外村 大輔 院長の独自取材記事
とのむらクリニック
(柏原市/柏原駅)
最終更新日:2024/10/09
柏原駅から徒歩6分。ビルの2階に2024年8月に開業した「とのむらクリニック」がある。院長の外村大輔先生は地域の中核病院の循環器内科で約13年間勤務したドクターで、日本循環器学会循環器専門医でもある。心臓や血管の病気で重症化した患者を数多く診てきたことから、「病気になる前に、早期発見・治療することで健康寿命を少しでも長く保つサポートができれば」と、地域に根づいた診療を行うため同院を開業した。専門性を生かしながらも「なんでも相談できるかかりつけ」として、風邪などの一般内科、健診、ワクチン、生活習慣病などにも対応している。超音波検査専門のスタッフも常駐するなど、検査から治療までをワンストップで提供できる体制を整えている。外村院長に医療への思いや循環器疾患の診療など、さまざまな視点から話を聞いた。
(取材日2024年9月11日)
循環器疾病の早期発見や予防に寄与したいと開業
開業に至った経緯についてお聞きします。
当院は2024年8月に開業した、循環器内科と一般内科を診療するクリニックです。私は羽曳野市の城山病院という南河内地域の急性期医療を担う中核病院の循環器内科で、日本循環器学会循環器専門医として約13年間勤務してきました。一般外来の診察だけでなく、主にカテーテル手術を担当し数多くの治療を行っていました。その時、重症化してから病院に来られる患者さんが本当に多くおられたんです。特に心筋梗塞や狭心症といった心臓疾病の方が顕著で、そうなる前にもっと早くに気づくことができたんじゃないか、予防できたんじゃないかと思うことも多く、一度発症したことで、命はもとより生活の質を落とす姿を何度も見てきました。そういった方々を救うためには、できれば病気になる前の段階で早期発見・早期対応ができ、なおかつ予防もできるようなクリニックを開きたいと考えて開業に踏み切りました。
どんなクリニックをめざしていますか?
患者さんからは「最期までこの先生に診てもらいたい」と思ってもらえるような信頼関係を築いていきたいですし、私もその思いに応える責任と覚悟を持って診察にあたりたいと思っています。うれしいことに今も勤務医時代の患者さんが多く通ってくださっているんですよ。循環器の病気は通院歴も長くなるので、患者さん一人ひとりとしっかりと向き合いながら、元気に自分らしく暮らせるよう全力でサポートしていきたいですね。それこそが地域に根差したクリニックのめざすべき姿だと思っています。また、地域に密着した医療を提供する以上は循環器内科の症状だけでなく、さまざまな病気に対して早めに気づいて対応し、アドバイスもできるよう心がけています。
なぜ、循環器内科を専門にされたのですか?
もともとは学生時代にラグビーをやっていたこともあり、整形外科などスポーツに関わる医師をめざしていました。ところが、私が医師になって間もなく父が病気で亡くなり、そのとき自分は駆け出しながら医師であるのに何もできず、自分の不甲斐なさや経験・知識不足をつくづく痛感したんです。それがきっかけで、医師を志すなら命と直結した現場で働きたいという思いに変わり、大阪府済生会千里病院の千里救命救急センターに勤務しました。ここでは緊急性のある患者さんが毎日運ばれ、さまざまな症例を診ることができたので、医師としての技量はもちろん、ハートも鍛えられましたね。3年間ほど働いたんですが、急患の中でも心臓疾病などで運ばれてくる人の多さを目の当たりにし、早期発見・治療の重要さを日々感じていたことから、循環器内科を極めようと思ったんです。
迅速な検査体制による治療が強み
診療内容について教えてください。
当院は気軽に頼っていただけるような町のクリニックをめざしています。専門の循環器疾患ももちろんですが、一般内科の診察も行っており、院内には発熱や感染症症状のある患者さん専用の入り口と待機スペースを用意しています。循環器内科では全身に血液を巡らせる心臓や血管の病気を専門に診療しています。狭心症や心筋梗塞、不整脈などの心臓の病気や、動脈硬化症や動脈瘤などの血管の病気に幅広く対応しています。例えば息切れやむくみなど、ご自身では些細な症状と思われるものでも、循環器内科医の視点で診ることで病気を発見できることもあります。そしてその原因にもなる糖尿病や高血圧症といった生活習慣病の治療にも力を入れていますので、少しでも気になる症状があれば気軽に来院してほしいです。
超音波検査専門のスタッフが常駐されているそうですね。
開業前から超音波検査を専門に行うスタッフには常駐してもらおうと決めていました。総合病院ならともかく、町のクリニックで常駐するのは珍しいかもしれませんね。専門のスタッフが常駐しない場合、検査が先延ばしになったり、ほかの病院を紹介して検査を受けていただいたりと、患者さんに時間も手間もかけてしまうことが多々あります。特に循環器疾患の場合、早い段階で検査を受けてリスクを回避することが重要なので、その場ですぐ検査ができ、即治療に反映できる体制を整えたいと思ったんです。病院によっては医師が検査を行う場合もありますが、循環器疾患は超音波検査の質で診断や治療後の経過が大きく変わってきます。疑わしい所見を見逃さないためには、精度の高い検査を追求する必要があり、それには専門知識を持ったスタッフが必要です。当院の検査担当スタッフは、以前から技術力を高く買っていたので、全幅の信頼を寄せています。
検査機器が充実していますね。
心臓や血管のエコー検査のほか、動脈硬化のレベルを測るための動脈硬化検査、24時間ホルター心電図検査など、一般的な循環器検査であればほとんど対応可能です。例えば診察時に心雑音を確認すれば、すぐに検査をして結果を迅速に患者さんと共有しています。良好な結果であれば、早くお伝えできたほうが患者さんもうれしいですしね。また、半年か1年ごとに検査を行う軽症・中等症レベルの患者さんなら、かかりつけ医でできたなら負担も減らせますし、何より安心だと思います。そのほか、血糖やコレステロールなどの成分分析を行う生化学自動分析装置や呼吸機能検査装置、糖尿病診断機器など先進の設備を準備しているので、安心して受診してください。
患者の顔を見て話す。それが医師としての基本姿勢
先生は話しぶりも気さくで、親しみやすいお人柄を感じます。
一見すると無口なこわもてに思われるんですが、実は話し好きなんですよ。だから、患者さんと接するときも問診だけして「はい、終わり」ではなく、趣味やご家族の話など他愛もないおしゃべりをする時間を大切にしています。でも、それを含めて診療だと思っているんですよ。普段の暮らしぶりやストレスに感じていることなどを聞くことで、その方の病気の原因や対処法などがわかることもありますからね。そして、医師になったときから、患者さんのお顔をしっかりと見て、患者さんに体を向けて話をすることだけは忘れないようにしています。本来はカルテを書きながら診察すべきなんでしょうが、まずは話に集中することで患者さんの思いをきちんとくみ取れる診療をしたいと思っています。
院内のモニターではスタッフさんの紹介もされているとか。
患者さんは担当医のことは知っていても、ほかのスタッフのことは名前もわからないということはよくあると思うんです。けれど、当院は私を含めたスタッフ全員が一つのチームとなって患者さんの治療に取り組み、元気になってもらいたいと思っています。みんなのことをもっと知ってもらうことで、患者さんも気持ち良く過ごせる場所になれたらと考えて、スタッフ紹介をしています。中でも当院の看護主任は男性で、彼は当院の立ち上げ時から尽力してくれた私にとっては相棒的な存在。患者さんの中には彼と話すのを楽しみに訪れる人も多いんです。小さなクリニックなので、患者さんとのつながりを大切にして、「あの看護師さんがいつも声をかけてくれる」「受付の人が優しかった」という声が聞こえるようなクリニックに育てていきたいですね。
読者へメッセージをお願いします。
「元気、丁寧に」。それが医師になった時から大切にしてきた思いです。開業したばかりのクリニックですが、私も含めスタッフも皆、医療の専門家として研鑽を積んでいますので、安心して来院してもらえればと思います。専門は心臓、循環器内科ですが、救急科、一般内科での経験も生かし、さまざまな症状の対応に努めます。どんな些細なことでも「体がいつもと違うな」と感じたら、気軽にご相談ください。