池本 淳子 院長の独自取材記事
こはる眼科
(大阪市中央区/天満橋駅)
最終更新日:2025/04/10

谷町4丁目駅、天満橋駅より徒歩圏内にある「こはる眼科」は、たくさんの親子連れでにぎわう公園の目の前にあるクリニック。池本淳子院長は、この公園で見られる幸せあふれる光景に感動し「この場所で診療をしたい」と開業を決意したのだという。「年齢関係なく子どもたちが一緒に遊んでいて、その様子を大人たちが関わりながら見守っている。日本で失われそうな景色を見て、この人たちの未来を守りたいと感じました」。臨床一筋23年、中でも白内障手術や眼瞼手術、小児眼科の診療に関しては人並み以上の経験を積んできた池本院長。クリニック名の「こはる」は、「小春日和」から名づけたのだと、春のように明るく笑う池本院長にクリニックの特徴や注力する小児眼科について詳しく話を聞かせてもらった。
(取材日2024年7月26日)
幅広い診療と充実の設備でさまざまな年代をサポート
まずは開院までの経緯を聞かせてください。

大学卒業後は山形の井出眼科病院、済生会滋賀県病院、京都中部総合医療センターなどで臨床に携わり、白内障手術、眼瞼手術、斜視手術を主として多くの手術を担当していました。その間に結婚・出産を経て子どもの小学校入学を機に独立してフリーになり、東近江市立能登川病院の閉鎖されていた手術室を再稼働させ、そこでもたくさんの症例を経験しました。その後、家庭の事情で大阪に引っ越し、そこで出会った先生のおかげで八尾クリニックの院長として医院を任せていただきました。尊敬する先生の技術と豊富な知識を目の当たりにし、非常に充実した日々を過ごしていたのですが、私の中で「手術だけではなく、手術の前後こそサポートをしたい」という気持ちが深くなり、その気持ちを形にするために独立を決意しました。
この場所を選んだのはなぜですか?
大阪に引っ越してきてからの住まいや夫の職場とも近く、この辺りはお散歩コースだったんです。食事に来ても「この辺りは気持ちの良い場所だな」となんとなく感じていましたし、特に目の前の公園で子どもたちが遊んでいる姿がすごく印象的で。大きな子が小さな子の面倒を自然に見ていたり、大人たちが温かく子どもたちを見守っている様子があったりと、どこか懐かしい日本の風景があるなあと、とても印象が良かったんです。開業を決意した時「年齢に関係なく、人と人とが関わり合いながら人生をより良くしていく場所にしたい」という思いが強かったので、この場所はそんなイメージにぴったりでした。だから入居者募集を見つけた時は、その場ですぐに電話してすぐに決めました。運命だったのかな?と思います。
クリニックの特徴を教えてください。

当院は一般眼科診療全般に加え、まぶたや斜視の日帰り手術、コンタクトや眼鏡の処方、オルソケラトロジーと呼ばれる治療、そして小児眼科に注力しています。院内には手術室を備え、しっかりとした診断と症状の把握のために必要な検査機器をそろえました。特殊な計測機もありますので、目の機能の多角的な判断につなげられます。また、視能訓練士と眼鏡作製技能士が常駐し、各種検査のサポートに加えて患者さんに合わせた眼鏡処方と眼鏡フィッティングも実施しています。これまで眼鏡で視力が出にくかった方に対しても、精密な検査とレンズの加工・フィッティングを行って、視力を適切に出せるように工夫していますので、お困りの方にはご相談いただければと思います。
完全に発達しきっていない子どもの目を守るために
小児眼科について詳しく聞かせてください。

小児眼科とは、まだ完全には発達していない子どもたちの目を対象にした眼科です。一般の眼科との違いは、「大きくなった時に正常な目の働きができるように治療する」という視点で治療が行われること。内科と小児科の違いと同じです。生まれたばかりの赤ちゃんから幼児期・学童期のお子さんを中心に、中学生くらいまでのお子さんに見られる眼科症状を専門的に治療していきます。小さなお子さんは自分の目の異常をうまく訴えられませんし、生後半年くらいから6歳くらいまでの視力の発達の時期を逃してしまうと治療が困難になることもあります。小児の目を守るためには大人の関与がとっても大切。私自身も子どもを育てていますので、保護者の皆さんの気持ちに寄り添いながら、一緒に子どもの目の健康に携わっていきたいと考えています。
お子さんの相談で多いのはどんなことですか?
視線がずれる斜視の相談が多いです。斜視は見た目でわかりますから保護者も気がつきやすいのでしょう。実際に検査すると心配ないことも多いのですが、中には早急に手術が必要な可能性も考えられます。子どもの1ヵ月は未来のために大きな大きな1ヵ月。おかしいな?と思ったら、眼科を受診していただくことが子どもの未来を守るために必要だと思います。当院では生後6ヵ月頃から目の屈折度数の異常がないかの測定につなげることができ、2歳半頃には精密な視力測定の対応が可能です。毎日一緒に過ごす保護者の「何かがおかしい」という感覚は、ばかにできません。気になることがあれば何でも相談してほしいです。
子どもの目を守るために、大人にできることはありますか?

現代はスマートフォンやタブレットの普及もあって、子どもの目には非常に過酷な負担を強いる時代。デジタルにふれることは大切なことですが、時間や使用する姿勢には気をつけてあげてほしいです。できれば1回の使用は30分以内にとどめ、30cm以上の距離を保つこと。テレビやパソコンも上手に活用してほしいと思います。特にスマートフォンは刺激がたくさん詰まっていますから、大人だってついつい夢中になって使いすぎてしまうもの。「使いすぎちゃ駄目だよ」と声をかけながら、自分も夢中になりすぎていないか振り返ってみるのも大切かもしれません。忙しいとは思いますが、親子でデジタルデトックスする時間を増やすことも、子どもの目を守るために大切な時間だと思います。
眼科診療を通して明るい未来を
オルソケラトロジーにも注力されていますね。

オルソケラトロジーは特殊なコンタクトレンズを装着して眠り、角膜の形状を矯正するための治療です。毎日7時間以上の装用を続けることで良好な裸眼視力が得られるため、日中にコンタクトや眼鏡を装着せずに生活を送ることも期待できます。サッカーや野球などスポーツに取り組む人には、非常に大きなメリットがあると思います。年齢に関係なくできる治療ですが、最近では近視と身長の伸びる時期との相関関係が指摘されていますので、6歳から10歳頃までに治療開始できると適切とされています。私も実際に研究に携わった経験があるんですよ。
大人の治療はいかがでしょうか?
大人の患者さんはドライアイの相談が増えています。市販の目薬で対処している方も多いかと思いますが、症状がなかなか改善しない場合には一度眼科に相談してください。マイボーム腺機能不全などが原因になっている場合は、放置すると知らないうちに症状が悪化し、治療が難しくなることがあります。また、加齢などが原因で瞼の皮膚がたるむ眼瞼下垂の相談も増えています。強度の眼瞼下垂になると、瞼が邪魔をして視野が狭くなるだけでなく、肩凝りや疲れ、頭痛の原因にもなるとされています。高齢の方の場合は、見えにくいことが原因で動く気力がなくなったり、つまずきやすくなったりと心身の健康にも大きな影響があります。審美目的の治療ではありませんので保険適応になり、術後は快適な暮らしが望めます。瞼に悩んでいる人は相談してほしいと思います。
それでは最後に、今後の展望を聞かせてください。

私は眼科診療を通して、地域の皆さんに元気になってもらいたいと思っています。特に子どもたちには目の悩みから解き放たれて、自分自身の人生を力強く歩いていってほしいと願っています。目の病気はたくさんありますし、中には残念ながら現代の医学ではアプローチできない病気も含まれています。ただ、私は病気があるから不幸とは限らないということを知っています。すべての患者さんを「治療します」とお約束することはできませんが、皆さんの人生が今よりもっと輝くためのサポートは欠かしません。気になることや心配なことがあれば、まずは気軽に受診いただき、気軽に相談していただければうれしいです。この街が好きな医師として、そして子育てに取り組む一人の母親として、皆さんと交流できることを楽しみにしています。