水上 陽 院長の独自取材記事
みずかみクリニック
(生駒郡斑鳩町/王寺駅)
最終更新日:2024/10/08
竜田大橋バス停から徒歩2分、王寺駅・新王寺駅から車で7分ほど。豊かな自然と風情ある町並みが残る斑鳩の地に2024年8月にオープンした「みずかみクリニック」。水上陽院長はその名のとおり、太陽のような笑顔が印象的な明るい雰囲気のドクターだ。その人柄を慕って、勤務医時代の患者が遠方から来院することもしばしばだという。水上院長は、開業前は外科の医師として臨床現場の第一線で数々の手術に携わり、特に肛門をはじめとする消化器の専門性を磨いた。同院ではその経験を生かし、内科、外科などに幅広く対応。胃・大腸内視鏡検査や痔の日帰り手術にも力を注ぐ。精密な検査のためのCTや、AIシステム搭載の内視鏡など先進機器の導入をしている。今回は水上院長が医師になったきっかけや開業へのこだわりを聞き、その熱意の源を探った。
(取材日2024年9月2日)
病院医療の一線から、早期発見をめざす地域密着医療へ
院長が医師の道を選んだ理由は何だったのでしょうか。
医師になりたいと思ったきっかけは、私をとてもかわいがってくれていた親戚が30代の若さで病気で亡くなったことでした。当時、高校生だった私は大きなショックを受け、医学部をめざすことを決めたのです。神戸大学入学後は、がんの治療に携わりたいと先生に相談し、外科の道を進むことを勧められました。それから外科に詳しいさまざまな先生に話を聞いて勉強を重ね、卒業後は京都大学の外科教室にて学びました。その後は大きな病院で勤務するようになり、消化器内科を専門としつつ、外科全般の手術を行ってきました。
開業に至った経緯を教えてください。
勤務医時代には本当にたくさんの手術を担当しました。特に消化器全般は数えきれない症例を治療し、他にも盲腸や胆石などに幅広く対応しながら経験を重ねてきました。そうした中で、新型コロナウイルス感染症流行以降、病気が進行してしまった状態で来院される方が増えたように感じていました。院内感染を恐れたり、医療現場の逼迫状況から病院に行くことを控えてしまう人が増えたことが要因だと思います。もし、病院がもっと行きやすい場所だったら、早期発見できたかもしれません。そのような問題意識から、受診のハードルが低くて気軽に行けるクリニックをつくりたいという思いが強くなり、開業に至りました。医療機関に行くと何か悪いことが見つかって、怒られたり、苦しい思いをしたりすると思っている人も多いので、そういったイメージを変えていきたいです。
なぜ斑鳩町に開業したのでしょうか。
斑鳩町は妻の地元であり、龍田神社を中心に地域社会が成り立つ素晴らしい町です。紅葉の美しい竜田川や、風情ある古い町並みが残り、人々の思いやりにあふれたこの地域が大好きになりました。クリニックもまたそんな地域社会の中で人が集まる空間になってほしいという思いから、この土地に開業を決めました。開業にあたっては、地域のさまざまな方に支えられました。そして、まだ開業間もないにもかかわらず、乳幼児から90代まで幅広い方が来院してくださっています。外科の医師として全般的な医療に携わってきた経験から、どんな不調にもできる限り対応しています。もしクリニックでは難しい内容があれば、連携している奈良県西和医療センターや近畿大学奈良病院などにすぐにおつなぎします。
開業にあたってこだわったポイントはどこでしょうか。
外観、内観ともに和の風合いを取り入れて自然豊かな町の景観になじむようにしました。親しみやすい雰囲気を重視する一方で、機器は先進のものを導入しています。特にCTの設置にはこだわりました。クリニックレベルでCTを有しているところは多くないと思いますが、小さな異変も検知するための機器を導入することは私にとっては必須でした。ハードルの低いクリニックで、早い段階で病気を見つけられることが開業の動機でもあるためです。また、現役世代で医療機関の受診が難しい人のためにも日曜・祝日以外は毎日診療し、朝は9時から夜は19時まで対応している曜日もあります。
AI病変判定、日帰り手術。精密で時短な医療を
どのような主訴の患者さんが来られますか。
消化器内科での経験が長いため、胃腸の不調で見える患者さんの割合は多いのですが、高齢者が多い地域でもあるので高血圧症や糖尿病など生活習慣病の患者さんもたくさんいらしています。また皮膚のできもの、痔など外科的な処置を求めていらっしゃる方も多いですね。当院としては特に内視鏡検査と痔の日帰り手術にも力を入れたいと考えています。
内視鏡検査ではAIシステムを導入されているそうですね。
内視鏡検査ではAIがリアルタイムで病変を判定する先進のシステムを採用し、私とAIの二段構えで早期発見につなげます。カメラの径がとても細いので、経鼻での検査にも利用できます。また鎮痛剤を使えば、半分眠ったような状態で検査を受けていただけるので、痛みや不安は大幅に軽減されるでしょう。頻度としては、男女ともに40歳を過ぎたら2~3年に1度は大腸の内視鏡検査を受けるのがお勧めです。2022年のデータでは、国内のがんで死亡した人のうち大腸がんで亡くなった人の数は、女性は1位、男性2位と、非常に怖い病気です。一方、ポリープを切除することで、生涯で大腸がんになる可能性を減らすことが望めるため定期検診のメリットは大きいです。胃と大腸の内視鏡検査を同日に行うことも可能なので、時短につながっています。忙しくて時間が取りづらい方もぜひご相談ください。
痔の日帰り手術も行っていると聞いています。
私は日本大腸肛門病学会大腸肛門病専門医の資格を持ち、肛門の手術も得意としています。トイレでお尻から血が出ていて、不安になった経験がある人も多いのではないでしょうか。当院では、出血の原因が痔であっても大腸であっても専門的な知見から診察することができます。診察の上で痔であった場合は日帰り手術が可能です。痔の種類や治療法はさまざまですが、一例として痔核(イボ痔)の日帰り手術は、主に切らずに注射を打つALTA療法という方法で行っています。メスを入れないので、痛みも心身への負担にも配慮しているのが特徴ですね。処置の時間は10分程度で、準備から術後の休憩まで含めてもトータル1時間から1時間半程度で終わり、そのままご帰宅いただくことができます。
「真っすぐ目を見てにっこりと」で信頼関係を築く
患者さんと接する時に大事にしていることはなんでしょうか。
患者さんの目を見てお話しすることを大事にしています。医師がカルテばかり見ていると、患者さんとしては目も合わせてもらえていないと感じ、不安になると思います。カルテを見たり書いたりも大切ですが、やはり患者さんの目を見て悩みや状態に向き合うことがその方の安心感にも、病気の発見にもつながると考えています。ありがたいことに話しやすいと言ってもらえることが多いです。以前働いていた病院は大阪にありましたが、その時に診ていた患者さんがわざわざ当院を受診されることもあり、とてもうれしいですね。手術をした後もずっと関係が続き、ともに人生を歩めることが私の喜びです。
快活な笑顔の秘訣が気になります。休日の過ごし方やリフレッシュ法を教えてください。
私は子どもが4人いて、妻は現役のビジネスパーソンです。妻は国内外に出張に行くことも多く忙しい日々を送っていますので、家事育児ともに分担しながら生活しています。そのため、休日はなるべく家族の時間を大切に過ごしていますね。趣味は中学生の頃から続けているテニスで、今も仕事終わりに週3回ほどナイトゲームをしています。ハードな内容で体を鍛えながら、汗を流すことがリフレッシュになっているのかも。それに、確かに若い頃は思い悩むこともありましたが、最近は患者さんと接していること自体が楽しくて、あまり疲れを感じません。生活も趣味も仕事も疲れ知らずで、全力で楽しむことができています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
開業したばかりですから、地域の方々と信頼関係を築いていくことが大事だと思っています。患者さんとは長くお付き合いを続けたいので、今後は訪問診療も実現したいと構想を練っています。この地域には高齢者が多く、車を運転できなくなると通院が難しくなってしまうケースが想定されます。そのため、こちらから患者さんのもとへ伺うことができたらと思っているのです。外科の医師としての経験を生かして、幅広い疾患に対応していますので、どんなに些細なことでもお気軽にご相談ください。