高田雅博 院長の独自取材記事
高田消化器・内科クリニック
(大和市/中央林間駅)
最終更新日:2021/10/12
小田急江ノ島線・東急田園都市線中央林間駅から徒歩5分。中央林間六丁目交差点近くにたたずむ瀟洒な洋館が、「高田消化器・内科クリニック」だ。手入れの行き届いた庭には季節の花が咲き、訪れる人を明るく迎えてくれる。高田雅博院長は、北里大学医学部卒業後、同消化器内科に入局。14年間にわたって、胃と大腸の内視鏡検査や肝臓疾患など専門性の高い知識と技術を磨き、2002年に開業した。「患者さんにとって身近で信頼できるホームドクターでありたい」と真摯に語る高田院長に、人気の無痛性内視鏡検査や、肝臓疾患治療のこと、開業当初の患者さんとの心温まるエピソードなど、たっぷりと聞かせてもらった。
(取材日2013年4月11日)
内視鏡検査・肝疾患治療の経験豊かな消化器専門医
開業から丸10年、現在はどのような患者さんが来院されていますか?
内科全般を診ていますので、高脂血症・糖尿病や高血圧などの生活習慣病の方が多いですね。もちろん、風邪や胃腸炎の患者さんもいらっしゃいます。また、内視鏡検査は、幅広い年齢の方が受けられていいます。現在は、外来診療の合間に内視鏡検査を行っており、1日で7〜8件、年間では1,400件停どの内視鏡検査を実施しています。多くの自治体のがん検診はバリウム検査が一般的ですが、バリウム検査と内視鏡検査では精度にかなり開きがあり、内視鏡検査でないと見つからない病変も少なくありません。大和市民の方は市のがん検診で内視鏡検査を受けることができますので、ぜひ利用していただきたいですね。
こちらのクリニックの内視鏡検査の特長をお聞かせください。
内視鏡検査は非常に重要なものですが、患者さんの立場から見ると苦しくつらい検査だと思います。ですから多くの患者さんが無痛性内視鏡検査を選択されています。当院では、苦痛の少ない最も細いカメラと、従来の太さのカメラをご用意しており、患者さんのご要望に合わせて使い分けております。ただし、細いカメラと従来のサイズのカメラを比べると、後者のほうが圧倒的に画質がきれいです。また、サイズが太い分、胃液や粘液を吸ったり胃の中を洗ったりということが早くできるので、検査時間も短縮できます。そこで当院では、鎮静剤を投与し眠った状態で従来のサイズのカメラを使う、無痛性内視鏡検査をおすすめしているのです。もちろん、検査中に眠ってしまうことに抵抗のある方や、「慣れているから平気」とおっしゃる方には、最細タイプのカメラを使用し、経口に比べて苦痛の少ない経鼻で内視鏡検査を行うこともあります。ご希望に合わせて対応させていただきますので、お気軽におたずねください。内視鏡検査の結果は、実際の画像をご覧に入れながら詳しく説明した上で、全員に検査画像をプリントアウトしてお持ち帰りいただきます。これは患者さんが先々、別の病院の先生にかかることになっても、スムーズに診断してもらえるための施策です。言葉だけでは上手く伝わらない時に、内視鏡検査の画像があれば、別の先生でもすぐに当時の状態を理解することができますから。ぜひお渡しした検査結果画像は大切に保管していただきたいですね。
先生は、大和市に数少ない日本肝臓学会専門医ですね。
2、3年前の時点で、大和市の肝臓学会専門医は僕を含めて片手で数えるほどでした。肝臓疾患のなかには、C型肝炎に対するインターフェロン療法をはじめ、専門医でなければ難しい治療も多く、当院でもこういった専門的な治療を積極的に行っています。ほかの一般内科から紹介されて通っていただいている肝臓疾患の患者さんも多くいらしゃいますよ。肝臓疾患は自覚症状なく進行していきますので、定期的に健康診断を受けることで、ご自身の肝臓の状態をチェックしていただきたいですね。
全身的な健康管理を担うホームドクター
ところで、先生はなぜ医師をめざされたのですか?
父をはじめ、親戚にも医師が多い環境で育ったことが大きいと思います。父は休日や深夜でも患者さんから電話があれば飛んでいって往診するような町医者で、幼い頃は「たいへんな仕事だなあ」と思いながら父を見ていましたね。僕は、もともとは天文や数学を勉強したいと考えていたのですが、高校3年の夏に改めて進路を考える上で、人の命に関わる責任ある仕事をしたいと思い、医師になることを決めました。内科だけでなく外科にも興味をもっていましたので、消化器内科に進んだことで、内視鏡手術など外科的な処置も行えることは僕にとってはうれしいことでした。内視鏡検査は医師になって以来続けていますから、経験は24年ほどになります。当時は内視鏡検査を行う医師の数も少なかったため、僕一人で1日に40〜50人の検査をこなしていましたね。その後、伊勢原協同病院、伊豆下田病院、平塚共済病院などにも出向しました。都市部の基幹病院では、専門である消化器内科だけを担当することがほとんどなのですが、地方の病院では、消化器に留まらず、高血圧や糖尿病などあらゆる症状の患者さんを診る必要がありました。結果、広く内科全般の診療に携わることができ、たいへん良い経験になったと感じています。
内科学会・消化器病学会・肝臓学会の専門医、内視鏡学会指導医と、専門性の高い資格を取得されていますね。
当初から内科全般を広く診られる医師をめざしていたのですが、医局の制度上、細分化されたグループのうちのひとつに所属し、狭い領域の中でやっていかなければなりませんでした。そこで、せめて消化器に関係することは一通りできるようになりたいと考え、胃と大腸の内視鏡をはじめ、さまざまな診療に携わらせていただくことにしたのです。肝臓については、消化器全体を理解していないと診られない臓器ですから、入局後5年ほど経た上で、専門的に勉強し始めました。肝疾患の中でも、僕は特に肝臓がんや肝硬変の診療に携わりました。これらは食道や腸の静脈瘤を併発することもあり、培ってきた内視鏡治療の技術が非常に役に立ちましたね。勤務医時代の14年間で、消化器内科を幅広く研鑽できたことが、現在の礎になっています。
開業当時のエピソードをお聞かせください。
大学病院に勤務していますと、専門領域についての知識や技術は深まりますが、患者さんを人間としてトータルに診療することは残念ながら難しいことです。そこで僕は、内視鏡検査の経験や肝臓専門医としての専門性を生かしながら、全身的な健康管理を行うホームドクターをめざして当院を開業しました。とは言え、ゆかりも土地勘もない中央林間での開業でしたので、最初は患者さんの数も少なく、非常に不安な日々を過ごしていました。開業して1年も経たない頃だったでしょうか、ある日僕がクリニックの外に出た時に、偶然、交差点の反対側に、何度か診療に来てくれた幼稚園児の双子の兄妹がいたのです。彼らはすぐに僕に気付き、横断歩道の向こうから「先生―!」と、笑顔で大きく手を振ってくれました。その情景を見た時、「ああ、ここでやっていけそうだな」と初めて感じました。今でも思い出すと泣きそうになるくらい、本当にうれしかったですね。小さかった彼らは、高校生になった今でも当院に通ってくれています。
癒しの快適空間で、気軽に健康相談を
瀟洒な洋館のような、とても素敵なクリニックですね。
2010年に、交差点を挟んで向かい側にあるメディカルビルから現在地に新築移転しました。移転にあたっては、病院に対して怖いイメージを持っていらっしゃる患者さんに配慮し、“病院らしくない病院づくり”をめざしました。当院は外来診療だけでなく、内視鏡検査を多く行っています。内視鏡検査の前は誰だって緊張しますから、できるだけ心が休まり、緊張をほぐすことができるような雰囲気のクリニックにしたいと考えたのです。待合室は吹き抜けにして天井高を確保し、開放的で快適な空間を作っています。ゆったりとしたソファでくつろぎながら、心穏やかに診療や検査をお待ちいただければと思います。
お忙しいなか、どのようにリフレッシュしていらっしゃいますか?
もっぱら運動です。大学時代から続けているテニスをすることが多いですね。野球観戦も趣味の一つで、院内にはWBC日本代表チームやイチロー選手のユニフォーム・写真などを飾っています。我が家には18歳の長男を筆頭に3人の子どもがいますので、家族で野球観戦に行くこともありますよ。また、クリニックや自宅の庭の植物の世話をすることも、いい気分転換になっています。クリニックの庭では昼休みに毎日のように水まきをしていますし、芝生は2週間に1回は自分で刈っています。休日に1日がかりで手入れすることもよくあるんですよ(笑)。季節の花を植えたり、院内にもランを飾ったりして、和やかな雰囲気を作って患者さんをお迎えしたいと思っています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
僕自身は、患者さんにとって身近で信頼できる医師をめざし、患者さんがお話ししやすい雰囲気作りを心がけています。患者さんは苦痛や痛みを抱えて来院されるのですから、訴えをできる限り丁寧にお聞きしたいですね。また、内視鏡手術やC型肝炎のインターフェロン療法などを行う際には、治療方針や治療の効果などをわかりやすくご説明し、適宜説明プリントもお渡ししています。患者さんに少しでも安心して快適に過ごしていただけるよう、スタッフ一同、明るく親切な接遇に努めています。体のことで気になることがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。