし、透視で動画も撮れます。内視鏡の機械はAI機能を搭載していて、すべての内視鏡検査でこれを活用しています。50インチのモニターで患者さんと一緒に見ながら検査を受けることができ、説明や相談をしながら大腸カメラを行い、ポリープ切除もしています。
医療機器の他に院内のこだわりはありますか?
当院では女性専用のエコー室を設けています。多くの医療機関では、検査室の前の廊下に検査待ち合いがありますが、自分が薄着になったり裸になって検査を受ける場所から男性が出てくるのは女性にとっては嫌だろうな、と感じていて、開業するならエコー室こそ男女で分けようと思っていました。待合室が男女で分かれているだけでなく、検査着を着た人と普通の服を着ている人とも分ける設計にもしてあります。また、少しおしゃれな検査着を用意していて、好きなカラーとサイズを選んでいただけます。その他、順番がきたら名前ではなく番号でお知らせするなど、プライバシーにも配慮しています。
今後の目標を教えてください。

私が修行した病院は外科の先生が寝泊まりして働いているような病院でした。上司の先生が夜も土日も働いているのに若い自分が働かないのはおかしいと思いましたし、若い時に手を抜かなかったのが良かったと思っています。努力を継続してきたので楽なほうに逃げることはしたくありません。「より高い技術をめざしたい。患者さんのためになることに気がつく医師になりたい」と思います。若い時の指導医から学んだ技術をより一層磨いて、次の世代に教え、私よりも高い技術を持った若手医師をどんどん育てていくのが私の次の仕事だと思っています。働き方改革も重要ですが、今の若い医師には「患者さんのために一生懸命」尽くしてきた多くの先輩医師がいることに感謝して一緒に頑張ってほしいです。全国で指導してきた若手医師が成長してきており、それが私の楽しみとなってきています。
自由診療費用の目安
自由診療とはとくとく健診 1200円から
後期高齢者健診 500円から
札幌市がん検診
大腸がん検診 400円
胃がん検診 3500円
胃がんリスク判定 1000円
前立腺がん検診 500円
一般的な検診 4400円から

