片山 恒 院長の独自取材記事
かたやま内科クリニック
(大東市/鴻池新田駅)
最終更新日:2024/10/10

2024年7月に開業した「かたやま内科クリニック」。学研都市線・鴻池新田駅より徒歩18分ほどの場所にあり、大東市内では少ない循環器内科のクリニックだ。院内は茶色とベージュを基調した優しい空間が広がる。「医療機関特有の入りにくさを解消し、ホッとできる空間にしたかった」と語る片山恒(かたやま・ひさし)院長。循環器内科の医師として、総合病院や救急病院で10年以上の診療経験を持つ実力者だ。その一方で、非常に明るく気さくな人柄が特徴的。「このようなことを聞いても大丈夫?」と不安を抱かせない安心感に満ちている。地域医療への貢献や、身体的・経済的負担に考慮した治療をめざす院長に話を聞いた。
(取材日2024年9月12日)
落ち着いた空間で、循環器内科に精通した医師が診察
先生のご経歴を教えてください。

循環器内科の医師として、大阪市立大学医学部附属病院や石切生喜病院などの総合病院で10年以上勤務してきました。狭心症や心筋梗塞、心不全、不整脈などの病気を数多く診てきました。同時に内科全般の経験も積み、生活習慣病の管理や予防にも力を入れています。救急での経験も豊富なので、緊急時にも冷静に対応できると自負しています。何より大切にしているのは、患者さんに安心していただける医療を提供すること。これからも心がけていきたいと思っています。
なぜこの土地に開業されたのでしょうか?
この大東市には開業医が少なく、特に若手の医師が不足している状況です。さらにこの地域の循環器内科のクリニックが廃業して、困っている方がたくさんいると聞いていました。私の専門分野を生かし、地域の方のお役に立てるのではと考えました。以前、当院の近くの石切生喜病院や大東中央病院で勤務していた経験もあって、この土地にはなじみがあったのです。大阪市が地元ということもあり知り合いの医師も多く、私立病院や医療センターとの連携も取りやすいです。必要な時には信頼できる先生に患者さんを紹介できる点も、大きな利点だと思いました。つい先日、石切生喜病院で働いていた頃の患者さんが、10年ぶりに会いに来てくれたのです。本当にうれしかったですね。こういう温かいつながりのある地域で、医療を通じて恩返しができればと思い開業を決意しました。
やわらかで落ち着いた雰囲気のクリニックですね。

カフェのような入りやすい雰囲気を意識しました。医療機関ってあまり近寄りたくない場所ですよね。ですが、患者さんにとっては必要な場所なので、入りにくい雰囲気は避けたかったのです。デザイナーと相談して、茶色とベージュを基調とした全体的に温かみがある内装にし、患者さんの気持ちがホッとするような、軽やかなイメージをめざしました。ただ、内科・循環器内科なので、あまりおしゃれすぎると逆に圧迫感があるかもしれないと思い、シンプルなデザインを心がけました。また、プライバシーに配慮して1人で座れる席も用意し、待ち時間をゆったりした気持ちで過ごせるよう配慮しています。
適切な診断に基づいた患者ファーストの診療を提供
診療方針について教えてください。

患者さんの負担をできるだけ軽減するよう心がけています。不必要な検査はせず、本当に必要な検査だけをするようにしていますね。例えば、大きな病院に紹介する可能性がある場合、そこで行われる検査は、控えるようにしています。また、患者さんの状態が安定している場合は、無理に頻繁な通院を求めません。2、3ヵ月間隔の受診でも問題ないと判断した場合は、そのようにお伝えします。これは患者さんの身体的、経済的負担を考慮してのことです。また、より新しい治療が必ずしも良いとは限りません。患者さんの年齢、家族構成、そして何より本人の気持ちを大切にします。私の経験から良いと思う選択肢をいくつか提案し、その中から患者さんと一緒に適切なものを選んでいます。
循環器内科の経験を生かし、どのような診療をしていますか?
心臓や血管の問題だけでなく、体全体の循環に関わるさまざまな症状に対応しています。息切れ、動悸、むくみといった一般的な症状から、狭心症、心筋梗塞、心不全、閉塞性動脈硬化症など専門的な疾患まで幅広く診療します。心臓の問題は腎臓や肺にも影響を及ぼすので、総合的な視点で適切に診断することが重要です。この辺りは総合病院で多くの患者さんを診てきた経験が生きていると思いますね。また必要に応じて、より新しい治療法も提案しています。昔は体への負担が大きかった治療も、今は負担の少なくなるよう配慮された方法があります。少しでも患者さんの負担に気を配った治療を提案できるよう、日々知識や技術の研鑽に取り組んでいます。ただ、患者さんを自分だけで抱え込むのではなく、必要に応じて適切な専門の医師・医療機関への紹介も行います。紹介の際は患者さんに納得してもらえるよう、丁寧な説明を心がけていますね。
設備の充実にもこだわっているとお聞きしました。

はい。設備の充実は特に力を入れています。例えば、AIを活用したエックス線装置を導入しました。これは主に心臓や肺の診断に使うのですが、精度にこだわった診断ができるため早期発見にもつながります。それに加え、心臓や血管の超音波検査装置も備え、より詳しい診断を行うための環境が整っています。検査設備も充実させ、血栓塞栓症の薬物療法や糖尿病のコントロールのための検査は当日でも対応可能です。これにより、素早い診断と治療方針の決定ができるようになりました。また、発熱患者さん対象の外来診療用の個室も用意し、感染症対策も徹底しています。今後も患者さんが安心して受診できるように、設備を充実させていく予定です。より新しい医療技術や機器は積極的に取り入れていきますが、患者さんとしっかり向き合う診療を何より大切にしています。
「医療に詳しい友人」のような存在でありたい
医師をめざしたきっかけは何だったのでしょうか?

家族や親戚に医師が多かったので、子どもの頃から医療の世界が身近な存在でした。だからこそ「医師は特別だ」「医師は偉い」と思ったことはありません。父は心臓血管外科の医師で、深夜に呼び出されることも多く大変そうではありましたが、いつも患者さんの話を楽しそうにしていました。子どもながらに医師の仕事は、一日中考え続けられるほどの面白さがあるのだなと感じました。実際、自分が医師になってみても、診察後に「他の可能性もあったかも」とよく考えます。それがストレスになる人もいるでしょうが、私にとってはそれが楽しいのです。もちろん、大変なこともあります。でも、患者さんのためになるやりがいのほうが大きいですね。
今後の展望についてお聞かせください。
「心臓リハビリテーション」に力を入れていきたいと考えています。単に循環器の疾患がある患者さんの運動療法にとどまらず、心筋梗塞を経験された方の再発防止や、心臓機能の機能改善のために役立てたいと考えています。現在、心臓リハビリの導入に向けて準備を進めています。それに加え、地域への貢献も大切だと考えています。発熱や風邪などの日常的な症状をはじめ、生活習慣病のサポート、健康診断や各種ワクチン接種などの医療についても、しっかり提供していきます。将来的には、地域の開業医の先生や患者さんにも「循環器のことならあそこに行けば大丈夫」と言ってもらえるクリニックにしていきたいです。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

循環器の病気は、自分で気づきにくいものが多いです。息切れや動悸、足のむくみなどは日々の生活で慣れてしまいがちですよね。「いつもと違うな」と感じたら、遠慮なく相談に来てください。患者さんの緊張を少しでも軽減できるように、専門用語ではなく例え話やイラストを使ったわかりやすい説明を心がけています。また、フラットな目線で患者さんと向き合いたいと思っています。私のことは「医療に詳しい友人や先輩」のように捉えてもらえたらうれしいですね。気楽に相談できる関係性を築いていけたらと思います。内科の病気全般や生活習慣病、循環器の疾患でお悩みの方は、ぜひ一度当院にお越しください。一緒に適切な治療法を考えていきましょう。