呼吸器内科医が行う
舌下免疫療法
森田呼吸器アレルギークリニック
(東大阪市/河内永和駅)
最終更新日:2024/10/23
- 保険診療
呼吸器疾患の診療に力を入れている「森田呼吸器アレルギークリニック」の森田恭平院長によると、子どもだけではなく、20〜60代の大人でも、喘息に悩んでいる人は多いそうだ。風邪をひいたわけでもないし、風邪はもう治ったはずなのに、咳が続くという場合、忙しい現役世代は「いつか治まるだろう」と放置するか、市販の咳止めなどで対応しがちになる。ところが、「喘息や深刻な病気が隠れている可能性もあるので、早めに呼吸器内科を受診してください」と、森田院長は注意を促す。咳症状を伴う病気の種類や受診の目安、咳を訴えて受診した場合の検査・治療などについて、森田院長に詳しく解説してもらった。
(取材日2024年8月6日)
目次
咳が3週間以上続く場合は、専門的な検査・診断が必要。放置せず早めの受診を
- Q咳が長引く場合、どのような病気が考えられますか?
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A
咳が続く場合、考えられる病気は3タイプに大別できます。1つ目は、新型コロナウイルス感染症、マイコプラズマ感染症、肺結核といった感染症です。こうした疾患は、アレルギー性の咳などと区別して、早期に適切な治療を開始する必要があります。2つ目は、気管支喘息やアレルギー性鼻炎といったアレルギー疾患です。花粉症やアレルギー性鼻炎は鼻の病気だと思われがちですが、鼻と気管は空気の通り道としてつながっているので、1本の気道として診療を行います。そして3つ目は肺がんなどの悪性疾患です。生命に関わる疾患なので、当院ではエックス線撮影装置や、CTなどを駆使して診断し、早期に必要な医療機関へとつなぎます。
- Q喘息やアレルギー性の咳の原因について教えてください。
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A
例えば、スギ花粉やダニなど、アレルゲンと呼ばれるアレルギーの原因物質が明らかな場合もありますが、多く見られるのは風邪などのウイルス感染が先行するケースです。風邪をひくと体内に侵入したウイルスに抵抗するために、好酸球をはじめとする免疫を担う白血球の一種が活性化されます。ところが、好酸球は活性化すると、ウイルス等が消えた後にも、鼻や気管で活動を続けることがあります。免疫の細胞が過剰に働き、自己を攻撃する、これがアレルギーです。このため、風邪をひいた後に、咳喘息の症状が出てくるケースは少なくありません。さらに、気圧や温度の変化といった環境の変化、睡眠不足などによるストレスは喘息や咳の原因になります。
- Q喘息やアレルギー性の咳に対してどのように診療を進めますか?
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A
喘息の検査では主に3つのバイオマーカーといわれる項目を測定します。1つ目は好酸球。2つ目は呼気一酸化窒素。3つ目は特定のアレルゲンに対して抗体があるかを見るIgE検査。特に喘息がある方は呼気一酸化窒素が22ppbを越えます。約10秒息を吹きつけるだけで検査が完了し、ゲーム感覚で取り組めるためお子さんでも検査しやすいのが特徴です。また他の検査は、気管支の空気の流れを見る呼吸機能検査をします。喘息と診断した場合は、吸入ステロイド薬を使います。薬はさまざまな種類から患者さんに合わせて選択し、吸入の仕方も、トレーナーと呼ばれる練習用器具を使って患者さんがきちんと吸入できるか確認します。
- Qこちらでは舌下免疫療法も行っているそうですね。
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A
舌下免疫療法はダニによるアレルギー性鼻炎やスギ花粉症に対して行いますが、鼻炎と喘息は併存していることが多いです。近年、それらの症状を併発している場合、鼻炎と喘息の治療を同時に進めていく方法が注目されており、当院でも実践しています。吸入薬が対症療法なのに対し、舌下免疫療法は過剰な免疫にブレーキをかける細胞に働きかける治療です。舌下免疫療法によって鼻炎だけでなく喘息の治療をうまく進めやすくなることも期待できます。場合によっては吸入ステロイド薬を減らせる、あるいは離脱できる可能性が高まることも望めます。このため、「3年以上治療すれば吸入薬を卒業できる可能性が見込める」とお伝えしています。
- Q舌下免疫療法を呼吸器内科で行うことのメリットは何ですか?
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A
喘息の治療には専門的知識が必要です。舌下免疫療法は、一般的に喘息のある場合は慎重に投与することが必要といわれています。喘息症状が悪化することがあり、コントロールが不安定な場合は舌下免疫療法は禁忌とされています。そういった症例は呼吸器を専門とする医師がきっちりと喘息のコントロールをつける必要があります。舌下免疫療法の治療期間は3年ほどかかりますが、対症療法にはない効果が期待できます。当院では一人ひとりの適応を見極めて対応していますので、ダニやスギによるアレルギー性鼻炎と喘息を合併している方はぜひご相談ください。