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森原 剛史 院長の独自取材記事

心と物忘れのクリニック北摂山田

(吹田市/山田駅)

最終更新日:2025/07/29

森原剛史院長 心と物忘れのクリニック北摂山田 main

阪急千里線・大阪モノレール線山田駅から徒歩5分の医療ビルに位置する「心と物忘れのクリニック北摂山田」。院長の森原剛史(たかし)先生は、大阪大学で長年にわたり、精神疾患や認知症の診療およびアルツハイマー病の未来の診断治療法実現をめざす研究に従事してきた。初診、再診ともに予約制で、患者の話にじっくりと耳を傾ける。「診療では、患者さんやご家族が思わず笑顔になるような、ホッとできる瞬間をつくることを心がけています」と語る森原院長に、クリニックの特長や診療への思いを聞いた。

(取材日2025年6月25日)

大学病院と同等の診療を届けたい

先生のご経歴を教えてください。

森原剛史院長 心と物忘れのクリニック北摂山田1

大阪大学医学部を卒業後、大阪大学医学部附属病院の老年内科と精神科などで研修をしました。大学院に進学し、2000年から約4年半、アメリカのUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)に留学しました。UCLAでの研究結果は、アルツハイマー病の治療薬の臨床開発につながりました。帰国後は主に大阪大学で、精神科疾患の臨床とアルツハイマー病の研究に注力。教授を務めた寄付講座では、海外のスタートアップ企業と認知症の診断法の開発にも取り組みました。ここ数年でアルツハイマー病の診断と治療は大きく変化しました。これらには長年取り組んできた研究がなんらかの形でつながっているので、とてもうれしく思っています。

この地で開業された経緯などをお聞かせください。

最初は大阪市内での開業も考えました。しかし、すでに市内で開業されている先生方から「クリニックの密度が高いと、患者さんが気軽に転院してしまう」と聞いたのです。私は一人の患者さんとじっくり向き合い、長くお付き合いしたいタイプなので、周囲にクリニックが少ないこの場所のほうが自分に合っていると感じ、選びました。私の気持ちとしては、7診まである大阪大学医学部附属病院精神科の「8診」のつもりで当院を開業しました。精神科は外科のように手術を行うわけではなく、大学病院でしかできないことが限られていることもあり、開業以来、高いレベルの医療の提供をめざしています。

内装や設備は、どのような点にこだわられましたか。

森原剛史院長 心と物忘れのクリニック北摂山田2

まず、誰でも気軽に入れるよう、内装は機能的でシンプルにしました。診察室は2部屋あり、どちらもご家族と一緒に診療を受けられるよう広めに設計し、ソファーも設置しています。ご家族や付き添いの方の同伴は大歓迎です。患者さんの椅子は、私と同じ物を使用。これは、医師と患者さんが対等に協力しながら診療を進めるという考えに基づいています。診察室の壁と天井は防音仕様です。また、待ち時間を快適に過ごしていただけるよう、待合室には無線LANとコンセントを完備しています。ちなみに当院のロゴは私が描きました。人の心をイメージし、繊細な線で描いた鳥には「心は弱くても回復力があり、いつかまた飛び立てる」という想いを込めています。

先端の知識だけでなく、標準的な医療も大切に

診療方針や診療の特長を教えてください。

森原剛史院長 心と物忘れのクリニック北摂山田3

保険診療を基本としつつ、大学で培った経験を生かして医療の水準向上をめざしています。癖のある独自の治療ではなく、標準的で確立された治療を提供することを大切にしています。先端の知識も重要ですが、まずは教科書に載っている基本的な治療を丁寧に行うことを心がけています。医学情報は日々進化し膨大になっており、適切な情報を選ぶには高度な専門性が求められます。健康リテラシーの高いこの地域の皆さまの期待に応えるべく、必要に応じて先端の知見も活用しています。また、当院には、日本看護協会の老人看護専門看護師と日本看護協会認知症看護認定看護師が週2回勤務しています。大学病院でも確保が難しい専門人材による看護相談では、ご家族への対応などに関する具体的な助言も可能です。

認知症の診療の流れについてお聞かせください。

初診では十分な時間を確保し、状況を丁寧に共有します。認知症が疑われる場合は、その場で簡易検査を実施。一般的なクリニックでは臨床心理士が担当しますが、当院では私が直接行い、より多くの情報を得て診断精度を高めています。必要に応じて、血液検査や経験豊富な心理士による心理検査も行います。MRI検査が必要な場合は、高性能機器を備えた提携医療機関をご紹介します。すべての検査結果がそろった段階で再度ご来院いただき、診断結果とともに、予測される今後の変化や対応策についても詳しくご説明します。抗Aβ抗体薬など新しい治療が有用と考えられる場合には、その可能性をお伝えし、ご希望があれば大阪大学医学部附属病院と連携して治療を行います。

認知症の診療で大切にされていることは?

森原剛史院長 心と物忘れのクリニック北摂山田4

ご家族の適切な対応に加えて、患者さんご自身が周囲の力を上手に借りられるようになることが大切だと考えています。そのために、当院では基本的に診断名はご本人にはお伝えしていませんが、脳の状態やそれによりできないことについてはきちんとご説明し、その上で人の力を借りること、そして助けてもらったときに「ありがとう」と伝えることの大切さをお話ししています。特にこの地域には、現役時代にたくさんの成功体験を積んでこられた方が多く、そうした方々は人の助けを借りるのが苦手な方も多いです。もしそのような患者さんがいらしたら、優秀さを認めた上で「助けを受け入れられる人は、年を重ねても人生を楽しめているように見えますよ」といったお声かけで、前向きな気持ちを育てることが大切だと考えています。

ご家族も一緒に診察を受けることをお勧めされていますね。

認知症の場合は、ご本人が状況を認識されていないことが多いので、症状や生活状況を把握されている方の同伴がとても大切です。治療の過程でも「できないことを叱っても仕方がない」という前提のご家族との共有に始まり、さまざまな工夫をご家族としていただく必要があります。これらのコツをしっかり家族にお伝えしたいからです。認知症以外の、うつ病、統合失調症、不安障害や睡眠障害といったさまざまな精神疾患でも、ご家族同伴だとご本人と私だけの診察ではわからないことに気づけることがしばしばあります。さらに、家庭は閉じた空間になりやすく、精神的なストレスがガスのようにたまってしまうこともあります。人は本来、回復する力を持っていますが、その力を発揮するには、環境も大切。ご家族にも診察室で気持ちを話していただくことで、心が回復する環境を一緒につくっていけたらと思います。

診察には、患者や家族が笑顔になれる工夫を盛り込む

患者さんに接するときに、大切にされていることは?

森原剛史院長 心と物忘れのクリニック北摂山田5

私自身が明るい雰囲気で患者さんに接し、診察の時間内に患者さんやご家族が思わず笑顔になるような、ホッとできる瞬間をつくることを意識しています。精神疾患の回復には時間がかかりますし、認知症は元通りに治る疾患ではありません。どんな名医が診ても、どれだけご家族が頑張っても、いつかは進行してしまう疾患です。だからこそ、診察室の雰囲気が明るくあることが、とても重要。明るさや笑いは、適切な鑑別診断と同じくらい大切な診療の一部だと考えています。

精神科を専門に選んだ理由を教えてください。

高校時代は物理が好きで、マシン語を使ってゲームを作り、販売までしていたんです。そちらに進もうかとも思ったのですが、当時、物理学の第一人者たちが、世界で起こる現象を精神の視点から解き明かそうとする流れがあり、それに影響を受けて精神科に興味を持ち、医学部に進学しました。ただ、実際に入学して精神科の実習を受けたとき、「あまり医師っぽくないな」と感じて、まずは内科医として研修を始めました。そんな中、厳しいことで知られる先輩医師から「明るい雰囲気を持っているから、高齢者医療に向いているかもしれないね」と言っていただきました。この言葉が、自分の進路に大きな影響を与えてくれたと思います。

読者へメッセージをお願いします。

森原剛史院長 心と物忘れのクリニック北摂山田6

大学病院時代は、診療に十分な時間を確保することが難しかったのですが、現在は診療に適した体制を整え、専門性の高い看護師も在籍し、充実した診療ができることをうれしく思っています。今後、患者さんが増えると、今のようにたっぷりと時間を取るのが難しくなるかもしれませんが、それでも健康意識の高い方にもご満足いただける医療を提供できるよう尽力していきます。現在は、20代の適応障害や発達障害の方から、70代超えの認知症の方まで、幅広い年代の方が来院されています。お近くにお住まいの方の困り事にはしっかりと寄り添いたいと考えていますので、お気軽にご相談ください。

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