長引く咳は要注意
原因に応じた適切な治療が必要
蒲田駅前内科・泌尿器科・皮膚科クリニック
(大田区/蒲田駅)
最終更新日:2025/01/31


- 保険診療
総合診療の現場で多く見られる「咳」の悩み。風邪などウイルスや病原体の感染によるもののほか、アレルギー症状によるもの、また喫煙などの生活習慣によって引き起こされるものもあり、発症の原因は多種多様だ。そこから喘息につながったり、症状の裏に肺がんなどの重い病気が潜んでいることもある。「蒲田駅前内科・泌尿器科・皮膚科クリニック」では、咳の原因を突き止めるため、院内に呼気中の一酸化炭素濃度測定機器やCT検査機器を完備。放射線治療の専門家である宮本一成院長の読影技術で、些細な異常も見落とさないよう努めている。東邦大学医療センター大森病院との強固なネットワークも同院の強みだ。今回は宮本院長に、咳の原因や検査・治療について話を聞いた。
(取材日2024年9月25日)
目次
感染症やアレルギーなど、咳の原因は多様。呼気NO測定やCT検査で原因を突き止め、適切な治療につなげる
- Q咳が長引く場合、どのような病気の可能性がありますか?
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A
▲蒲田駅からすぐのビル、6階に開院したクリニック
いわゆる風邪やマイコプラズマ肺炎、百日咳など、ウイルスや病原体の感染によるもののほか、好酸球性肺炎などアレルギー症状によるもの、主に喫煙などの生活習慣によって引き起こされる慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺がんなど、考えられる原因は多種多様です。また一口に感染症といっても、インフルエンザやコロナウイルス、アデノウイルス、RSウイルスなど、原因となり得るウイルスは実に200種以上も存在します。そこから咳喘息や喘息につながることもあり、季節や気圧の影響で症状が強く出ることもありますね。総合診療の現場では、咳は腹痛や頭痛と並んでとても多い症状で、年間を通して患者さんがいらっしゃいます。
- Q喘息と咳喘息とは違うのでしょうか?
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A
▲呼気検査も実施が可能
咳喘息とは、風邪やアレルギーなどによって生じた咳がその後も数週間続いている状態です。エックス線で検査しても異常は見られず、咳止めを飲んでも改善されないということも多々あります。「市販薬で様子を見る」という方もいらっしゃいますが、長引くようでしたら一度検査を受けたほうがよいでしょう。咳喘息を放置すると、喘息に移行する可能性があります。喘息になると咳だけでなく、気管支が狭くなってゼーゼー・ヒューヒューと息苦しさを感じます。発作を繰り返すとリモデリングといって気管が硬くなってしまうことがあり、こうなると元に戻りません。やはり早めの受診が肝心なのです。
- Q問診ではどのようなことを確認するのですか?
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A
▲患者の生活背景を確認するため、丁寧に問診を行う
問診では患者さんの年齢や職業を確認した上で、症状の起きる時間帯や咳の出方、既往歴や常用薬、アレルギーの有無、喫煙習慣、生活背景などを伺います。飼っている鳥のふんに含まれるクラミジアという細菌が咳の原因となることもあるんですよ。羽毛布団にアレルギー反応が起きて、過敏性肺炎を発症することもあります。引越しして環境が変わったり、アロマを楽しむ習慣が原因となることも。また喫煙歴の長い方ですと慢性閉塞性肺疾患(COPD)を疑うこともありますし、ご高齢だったり喀血が見られる場合には肺がんなど重い病気の可能性も否定できません。問診でおおよその見当をつけ、検査に進みます。
- Q検査や治療についても教えてください。
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A
▲医師の指導のもと、検査を実施する
当院では採血のほか、呼気中の一酸化炭素濃度の測定やCT検査が可能です。呼気中の一酸化炭素濃度を測ることで、喘息の有無や程度を確認します。また受診当日にCT検査を受けられるのも当院の特徴の一つ。導入している検査機器は従来のものに比べて撮影時間が短く、じっとしているのが難しいお子さんや、息を長く止めにくいご高齢の方でも、無理なく検査を受けていただけるかと思います。さらに必要に応じて喀痰培養なども行って原因の特定に努め、吸入ステロイド薬や抗生物質などを処方。肺がんなど重い病気が見つかったり、より専門的な対応が必要と判断した際は、東邦大学医療センター大森病院と連携して検査や治療を進めます。
- Q咳の裏に大きな病気が隠れている可能性もあるのですね。
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A
▲長引く咳に関しては、相談してほしいと話す宮本院長
そうですね。咳の症状の原因は風邪やアレルギーであることが多いのですが、中には命に関わる病気の可能性もあり得ます。特に喀血や痛みを伴ったり、「いつもと違う」と感じるような咳には要注意です。CT検査は病気の早期発見に有用ですが、見落としてしまったら意味がありません。私は日本内科学会総合内科専門医であり、日本医学放射線学会放射線科専門医でもあります。大規模総合病院の放射線治療科では悪性腫瘍の診療に広く携わってきました。培ってきた読影技術を生かして、些細な異常も見落とさないように努めています。