三輪 知志 院長の独自取材記事
桜木町おひさま歯科 ・矯正歯科
(横浜市中区/桜木町駅)
最終更新日:2025/03/10

桜木町駅から徒歩約5分の所にある「桜木町おひさま歯科・矯正歯科」は、先端のデジタル技術を活用し、院内でマウスピース型装置の設計から作製まで一貫して行う「インハウス式アライナー型装置を用いた矯正」が特徴のクリニックだ。「痛いところだけすぐに治したいという方よりも、一歩ずつ丁寧に治したい方が、当院には多くいらっしゃいます」と話すのは、三輪知志院長。同院では、初診時にたっぷり90分をかけて検査・問診を行い、全顎的かつ包括的な治療をモットーとしているからだ。また、幼少期から取り組む、健全な顔面の発達も重視。クリニック名の「おひさま」は、近所にある伊勢山皇大神宮の太陽神に由来し、温かい雰囲気のワードを選んだという。穏やかな語り口で一人ひとりの患者が抱える悩みにじっくりと向き合う、三輪院長に話を聞いた。
(取材日2025年1月17日)
将来の口の健康を考えたさまざまな段階へのアプローチ
先生は口腔だけでなく、全身の健康についても着目されているそうですね。

実は、口腔内環境は全身の健康と深くつながっているのです。例えば、口腔内で発生した細菌はいずれ全身に感染し、感染性心内膜炎などの心臓病をはじめとした、さまざまな病気の原因になり得るのです。また、お子さんであれば、顔面の発育不全は近年のトピックスとなっています。骨格がうまく発達せず鼻で呼吸しにくくなると、口で呼吸するようになります。口呼吸だと舌が適切な位置に置かれず、顔のバランスが崩れやすくなり歯並びも変わってしまうことがあるんです。舌が正しい位置にあり、鼻で息ができ、唇が閉じられていることは、子どもが成長する上でとても大切なことなんです。顔の発達が影響して気道が狭くなると、年齢を重ねたときに睡眠時無呼吸症候群につながるリスクもあります。このように、口腔内の環境や顔面の発達は全身に影響すると考えられるのです。
子どもの顔面の発育不全とは、どのようにアプローチしていくのでしょうか?
理想は-2歳、つまり出産前からまずお母さんの体を健康的に整えておく必要があると考えています。それは-1歳、つまり妊娠中のお母さんの体が赤ちゃんの生活環境であるとき、お母さんの姿勢や筋力次第で赤ちゃんのおなかの中での過ごしやすさが異なってくると考えるからです。お子さんが生まれた後は、いよいよお子さんご自身に頑張っていただく番になります。まず、鼻呼吸の練習や、顔の筋肉を動かすトレーニングメニューについてお伝えし、普段から姿勢や食べ方を意識してもらうようにしています。こうしたトレーニングから開始し、成長が終わった段階で矯正に取りかかります。一見、早すぎるアプローチのように感じるかもしれませんが、日々ぐんぐん成長している目の前の子どもたちに、手を差し伸べることができるのは、今この瞬間しかないのです。
矯正には、デジタル技術を活用されているとか?

はい。これまでのアナログ的な治療は、感覚的な経験の勘に頼りながら手探りで行っているものでした。デジタル技術を用いた治療においては、高精度なデータをもとに詳細なシミュレーションのもと行えることが特徴といえるでしょう。中でも特にお勧めしているのが、マウスピース型装置を用いた矯正のうち、工程のすべてを院内で完結できる「インハウス式アライナー型装置を用いた矯正」と呼ばれる矯正方法です。企業に外注するマウスピース型装置を用いた矯正は、いわばセミオーダーで、細部の調整が難しい場合もあります。当院が導入しているこの矯正方法は、3Dプリンターを用いることで、院内で細かな調整が可能となるフルオーダーの矯正です。高精度な矯正の提供だけでなく、矯正開始までの期間短縮にもなり、さらにはより良い適合もめざせる、という特徴があります。
デンタルIQを高めるための丁寧なカウンセリング
開業につながったきっかけは何だったのでしょうか?

開業の後押しになったのは「歯列矯正にしっかり取り組みたい」という想いでした。大学病院にいた頃は歯内療法を専門とし、マイクロスコープを使って1本の歯を残すための治療をする、ということをしていました。しかし「歯全体がうまく並んでいないと治療は難しい」と感じ、矯正に興味を持つようになりました。その後、一般の歯科医院と矯正専門の歯科医院で並行して勉強し、本格的に取り組みたいという気持ちが強くなっていったんです。そして、3Dプリンターなどのデジタル技術を活用した矯正法を採ろうと考えたとき、設備や院内システムへの投資が大きく、スタッフも含め全員でそれに向かっていく意識がないと実現は難しいと考え、自らかじを切れるようにと開業に至りました。地元が神奈川なのですが、自由診療にも理解が得られやすいと思い、土地柄を考慮して桜木町を選びました。
カウンセリングにも力を入れているのですね。
初診時に、検査や問診で90分を確保しています。ですから「痛いからすぐに治してほしい」という訴えの方よりも、一歩ずつ丁寧に治していきたい方が多い感覚がありますね。患者さん側も、少々お時間を確保いただく必要はありますが、そのぶんしっかりと認識を合わせながら、お互いに納得のできる、最善と思われる治療をご提案させていただきます。初診時のカウンセリングでは、自由診療の話や虫歯の予防、治療の方針などを説明します。「虫歯ができたら削ればいい」と思っている人も多いですが、治療するということは健康な歯も余分に削ってしまうということでもあるので、治療できる回数は限られていることもぜひ知っておいていただきたいポイントですね。最初に予防や治療に対する当院の考えを理解していただいた上で、納得して通ってもらえるように配慮しています。患者さんのデンタルIQを高めた状態を保ち、治療につなげていくことが大切だと思います。
設備面でこだわったポイントを教えてください。

こだわりとしては、一般的な歯科医院で使っているものの倍くらい大きなCTの機器を導入していることです。1回で全顎を撮ることができ、パソコン上でCTのデータと光学印象のデータなどをすべてマッチさせることができます。これまですべてアナログで行っていたことがデジタルでできるようになり、先述のような矯正や噛み合わせの診療では特に力を発揮します。かつ、そのデータを精密に再現できるのが3Dプリンターです。
デジタルの進歩とともに進化するのが目標
自由診療が充実している印象があります。

患者さんの希望にできる限り沿った対応をめざす場合、症例によっては、費用はかかっても自由診療で行うほうが良いと考えています。そのため、幅広くさまざまな症例に対応できるよう、そして最善の選択肢をご提示できるように、自由診療の領域は特に充実させられるような環境づくりをしています。もちろん、保険適用の範囲内でも実現可能な治療もあります。例えば、先述した全身のための口腔内感染の予防は、クリーニングなどで対応していますし、食生活など生活習慣から変えられることもあります。一方で今後も歯科の保険適用範囲が拡大することは難しいとも感じています。先端技術を用いた器具を使って対応するのか、もしくは保険範囲内でできることを行うのか、その点も患者さんには事前に説明してから診療に進むようにしています。
スタッフの育成にも力を入れているそうですね。
現在、私のほかに3人のスタッフがいます。いつ、どのスタッフでも、ウェブ上でセミナー動画が見られるような環境を整えました。スタッフ自身が興味を持ったテーマについて情報にアクセスしやすく、すぐ勉強できるようにしています。スタッフ自身の成長が、日々の診療につながったらいいなと思っています。
今後、めざす方向性や挑戦したいことについて教えてください。

デジタルの進歩とともに成長していくのが当面の方向性です。これからもデジタル技術は発展していくでしょうが、アナログな手法だけでは難しい領域も、デジタルで可能性を広げていきたいと考えています。まだ漕ぎだしたばかりで遠い将来はなかなか見通せませんが、軌道修正しながら着実に取り組んでいきたいです。
最後に、読者にメッセージをお願いします。
歯列矯正やインプラントなど、包括的・全顎的な診療をきちんと受けたいという患者さんに来ていただけたらうれしいです。また、子どもの頃から歯に着目することがその後の人生の健康にもつながる、と思っています。健全な顔面の発達を見守りつつ、虫歯や歯周病の治療にもしっかり取り組み、子どもたちの将来をより明るくしていけるよう、お手伝いしていきたいです。
自由診療費用の目安
自由診療とはマウスピース型装置を用いた矯正/33万円~