日本糖尿病学会糖尿病専門医と共に取り組む
糖尿病の検査と治療
ゆかわ内科クリニック
(大阪市住吉区/あびこ駅)
最終更新日:2025/02/12


- 保険診療
生活習慣病の一つとして、多くの人が患う糖尿病。初期には自覚症状がほとんどないため「ただ血糖値やHbA1c(ヘモグロビンA1c)が高いだけ」と放置している人も多いのではないだろうか。日本糖尿病学会糖尿病専門医と日本循環器学会循環器専門医という2つの専門医資格を持つ「ゆかわ内科クリニック」の湯川弘院長は、そのような現状を踏まえた上で「糖尿病の放置が病気の発症リスクになることを知ってほしい」と一人ひとりの患者に丁寧に語りかける。実際に糖尿病が悪化すれば、心不全や脳卒中の発症リスクが上がるだけでなく、失明や手足の切断に至ることもあれば、命に関わる事態になることも。そこで、あらためて糖尿病治療の重要性や専門医で治療するメリットについて、湯川院長に詳しく教えてもらった。
(取材日2025年1月15日)
目次
異常値を指摘されたら放置せず、早めの受診で重篤な合併症の予防に努めよう
- Q糖尿病とはどのような病気なのでしょうか?
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A
▲「健康診断で基準値より高いと診断されたら受診を」と話す院長
糖尿病とは血糖値を下げる「インスリン」というホルモンが不足したり、分泌量が十分あるにもかかわらず作用しにくい状態になり、血糖値の上昇が抑えられなくなる病気です。原因はさまざまで自己免疫異常、ウイルス感染を引き金とする1型糖尿病、遺伝的因子に加え暴飲暴食など生活習慣の乱れが原因となる2型糖尿病、妊娠中に起こる妊娠糖尿病、膵炎や膵がんから起こる膵性糖尿病などに分けられます。糖尿病という名前から尿に糖が混じってしまう病気だと思われがちですが、糖尿病の問題は尿ではなく、高血糖が続くことで蓄積する血管へのダメージです。ダメージを放置すると循環器疾患や神経障害、網膜症、腎臓障害等の発症リスクが高まります。
- Q糖尿病だと気づくきっかけにはどういった症状がありますか?
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A
▲インスリンの自己注射方法なども丁寧なレクチャーを心がけている
糖尿病は自覚症状に乏しく、特に初期にはほとんど変化を感じることはありません。しかし高血糖の状態が続けば、水分を取っているにもかかわらず喉が渇く、頻尿・多尿、体が浮腫む、目がかすむ、疲れやすい、極端な体重の減少、倦怠感が強い、手足がしびれるなどの症状が現れるようになります。しかし、これらはかなり血糖値が上昇しているときに感じる症状です。大切なのは、健康診断で「血糖値やHbA1c(ヘモグロビンA1c)が基準値より高い」と指摘されたら、自覚症状がなくても病院を受診すること。放置している人は意外に多いものですが、合併症が起きてから後悔するのではなく、早めの受診を心がけましょう。
- Q治療は糖尿病専門医に任せたほうが良いのでしょうか?
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A
▲多岐にわたる合併症のリスクを考え治療計画を見直すことが大切
糖尿病専門医は、豊富な知識と治療経験を持ち、糖尿病の治療法や管理法に精通しているため、薬物療法に運動の指導や食事の管理を組み合わせて一人ひとりに合った治療プランを立案できます。糖尿病は長期的な健康管理をサポートします。糖尿病は合併症のリスクが高いため、網膜症・腎症・神経障害・脳卒中・心筋梗塞・下肢閉塞性動脈硬化症などを予防するために、定期的な治療計画を見直しが重要です。少しでも合併症のリスクを下げたい、早期発見早期治療につなげたいと考えるのであれば、糖尿病専門医に任せることをお勧めします。入院治療が必要な場合や病院での精査が必要と判断した場合には、基幹病院と連携して治療にあたることができます。
- Qこちらのクリニックの糖尿病治療について教えてください。
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A
▲検査結果をもとに一人ひとりに合わせた治療を提案する
当院では「治療するモチベーションを持つこと」を大切にし、治療目的や目標を患者さんと共有することを大切にしています。血糖値やHbA1cの数値を良くすることだけに注視している人が多いです。もちろん数値の改善をめざしますが、数値を下げることはあくまでも手段であり目的ではありません。この部分が理解できなければ、うまく数値をコントロールできないときに嫌になってしまうことも。大切なのは「糖尿病治療を通して健康寿命を長くすること」。治療期間中は良いことを褒め、うまくいかないことを励まし、患者さんとともに進んでいくよう心がけています。また、管理栄養士も在籍しており、希望があれば栄養相談も受けていただけます。
- Q先生は糖尿病専門医だけでなく循環器専門医でもあるそうですね。
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A
▲管理栄養士の協力のもと、食生活の改善にも力を入れている
糖尿病と循環器疾患の狭心症や心不全、脳梗塞などには深い関連性があり、同時に発症するケースも多いです。現時点では循環器疾患を発症していなくても、高い発症リスクを抱えている人も少なくありません。こういった患者さんの治療は一筋縄ではいかないことも多く、糖尿病と循環器疾患の両方について深い知識が必要と感じ専門的に学んできました。糖尿病治療は日進月歩。治療薬を一つ取ってもさまざまなカテゴリーの内服薬から、GLP-1受容体作動薬やインスリンなどの注射薬まで多岐にわたります。最近では心臓や腎臓への保護作用があるとわかってきた糖尿病治療薬も登場し、糖尿病と循環器の両方の視点を大切にした治療を提案していきます。