近藤 元 院長の独自取材記事
こんどう歯科口腔外科
(厚木市/本厚木駅)
最終更新日:2024/11/25

2024年7月、本厚木駅から徒歩4分のビル6階に開業したのが「こんどう歯科口腔外科」だ。院内はターコイズブルーがアクセントのリラックスできる雰囲気。これまで大学病院や市中病院の歯科口腔外科に長年勤務してきたベテランの近藤元(こんどう・げん)先生が院長を務める。その豊富な経験や知識を生かしながら、親知らずなどの難しい抜歯や口腔内の粘膜疾患、顎関節症、難症例のインプラント治療に対応。専門性の高い歯科口腔外科の診療で、地域医療への貢献をめざす。「一人ひとりの患者さんに思い入れを持って接することを心がけています」と、優しい笑顔で熱心に話す近藤院長に、同院のことや歯科診療への思いなどを聞いた。
(取材日2024年10月26日)
専門性の高い歯科口腔外科の診療を実践する
クリニックを紹介していただけますか?

私は、2000年から大学病院や市中病院の歯科口腔外科に勤めていました。その延長線上で、歯科口腔外科の専門的な歯科医院を立ち上げようということで、今年の7月に開業しました。というのも、病院の歯科は非常に混んでいるのと同時に、入院患者さんも診たり、外来診療は17時で終わったりするなど制約が多いんです。新型コロナウイルス感染症が流行した時には、当初は歯科の感染リスクが高いといわれたほか、命に関わるような緊急性はないということで診療を制限されたこともありました。さらに、病院ではチームで診療するので手術もカンファレンスを経てから行うなど、何をするにも時間がかかるんです。それらで考えるところがあり、病院の歯科よりも、地域の歯科の先生たちにより近い歯科口腔外科の診療を提供したいと思い、開業した次第です。
特徴は、どのようなところでしょうか?
私は、これまで歯科口腔外科しか診療してこなかったこともあって一般歯科治療をするのも難しいですから、基本的には歯科口腔外科を専門的に診ています。ですから、近隣の歯科クリニックからの紹介患者さんがほとんどで、自分で探して来たという患者さんは本当に少ないですね。そのような中で、病院だと外来診療は17時で終わりでしたが、当院では19時まで行っていますので、仕事帰りなどの患者さんも利用してもらいやすいと思います。例えば、炎症で膿んでいるときに治療の開始が遅れると、入院して何日かの点滴が必要になることがあります。ですが、1〜2日でも早く治療ができていれば、飲み薬で入院の必要もなく回復が見込めます。ですから、できるだけ幅広いことに、迅速に対応できればと考えています。
すてきな雰囲気の院内ですが、こだわったことはありますか?

設計士さんの意見も取り入れながら、患者さんと私もリラックスできるような色合いを使って自然な感じで、私が好きな青系の色を使ってほしいと要望しました。病院は白のイメージが強いですが、私は緊張感を感じるのであまり好きではないんです。それに、手術を受ける患者さんは少なからず怖がっていることが多いですから、やわらかいイメージにしたいと思いました。ユニットや歯科用CTは、私は大学病院などでさまざまな種類のものを使ったことがあったので、それらの中から汎用性や性能のバランスが取れたものを採用しました。院内感染リスクを減らすのもコンセプトで、ヨーロッパ基準のクラスBやハンドピース専用の滅菌器などを導入しています。
できるだけ患者への負担が少ない手術を心がける
一般歯科と歯科口腔外科の違いは何ですか?

歯科口腔外科は、歯茎を切開したり、顎の骨を削ったりして、手術するのが専門です。一般的に多いのは、親知らずや根っこが曲がっている歯などの難しい抜歯。加えて、口の中の腫瘍や口内炎などのできものや粘膜疾患、顎関節症、摂食・嚥下リハビリテーションなどがあります。最近では、疾患ごとに細分化されてきていますが、私の頃はそれらのすべてを診療していました。特に、大学病院にいた時には原因不明の痛みやできもの、出血など、歯科のほかの診療科でわからないものは、取りあえず歯科口腔外科に回すのが常識だったんです。それで私たちが診断して、治療の道筋をつけるということをずっと行ってきました。当院でも、同じようなスタンスで診療していきたいと考えています。
力を入れていることは何ですか?
できるだけ患者さんへ負担をかけないような手術に力を入れています。それには、少しでも切る範囲を小さくして、早く回復できるようにすることが必要ですが、そうすると手術が難しくなります。だからといって手術に時間をかけてしまったら、それはそれで患者さんの負担になります。時間のかかるものは鎮静して患者さんの精神的な負担を減らす方法もありますが、これらの見極めは難しいところがあります。そこは、これまで長年にわたって歯科口腔外科を専門としてきた経験を生かせるところだと思っています。また、抜歯しようとしたけど抜けなかったということで紹介されてくる患者さんもいます。その時に、その日に抜歯ができるのと1日待つのとでは患者さんの気持ちも違うと思いますので、そのような場合にはできるだけ当日中に対応しています。ただ、何日か経過している場合には、別の日に予約を取って、しっかり準備をしてから行いましょうと話しています。
ほかに取り組んでいることはありますか?

口内炎は、全身の病気と関係していることがあって、治療方法も違いますので見極めが重要です。通常、治療では塗り薬を用いますが、治療を行ってもなかなか治らなかったり、繰り返したりするような場合には一度、診させていただいたほうが良いでしょう。また、口腔がんは非常に希少で、それほど心配する必要はありませんが、前がん病変といわれる白板症や口腔扁平苔癬(こうくうへんぺいたいせん)になるとリスクが高くなります。その場合には、診断後も定期的にフォローして、がんになるような兆候があれば、すぐに検査をするようにしています。インプラントについては、顎の骨が足りない場合に造成する治療にも対応しています。顎関節症は、歯科口腔外科でも若い歯科医師は診断ができないことがありますが、私はその辺りも得意としています。
気軽に紹介や受診をしてほしい
診療の際に心がけていることは?

昔、恩師から言われたことですが、すべての患者さんが自分の親やきょうだいだと思いながら診療することですね。やはり、患者さんに思い入れを持つのは大切で、大学にいた頃のがん患者さんの話ですが、だいぶ苦しい状態になって麻薬を使って、意識がもうろうとしていたんです。その後、ハッと気がついたら錯乱状態になってしまいました。その時に、私たちがいくら話しても駄目なのに、上司の先生が、「大丈夫ですからね」と話すと、患者さんは落ち着いたんです。それを目の当たりにして、そういう信頼を得られるような歯科医師になりたいと思いました。そのためには親身になって、患者さんに思い入れを持って接すること。加えて、情報です。知識に裏づけられた話をしない限り信頼を得られないと考えているので、常に最新の情報を仕入れて、自分なりに判断して、患者さんに適切に伝えることも心がけています。
歯科医師を志したきっかけや、この場所に開業した理由を教えてください。
曽祖父が、厚木で当時はまだ数少なかった歯科医院を開業した歯科医師だったんです。父と祖父は内科の医師でしたが、私は手先が器用だったこともあって歯科医師を選び、歯科口腔外科を専門にしました。ここに開業したのは、地元だということが大きいですね。生まれ育ったのが、ここから歩いて数分のところなんです。加えて、昨年までは近隣の病院に勤務していて、地域にはこれまでにも患者さんを紹介してもらったり、歯科医師会で知り合いだったりする先生がたくさんいます。引き続き、それらの先生のお役に立ちたいと思ったのも理由です。
最後に、今後の抱負と読者へのメッセージをお願いします。

すでにたくさんの患者さんの紹介を受けていますが、このままのかたちで頑張っていくことが一つ。加えて、インプラント治療や摂食・嚥下の訪問診療も行っていきたいと考えています。そして、すでに連携している先生はもちろん、そうでない先生やつながりが薄くなってしまっている先生も、今回開業しましたので、必要なときには気軽に紹介いただきたいと思います。一般の方には、同意や医学的根拠がない治療は絶対にしないのが私の方針です。ですから、抜歯や口の中の手術が不安な場合のセカンドオピニオンや顎関節症、粘膜疾患や口内炎などでお困りのときは心配せず相談してほしいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/スタンダードプラン:38万円~、骨造成/1本:2~4万円 ※素材や欠損のボリュームによるので、詳しくはクリニックへお問い合わせください。自費診療についてはデンタルローンをご利用いただけます。