塚本 仁 院長の独自取材記事
塚本内科クリニック
(東大阪市/俊徳道駅)
最終更新日:2024/10/21
JRおおさか東線・近鉄大阪線俊徳道駅から徒歩2分という至便な場所にある「塚本内科クリニック」。前院長が患者親子3代にわたって地域医療に貢献してきた前医院を継承し、2024年1月に改称して開業した内科・腎臓内科のクリニックだ。塚本仁院長は四半世紀にわたって日本腎臓学会の腎臓専門医として診療に携わってきた経験から「悪化する前に早期発見し、治療することの大切さ」を痛感。腎臓病の予防や早期治療に注力するとともに、腎臓病とも密接な関係がある高血圧症や糖尿病など生活習慣病の治療も行っている。そこで、同クリニックの診療内容や今後の展望などを語ってもらった。
(取材日2024年9月25日)
腎臓専門医として質の高い医療を提供する
こちらのクリニックは、2024年1月にご継承されたそうですね。
この場所で地域の患者さん親子3代にわたって診療されていた「内田医院」を継承させていただき、2024年1月に「塚本内科クリニック」と改めて開業しました。前院長の内田博重先生とは、大阪府医師会交響楽団の活動を通じて知り合い、内田先生は指揮を、私はヴィオラを担当するなど、20年以上にわたり交友を深めてきました。しかし、残念ながら内田先生は2023年1月にご逝去されたことで内田医院は閉院となったのですが、その年の3月にご遺族の方からこの病院の後継者を探していると伺ったことで、これも先生とのご縁だと感じたことから、当院を開院することにしました。地域の人々の健康を支え、尽力された内田先生の思いを継ぐとともに、地域の皆さまが安心して通える場所になっていければうれしいです。
こちらではどのような診療を受けられるのでしょうか。
風邪やインフルエンザをはじめ、高血圧症、糖尿病、高脂血症といった内科一般について診察しています。実は内田先生の時代から通院されている患者さんが、内田医院がなくなったことで不便を強いられているという話を聞いたことも、開院を決めたもう1つの理由です。ほとんどが高齢の患者さんのため、遠くの病院に通うのも困難な上、生活習慣病のような慢性疾患に対するお悩みを抱えていらっしゃる方も多いので、これまでと同じように通い慣れた病院で診療が続けられる体制をつくりたいと思ったのです。また、私自身はこれまで日本腎臓学会の腎臓専門医として長く診療に携わってきたので、腎臓疾患にも力を入れた診察も行っています。腎臓疾患は高血圧症や糖尿病、高コレステロール血症といった生活習慣病とも深く関係していますからね。そういう意味でも専門家としての知見と経験を生かしながら生活習慣病の管理やアドバイスを行っています。
腎臓疾患の予防・早期発見に注力されているのですね。
高血圧症や糖尿病の状態が続くと徐々に腎機能は低下しますが、特に高齢の患者さんの場合、腎機能が低下していることを認識されていないケースがよくあるのです。例えば、糖尿病の患者さんはカロリー制限のことは気にされていても、糖尿病による腎臓合併症に対してのタンパク制限や塩分制限をしていないことで、気がつけば腎機能低下がかなり進んでいたということも珍しくありません。逆に腎機能低下が原因で高血圧症や高尿酸血症などを引き起こしていたとしても、それを見逃されている場合も何度も見てきました。それらの病気を未然に防ぐには、誘因となる生活習慣病や腎臓疾患そのものの早期発見と治療、さらには管理を継続していくことが重要だと考えました。また、患者さんにもご自身の病気を理解していただくためにも、気軽に相談でき、しっかりとご説明ができる町のクリニックをめざしています。
病気の進行を食い止めることを医師としての課題に
先生のこれまでの経歴を教えてください。
大学卒業後は大阪市立大学医学部附属病院などで内科研修医として勤務し、数々の病院で診療経験を積んできました。実は最初は免疫系疾患を専門にしたいと思っていたのですよ。大学医学部5年生時の臨床実習の際に、Felty症候群というリウマチによく似た免疫系疾患の患者さんの対応を、主治医の先生たちとともにしていました。そのこともあり、免疫系を専門としたいという思いから、循環器内科や呼吸器内科、膠原病・リウマチ内科などを全般的に診ていた大阪市立大学医学部附属病院の内科診療科に入局しました。最終的には腎臓疾患と膠原病を扱う診療科を担当したのですが、それを機に腎臓内科を専門にしようと考え、腎臓内科医になってから25年ほどたちます。
なぜ、腎臓内科を専門に選ばれたのですか?
病院に来られる腎臓病患者さんが、最終的には透析治療になるケースをこれまで多く見てきたことですね。患者さんの中には若い人であっても長らく無治療のまま経過していたことから、あっという間に腎機能が低下されて数年で人工透析が必要になった方もおられました。また、膠原病の患者さんを治療していた際に、全身性エリテマトーデスという病気の方がいらっしゃったのですが、この病気は腎臓に障害を起こして人工透析を導入する場合も少なくはなく、このことも含めて腎臓という臓器の治療に関心が向いたのです。腎臓は機能が悪くなってもあまり自覚症状が出ないという特徴がある一方で、一度その機能を失うと元に戻すことが困難です。そうなる前にいかに食い止めるか。治療によっては患者さんのその後の人生を大きく左右するほど重要な臓器なので、しっかりと専門知識を持って治療にあたれる腎臓疾患のスペシャリストをめざしたいと思ったのです。
診療で心がけていることを教えてください。
まずは患者さんの思いやお悩みに対して真摯に耳を傾けることを一番に考えています。「どのような治療をしてほしいのか」といった患者さんの声をくみ取りながら、患者さんがきちんと理解し、納得した上で治療を進めるように心がけています。また、腎臓疾患に関しては早期診断と適切な治療選択を行うことで、症状を改善させるための治療、悪化させないための治療に力を入れています。高血圧症や糖尿病などを患っている患者さんの中には、検査をすると腎機能の低下が認められる方が少なからずいらっしゃるので、早めに治療につなげて将来的な腎臓病のリスクを低減できるよう努めています。
健康寿命を延ばすため早期発見に注力する
院内は明るくて開放的な空間ですね。
ありがとうございます。開院するにあたり全体的に改装したのですが、特にこだわったのが待合室や出入口が見渡せる広々とした受付カウンターです。当院は高齢の患者さんが多いので、何かあったときにすぐにサポートできるよう配慮しています。出入口は靴を脱ぐ仕様にはなっていますがバリアフリーなので、車いすの方はそのまま診察室まで入ることもできます。待合室も自然光を取り入れた明るく広々としたつくりなので、圧迫感がなく、ゆったりした気持ちで過ごせると患者さんには好評です。また、発熱症状などがある患者さんに対し、発熱者専用の別室も新たに設けましたので、安心して受診していただければと思います。
腎臓疾患の予防や早期発見に関してアドバイスはありますか?
腎臓病を予防するには適度な運動や塩分・タンパク質の摂取量をコントロールした食事管理、禁煙といった生活習慣の是正は当然ながら、日頃から血圧に気をつけることが大切ですね。腎臓の働きが悪くなると余分な塩分や水分が十分に排泄できず、循環血液量が増えて血圧が上がりますから。さらに血圧が上がると腎臓への負担が増えるという悪循環に陥るので注意が必要です。とはいっても、高血圧だから誰もが腎臓病になるとは限りませんので、病気を見逃さないようにするには定期的な血液検査と尿検査が一番の予防であり、早期発見につながります。しっかりと患者さんの体を診て、一人でも多くの方の健康寿命を延ばすことに注力していきたいですね。
読者へのメッセージをお願いします。
これまでの経験を生かして、正しい診断をつけ、適切な治療ができる医療を提供していきたいと考えています。例えば、健康診断で腎臓関連の数値が悪かったことから来院される方は、自覚症状がないだけに実際はどのぐらい悪いのだろうと不安を抱えていらっしゃる方もよくおられます。当院では検査をしっかり行った上で、今後の治療についてのご説明や生活のアドバイスもさせていただくので、ぜひ安心して受診していただければと思います。もちろん風邪などの日常疾患にも対応しています。病気や体の不調でお困りの方に、信頼してもらえるクリニックをめざしていますので、気がかりなことがあればご相談ください。