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渡邊 晃一 院長の独自取材記事

かえでクリニック

(札幌市豊平区/豊平公園駅)

最終更新日:2025/11/06

渡邊晃一院長 かえでクリニック main

札幌市の豊平区・白石区を中心に訪問診療を提供している「かえでクリニック」。院長の渡邊晃一先生は、消化器内科医として道内の地方病院に勤めた後、東京の訪問診療クリニックで研鑽。その後、札幌に戻り同院を開業した。大切にしているのは、話にしっかりと耳を傾けること。病気を抱える患者とその家族は不安や心配事が尽きない。だからこそ、少しでも楽しく過ごせるよう尽力している。そして、単なる医療提供だけでなく、患者の生活面までをしっかりサポートするため、ケアマネジャーや訪問介護・訪問看護スタッフと密に連携を取りながら、患者一人ひとりに何が必要なのかを話し合い、より良い生活の実現をめざしている。今回はそんな渡邊院長に、これまでの経歴や診療で大切にしていることについて詳しく話を聞いた。

(取材日2025年9月8日)

患者とじっくり向き合える訪問診療に魅力を感じ開業

医師になろうと思ったきっかけを教えてください。

渡邊晃一院長 かえでクリニック1

特別なきっかけがあったわけではないんですが、高校時代に周りで医学部をめざす同級生が非常に多く、その影響で医学部を意識し始めました。将来、自分が働く姿を想像した時に、医師の仕事は人と関わりながらコミュニケーションを取って進めていけるのが面白そうだなと思ったんです。昔から人と関わるのは好きで、母の実家が田舎だったこともあり、小さい頃から近所のおばあちゃんや友達のお母さんたちの井戸端会議に混ざることもありました。年上の方と話すことにも、まったく抵抗感はなかったですね。また、医師は自分で考えて判断しながら仕事を進めていける点にも魅力を感じました。

消化器内科を選ばれた理由は?

実は、学生の頃はずっと循環器内科に進みたいと思っていました。循環器は「どうしてそうなるのか」という部分が理論的で考えやすいところが良かったです。しかし、研修医として大学の消化器内科を回った時、そこで出会った先生方の影響や、治療が難しいがんの縮小・進行抑制に密接に関わった経験から、消化器内科の奥深さに惹かれました。そして、次第に自分も専門にしたいと考えるようになり、消化器内科医をめざす道を選びましたね。とはいえ、当初は循環器内科を志していたこともあり、3年目に勤務した苫小牧の王子総合病院で、消化器内科医としてまさにゼロからのスタートを切りました。幸いにも王子総合病院は指導体制が非常に整っていて、上の先生方も魅力的な方ばかりでした。そのおかげで、多くの症例をこなしながら、内視鏡の技術を磨いていくことができたと感じています。

開業に至るまでの経緯を教えてください。

渡邊晃一院長 かえでクリニック2

以前は大学の医局に所属し、さまざまな病院で勤務していましたが、次第に少し違うかたちで働きたいと思うようになりました。また、東京への憧れもあったため、一度東京に住み、しろひげ在宅診療所で訪問診療に携わることにしたんです。実際に働いてみると、訪問診療では患者さんのお話をじっくり聞きながら診療する機会が多く、自分に合っていると感じました。そして、だんだんと開業を考えるようになりましたね。開業を考え始めた時は、東京か地元札幌かで迷いましたが、最終的に札幌を選んだのは、家賃などの固定費が東京よりも抑えられるという理由があります。また、どちらの地域でも知り合いが少なかったため、仮に開業直後に患者さんが少なくても、札幌のほうが維持しやすいと判断しました。さらに、東札幌には以前住んでいて土地勘があったことも決め手です。このエリアは住宅も多く、高齢者の割合が低くない点も良かったです。

患者や家族の希望を大切に、真摯に診療に向き合う

どのように患者さんを増やしていったのですか?

渡邊晃一院長 かえでクリニック3

開業当初は患者さんも少なかったんですが、次第にケアマネジャーさんたちから紹介していただけるようになりました。開業時に、自分からあまり営業をかけなかったこともあり、ケアマネジャーさんの力にはとても助けられています。訪問看護ステーションにあいさつに行って紹介していただいたこともありますし、実は自分の祖父が訪問診療を利用していたことから知り合ったケアマネジャーさんに紹介していただいたこともあるんです。ありがたいことに、現在は忙しい日々を過ごさせていただいています。

訪問診療を行う際に大切にされていることは?

患者さんの話にしっかり耳を傾けることです。在宅で過ごす患者さんには、不安や心配事もあると思います。だからこそ、少しでも楽しく過ごしていただきたいんです。患者さんとの雑談から得られる情報は意外と多くて、ご本人が話したそうにしていれば、面白い話は深掘りしながら、いろいろとお話しするようにしています。それから、誰に対しても丁寧に対応することも大切にしています。患者さん、ご家族、スタッフなど、関わるすべての方に対して、丁寧に対応するというのは、最低限やらなきゃいけないことだと思っています。また、患者さんの受け入れについては、当院で診ることによって不利益が出るような疾患でない限り、基本的にはお受けする方針です。当院で対応できる疾患であれば、断らないようにしていますね。

在宅で最期まで過ごしたいという患者さんやご家族の希望に対して、どのように向き合っていますか?

渡邊晃一院長 かえでクリニック4

家で最期まで過ごしたいというご希望があれば、それをかなえるためにできることをやっていきます。途中で「ちょっと家だと大変になってきたから病院に入院させよう」と方針を変えるのはあまり好きではありません。もちろん、ご家族が入院を希望している場合や、在宅診療よりも病院で治療したほうが圧倒的に良いケースであれば病院を紹介します。しかし、在宅でやっても病院でやっても結果が大きく変わらない状況であれば、できるだけ家で最期まで対応したいと思っています。また、ご家族の希望をメインに対応はしますが、ただ聞くだけではなく医師として助言もしながら、その上でどちらを選択するかを聞くようにしています。

病院とは違う、じっくり向き合える訪問診療の価値

24時間365日対応されているそうですね。

渡邊晃一院長 かえでクリニック5

そうですね。他の訪問診療も同様かと思いますが、基本的には電話で往診の依頼があれば、すべて対応するようにしています。定期の契約は月1回もしくは週2回で、それ以外に何かあった場合には24時間体制で往診しています。休みの日でも、連絡があれば必要に応じて伺います。現在は一人体制で行っているため、開業してから札幌を離れたことは一度もありません。診療の際には「こうなったら呼んでくださいね」「こんな時は、そんなに心配いりませんよ」と、患者さんやご家族の不安が和らぐよう丁寧に説明しています。呼ばれたら夜中でも向かいますが、夜間に急な電話をいただくことはあまりありません。

病院での診療と訪問診療の違いはどういった点でしょうか?

訪問診療は、患者さんやご家族の希望をゴールとして対応していくという点で、病院とは少し違う意味合いがあると考えます。時間的な制約や患者さんの数も異なるため、急性期病院では難しい対応ができることもあります。患者さんやご家族とじっくり相談しながら進めていける点では、訪問診療のほうがより人間味があり、治療だけでなく人生相談をするようなイメージではないでしょうか。また、1人で通院が難しい方のご家族の負担を軽減したり、末期がんや難病などで先が長くない状況で、病院に入院せず在宅を希望される方に安心して過ごしてもらったりということを考えたとき、訪問診療には価値があると思います。通院している方もいますが、外来では待ち時間があり、体力を消耗してしまうことがあります。希望があれば訪問診療は、そういう方々にとっては、やっぱりあったほうが良いのではないかと思うんですよね。

訪問診療でやりがいを感じる瞬間はどんな時ですか?

渡邊晃一院長 かえでクリニック6

やりがいを感じるのは、やはり感謝される時です。自分の行ったことに対して感謝の言葉をいただけるとやりがいを感じますね。特に訪問診療では、看取りをご自宅で迎えることが多いです。ご家族から「家で最後まで過ごせて良かった」と思っていただけたらうれしいです。これからも患者さんやご家族のお役に立てるよう、医療面だけでなく生活面でのサポートも大切にしながら、ケアマネジャーや訪問介護・訪問看護のスタッフと密に連携し、患者さんにとって何が必要かを相談しながら、より良い生活を送っていただけるよう努めていきたいです。

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