赤ちゃんを望む人に必要な医療を提供
不妊症への多様なアプローチ
はやしARTクリニック半蔵門
(千代田区/半蔵門駅)
最終更新日:2025/04/30


- 保険診療
赤ちゃんが欲しい、でもなかなか妊娠しない。そんなとき、「不妊症」という言葉が頭をよぎりながらも、クリニックを受診する勇気が出ないという人も多いかもしれない。しかし、「はやしARTクリニック半蔵門」の林裕子院長は、「妊娠したいなら専門家に頼るのが早道」と話す。不妊治療にはさまざまな方法があり、妊娠できない原因や患者の希望などに応じた適切なアプローチを、適切なタイミングで行うことが重要だからだ。同院では、女性不妊、男性不妊のどちらにも対応し、男性不妊の場合はその分野を専門とする泌尿器科の医師が担当する。開業するまで大学病院で不妊症の治療や不育症の研究に携わってきた林先生に、不妊治療について詳しく聞いた。
(取材日2025年3月26日)
目次
望む治療は人それぞれ。患者と相談しながら不妊の原因や体の状態に応じた選択肢を提案する
- Q不妊治療の際に行う検査の目的や内容について教えてください。
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A
▲産婦人科診療や不育症の研究、生殖医療に携わってきた林院長
不妊に対する検査は、妊娠しにくい原因があるかどうかを調べるために行うものです。原因が複数あることや、わからないこともあり、検査には月経周期に合わせて行うことが必要なものもあります。当院では効率良く治療を進めるため、患者さんのライフスタイルなどにより検査の内容や時期を決め、検査と治療を同時に行うこともあります。女性の検査には、子宮や卵胞の様子を見る「経腟超音波検査」、卵子や精子が卵管を通れるかを調べる「卵管疎通性検査」、ホルモンの状態や不妊の原因となる病気がないかを調べる「血液検査」、精子が子宮内に入れるかを調べる「ヒューナー検査」、子宮内部の様子を見る「子宮鏡検査」などがあります。
- Q男性側の検査や治療についても教えてください。
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A
▲男性不妊の治療にも注力している同院。採精室は2室完備
不妊の原因の約50%は、男性にあるともいわれています。男性不妊の原因には、精子を作るシステムに異常がある「造精機能障害」、性交渉ができない「性機能障害」、精子の通り道に障害があって通れない「精路通過障害」などがあります。そのため、精子の量や形態、運動の様子などを調べるための「精液検査」、精巣などの状態を見る「超音波検査」、男性ホルモンなどの状態を調べる「血液検査」などを行います。結果に応じて行う男性不妊症へのアプローチには、生活習慣の指導のほか、薬物療法などの内科的治療、手術などの外科的治療があります。
- Q検査結果と患者さんの意思をもとに治療方針を決めるのですね。
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A
▲検査結果をもとに、患者一人ひとりに合わせた治療を提案
検査の結果により治療方針を検討しますが、治療にはさまざまな方法や種類があり、例えば体外受精にしても、卵巣刺激の方法はいくつもあります。患者さんが後で「そんな方法があるとは知らなかった」と思うことがないように、まずは、考えられる選択肢のすべてについて、メリットやデメリット、費用などを詳しく説明します。その上で、医師として望ましいと考える方法を提案し、患者さんの考えや希望もお聞きした上で治療法を決めます。患者さんにとっても、しっかり理解した上で「さまざまな選択肢の中から最善と考えられる方法を自分で納得して選んだ」と思えることは、不妊治療に臨む上でとても大切だと考えています。
- Q一般不妊治療について教えてください。
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A
▲カップルで入ることができる診察室
一般不妊治療には、「タイミング法」と「人工授精」という方法があります。卵管の通過があり、排卵が確認できる人、運動性のある精子が一定数以上ある人に勧められる方法です。タイミング法は、検査で卵胞の成熟度を確認して排卵日を予測し、性交渉のタイミングを図る方法。人工授精は、子宮の入り口からカテーテルを挿入し、排卵するタイミングに合わせて精子を子宮内に直接注入する方法です。精子の子宮内への侵入に障害がある、性交渉が困難、複数回のタイミング法で妊娠しない場合などに人工授精を検討します。タイミング法や人工授精の成功率を高めるために、薬を使って卵巣を刺激し、排卵を促す治療をすることもあります。
- Q生殖補助医療(ART)について教えてください。
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A
▲先進の設備を導入した培養室
生殖補助医療とは、卵子と精子を体の外に取り出して行う治療法です。体外で、卵子の入った培養液に精子を入れて受精させる「体外受精」、体外受精の一種で、顕微鏡で見ながら卵子の中に直接精子を注入する「顕微授精」、受精卵(胚)を一定期間培養した後に子宮内に戻す「胚移植」などの方法があります。両側の卵管が閉塞している人、精子が少ない、もしくは運動率が悪い人、一般不妊治療で妊娠が成立しない人などが対象となります。治療法や使用する薬などによりメリットやデメリット、注意点、治療スケジュールや費用などが異なるため、薬による副作用なども含め、しっかり理解した上で選択することが大切です。