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森原 剛史 院長の独自取材記事

心と物忘れのクリニック北摂山田

(吹田市/山田駅)

最終更新日:2026/06/10

森原剛史院長 心と物忘れのクリニック北摂山田 main

阪急千里線・大阪モノレール線山田駅から徒歩5分の医療ビルに位置する「心と物忘れのクリニック北摂山田」。院長の森原剛史(たかし)先生は、大阪大学で長年にわたり、精神疾患や認知症の診療およびアルツハイマー病の未来の診断・治療法実現をめざす研究に従事してきた。初診、再診ともに予約制で、患者の話にじっくりと耳を傾ける。「診療では、患者さんやご家族が思わず笑顔になるような、ホッとできる瞬間をつくることを心がけています」と語る森原院長に、クリニックの特長や診療への思いを聞いた。

(取材日2025年6月25日/更新日2026年6月8日)

大学病院レベルの診療を通じて心の回復を支えたい

先生のご経歴を教えてください。

森原剛史院長 心と物忘れのクリニック北摂山田1

大阪大学医学部を卒業後、大阪大学医学部附属病院の老年内科と精神科などで研修をしました。その後大学院に進み、2000年からは約4年半、アメリカのUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)に留学。研究を重ね、その結果がアルツハイマー病の治療薬の臨床開発につながりました。帰国後は主に大阪大学で、精神科疾患の臨床とアルツハイマー病の研究に力を注ぎ、教授を務めた寄付講座では、海外のスタートアップ企業と認知症の診断法の開発にも取り組みましたね。ここ数年でアルツハイマー病の診断と治療は大きく変化しましたが、自分が長年取り組んできた研究が何らかの形で関わっていると思うと、感慨深いですね。

この地で開業された経緯などをお聞かせください。

最初は大阪市内での開業も考えましたが、すでに市内で開業されている先生方から、「医療機関の選択肢が多いと、患者さんが気軽に転院してしまう」という話を聞き、この地にたどり着きました。私は一人の患者さんとじっくり向き合い、長く診ていきたい気持ちが強かったので、周辺にクリニックが少ないほうがいいのではと考えたのです。精神科は外科のように手術設備を必要としないので、大学病院でしかできないことが限られています。それだけに、「七診」まである大阪大学医学部附属病院精神科の「八診」を担えたらという気持ちで、開業以来、高いレベルの医療の提供をめざしています。

内装や設備でこだわった点はありますか?

森原剛史院長 心と物忘れのクリニック北摂山田2

まず誰でも気軽に入れるよう、内装は機能的でシンプルにしました。2つある診察室は、どちらもご家族と一緒に入れるよう広めに設計し、ソファーも設置しています。ご家族や付き添いの方の同伴は大歓迎です。患者さんの椅子は、私と同じ物を使用。これは、医師と患者さんが対等に協力しながら診療を進めるという考えに基づいています。診察室の壁と天井は防音仕様です。また、待ち時間を快適に過ごせるよう待合室には無線LANとコンセントを完備しています。ちなみに当院のロゴは私が描きました。繊細な線で描いた鳥は人の心の繊細さを表しており、鳥が飛び立つ姿に「人の心には回復力があり、いつかまた飛び立てる」という想いを込めています。

先端の知識も活用しながら、標準的な医療を丁寧に行う

診療方針や診療の特徴を教えてください。

森原剛史院長 心と物忘れのクリニック北摂山田3

保険診療を基本としつつ、大学で培った経験を生かして医療の水準向上をめざしています。大切にしているのは、標準的で確立された治療を提供すること。独自の治療ではなく、まずは教科書に載っている基本的な治療を丁寧に行うことを心がけています。一方で、健康リテラシーの高いこの地域の皆さまの期待に応えるべく、必要に応じて先端の知見も活用しています。医療は日々進化していますので、高度な専門性を生かし適切な情報を選択していきたいですね。また当院には、大学病院でも確保が難しい日本看護協会老人看護専門看護師と日本看護協会認知症看護認定看護師が週2回勤務しています。そのため、専門性の高いスタッフによる看護相談を通じ、ご家族に寄り添った実践的な助言も行えます。

認知症の診療の流れについてお聞かせください。

初診では十分な時間を確保し、状況を丁寧に共有します。もし認知症が疑われる場合は、その場で簡易検査を実施。一般的には臨床心理士が担当することが多いですが、当院では私が直接行い、より多くの情報を得て診断精度を高めています。必要に応じて、血液検査や経験豊富な臨床心理士による心理検査も行います。MRI検査が必要な場合は、提携医療機関をご紹介し、すべての検査結果がそろった段階で再度ご来院いただき、診断結果とともに、予測される今後の変化や対応策についても詳しくご説明します。抗Aβ抗体薬など新しい治療が有用と考えられる場合には、その可能性をお伝えし、ご希望があれば大阪大学医学部附属病院と連携して治療を行います。

認知症の診療で大切にされていることは?

森原剛史院長 心と物忘れのクリニック北摂山田4

ご家族の適切な対応に加え、患者さんご自身が周囲の力を上手に借りられるようになることが大切と考えています。そのため、当院では基本的に診断名をご本人にお伝えしていませんが、脳の状態やそれによりできないことについてはきちんとご説明し、その上で人の力を借りること、そして助けてもらったときに「ありがとう」と伝えることの大切さをお話ししています。特にこの地域には、現役時代にたくさんの成功体験を積んでこられた方が多く、そうした方々は人の助けを借りるのが苦手なこともあります。もしそのような患者さんがいらしたら、これまで積み重ねてきたものを認めた上で「助けを受け入れられる人は、年を重ねてもより人生を楽しめているように見えますよ」といったお声がけをしながら、前向きな気持ちを育てることが大切だと考えています。

ご家族も一緒に診察を受けることを勧めておられますね。

認知症の場合は、症状や生活状況を把握されている方の同伴がとても大切です。治療を進める中で、ご家族がご本人のできないことばかりに目を向けると双方にとって負担が増えてしまうので、認知症の方との向き合い方について共有した上で、日々のさまざまな工夫やコツをお伝えするようにしています。また、うつ病、統合失調症、不安障害や睡眠障害といった精神疾患もそうですが、ご家族がその場にいるからこそ気づけることがよくあります。人は本来、回復する力を持っていますが、その力を発揮するには環境も大切です。ただ、家庭は閉じた空間になりやすく、精神的ストレスがガスのようにたまることもありますので、ご家族にも気持ちを話していただくことで、心が回復する環境を一緒につくっていけたらと思います。

診察では患者や家族が笑顔になれる空間づくりを

患者さんと接する際、大切にされていることは?

森原剛史院長 心と物忘れのクリニック北摂山田5

私自身が明るい雰囲気で患者さんに接し、患者さんやご家族が思わず笑顔になるような、ホッとできる瞬間をつくることを意識しています。精神疾患の回復には時間がかかりますし、認知症は元どおりに治る疾患ではありません。どんな名医が診ても、どれだけご家族が頑張っても、いつかは進行してしまう疾患です。だからこそ、診察室の雰囲気が明るいことが、とても重要なんです。明るさや笑いは、適切な鑑別診断と同じくらい大切な診療の一部だと考えています。

精神科を専門に選んだ理由を教えてください。

高校時代は物理が好きで、マシン語を使ってゲームを作り、販売までしていたんです。そちらに進もうかとも思ったのですが、当時、物理学の第一人者たちが、世界で起こる現象を精神の視点から解き明かそうとする流れがあり、それに影響を受けて精神科に興味を持ち、医学部に進学しました。ただ、実際に入学して精神科の実習を受けた時、「あまり医師っぽくないな」と感じて、最初は内科医として研修を始めたんですよ。そんな中、厳しいことで知られる先輩から「明るい雰囲気を持っているから、高齢者医療に向いているかもしれないね」と言っていただきました。この言葉が、自分の進路に大きな影響を与えてくれたと思います。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

森原剛史院長 心と物忘れのクリニック北摂山田6

大学病院時代は、診療に十分な時間を確保することが難しかったのですが、現在は診療に適した体制を整え、高い専門性を持った看護師も在籍し、充実した診療ができることをうれしく思っています。今後、患者さんが増えると、今のようにたっぷり時間を取るのが難しくなるかもしれませんが、工夫しながら健康意識の高い方にもご満足いただける医療を提供できるよう尽力していきます。現在は、20代の適応障害や発達障害の方から、70代以上の認知症の方まで、幅広い年代の方が来院されています。地域の皆さまの困り事に寄り添いたいと考えていますので、ぜひお気軽にご相談ください。