森田 恭平 院長の独自取材記事
森田呼吸器アレルギークリニック
(東大阪市/河内永和駅)
最終更新日:2024/10/23

カフェを彷彿とさせるガラス張りの外観が目を引く「森田呼吸器アレルギークリニック」。内装には木材がふんだんに使われ、誰もがリラックスして過ごせる空間だ。物腰やわらかな森田恭平院長は、診療経験を経て2024年7月に開業。咳や喘息などの呼吸器疾患、アレルギー疾患の診療を得意とし、舌下免疫療法にも力を注ぐ。幼い頃から喘息に悩んだ経験から医師を志したという森田院長は、病院での多岐にわたる内科疾患の診療経験を地域で生かしたいと考えている。そんな森田院長に、診療の特色や地域医療にかける思いを聞いた。
(取材日2024年8月6日)
癒やしと調和を大切に、丁寧な診療を
おしゃれで居心地の良い空間ですね。院内設計のこだわりポイントは?

患者さんがゆっくりと過ごせる居心地の良い空間をめざしました。医療機関の待合室は、患者さんが同じ方向を向いて座るのが一般的です。しかし、後ろの人が咳をすると気になりますよね。そこで当院は、前後に人が並ばない配置にしました。待合室は外向きに椅子を配置して、外の景色を見て気分転換ができるようにしています。中待合には、呼ばれたときに立ち上がりやすい高さで、体の支えにできる肘掛けのある椅子を置いています。また、小さなお子さん連れの方も来院していただきやすいように、おむつ交換台やキッズスペースを設け、おもちゃや絵本を用意しています。
開業までのご経歴を教えてください。
私は小児喘息があり、小学校の低学年くらいから風邪をひくと長引き、咳が出て走れない状態になっていました。そんな子ども時代を経て、自分と同じ喘息で苦しむ患者さんの役に立ちたいと考え、医師の道を志しました。医学部を卒業後は呼吸器内科の研鑽を積むために、当時、関西エリアで先進的な治療を行っていた京都大学医学部附属病院呼吸器内科に入局。呼吸器はもちろん、循環器、消化器、血液内科など内科系の診療科を一通り経験できたのは大きな収穫でした。さらに、内科・外科を問わず、特に救急医療に力を入れている日本赤十字社和歌山医療センターへ。夜間に喘息発作を起こして搬送される患者さんが多く、中には生命に関わる状態で人工呼吸器が必要となる患者さんもいて、救急対応について多くの臨床経験を積みました。
ロゴマークもとてもすてきで印象的です。

「カドゥケウスの杖」と、気管支や肺のイメージ、それとイニシャルの「M」をかけ合わせて作成しました。「カドゥケウスの杖」とは、ギリシャ神話に登場するヘルメス神の持ち物の一つで、平和や医術、医学などの象徴とされているもの。現代では「調和」のシンボルともされています。色合いは安らぎのイメージを意識して深い緑の色にしました。ロゴには「癒やし」と「調和」の意味を込めています。
専門性高い呼吸器内科診療を提供し舌下免疫療法も強み
クリニックにはどのような患者さんがいらっしゃいますか?

私の得意とする分野は呼吸器内科で、特に専門的に取り組んでいるのが喘息ということもあり、当院で受診される方の大半は咳や喘息の患者さんです。就学前のお子さんはもちろん、働き盛りの世代の患者さんが多いのが特徴です。また、生活習慣病の診療で来院されるご高齢の患者さんもいらっしゃいます。ちなみに当院は診療開始時間を10時、診療終了時間を19時30分とやや遅めに設定し、土曜日も診療することで、学校や仕事帰り、お休みの日などご都合の良いタイミングに、幅広い世代の方に通っていただきやすい体制にしています。
舌下免疫療法も行っていると伺いました。
はい、舌下免疫療法は勤務医時代に私が研究をしていたテーマでもあります。舌下免疫療法とは、アレルギーの原因物質を少しずつ体内に吸収させることでアレルギー反応の弱化を図る治療法で、根本的な体質改善が期待できます。この治療法は、ダニによるアレルギー性鼻炎やスギ花粉症に対して行いますが、実はこのダニやスギ花粉によるアレルギー性鼻炎と喘息を多数の方が併発しています。そのため近年では、ダニによるアレルギー性鼻炎と喘息、それぞれの治療を同時に進めていく方法が主流となっており、当院でも実施しています。吸入薬が対症療法なのに対し、舌下免疫療法はアレルギーの根本原因にアプローチする治療です。舌下免疫療法によってアレルギー性鼻炎の改善とともに喘息への病態改善にも寄与し、場合によっては吸入薬をやめられる可能性も高まります。
ご専門の喘息に関して、こちらではどのような診療を受けられるのでしょう?

症状や各種検査によって喘息と診断した場合は、吸入薬を使います。複数の種類がありますが、練習用器具を使って患者さんがきちんと吸入できるかを確認し、必要に応じて薬の種類を変更するなど、一人ひとりに合った治療を進めていきます。また、重症な喘息の方の場合、高い確率で他の疾患が隠れていることがあります。例えば、代表的なものは好酸球性副鼻腔炎です。ファイバースコープ検査で確認できないところに病巣があることもあり、時に耳鼻咽喉科でも確認しづらい病気なのですが、当院はCTを導入していますので細部まで確認し、治療へと結びつけることができます。
先生が診療の際に大切にされていることを教えてください。
当院は電子カルテを導入しており診察室のパソコンで入力するのですが、診療中はできるだけパソコンを触らず、患者さんの様子を確認するようにしています。実は問診しながら、呼吸の回数や咳などを確認することで、病気や状態のおおよその検討がつきます。また、検査結果など、診療時にお伝えする重要なことは、紙に青や赤の鉛筆で書いて渡すようにしています。プリントの文字は黒なので、それと区別がつきやすいように青や赤の鉛筆を使っています。手書きの用紙を渡すスタイルは研修医時代から大切にしています。システムの効率化によってできた時間を、患者さんに寄り添う時間にできればと考えています。疾患や検査結果の説明は「紙」対応です。
医療はもちろん「食」からもアレルギー患者を支えたい
アレルギーの分野に強い看護師さんが在籍されているそうですね。

小児アレルギーについて専門的に学んだ看護師が在籍しています。特にお子さんのアレルギーの場合、喘息に限らず、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎のある場合が少なくありません。そうしたお子さんに対して、医師が診察し、お薬を処方しても、例えば塗り薬の使い方が適切でないと期待する効果が望めないことも。そのため当院では看護師が実際に塗布しながら説明します。食事や入浴などについてもアドバイスでき、アレルギーのあるお子さんを総合的にサポートできるのが強みです。
スタッフさんの役割も大きいですね。
悩みや苦痛を抱えた患者さんにできるだけ快適に受診いただき、気持ち良く帰っていただけるクリニックでありたいと考えています。このため、患者さんに積極的に声をかけるなど、スタッフ全員が少し“おせっかい気味”の対応を心がけています。私が指示するまでもなく、皆が親切に対応してくれるので助かっています。ちなみに、成人の生活習慣病の患者さんの生活指導を充実させるため、将来的に栄養士を入れる予定です。
今後の目標を聞かせてください。

小児期からのアレルギー疾患を診ることで、成人期への移行期も含め、人生の中で切れ目なくアレルギー疾患に対応したいと考えています。一方、食物アレルギーのお子さんは小麦が食べられないなど食生活の不自由があるため、将来的には「食」に関した取り組みを実践したいです。幸い広い敷地があるのでグルテンフリーの米粉のパンを提供するほか、宿題もついでにできるような子ども食堂も開きたいです。
地域の皆さんにメッセージをお願いします。
自分の専門分野で役割をしっかり果たしたいと考えています。咳や喘息で困っていらっしゃるなら、気軽にご相談にいらしてください。また、患者さんの待ち時間をできるだけ短縮したいと考えて、時間予約制を導入するとともにスマホ用のアプリを採用しました。スマホで予約ができ、来院時は受付にあるバーコードを読み取るだけで受付が完了します。さらに、会計もアプリ上で処理されるので、処方箋を受け取り次第ご帰宅いただけます。仕事が忙しくて受診できない、待ち時間が長いのは困るといった方も、スマホを駆使したシステムにより、当院なら受診していただきやすいのではないかと思います。