福沢 俊秀 院長の独自取材記事
境川おとな・こども歯科 矯正歯科
(大阪市西区/九条駅)
最終更新日:2024/06/14
複数のクリニックを有する医療ビルに新規開業した「境川おとな・こども歯科 矯正歯科」。院名のとおり、子どもから大人まで幅広い症状・疾患に対応するクリニックだ。院内の各所には親子に配慮した工夫が光り、衛生管理も徹底している。そうした環境の中、福沢俊秀院長は歯周病や入れ歯などの一般治療に加え、口腔外科、小児歯科、矯正など多岐にわたる診療を展開。勤務医時代にさまざまな現場で研鑽してきたからこそ、多彩な治療法を提案できるのが強みだ。特に、大学病院の口腔外科出身であるためインプラント治療や抜歯などの外科的治療、長年矯正歯科勤務にて経験を積んだ矯正治療を得意とする。開業後はどのような形での地域貢献をめざしているのか、意気込みなどを聞いた。
(取材日2024年6月3日)
親子で安心して受診できる工夫が満載のクリニック
こちらのクリニックは医療ビルの中にあるそうですね。
はい、ビル内には全部で7つの診療科のクリニックが入っています。建物全体で一つの病院のようになっている環境が決め手となり、こちらに開業しました。私は口腔外科の出身で、これまで口腔と全身との関係の深さ、虫歯や歯周病だけでなく関連疾患も一緒に診ていく重要性を学びました。そうした観点から歯を「全身の器官の一つ」と捉えていますので、医科と密に連携しながら診療できそうだと思ったんです。そして実際、歯周病と関わりのある糖尿病は内科、歯の治療内容を大きく左右する骨粗しょう症は整形外科、歯ぎしりや食いしばり、顎関節症は精神科など、いろいろな先生と情報交換をしながら患者さんをご紹介し合っています。
診療のコンセプトを教えてください。
当院のコンセプトは、一人ひとりの生涯に寄り添い、総合的な歯科治療を提供できる地域のかかりつけ歯科医院です。最適な治療は一人ひとり違ってきますので、その方にとって何が良いのか考え抜いた上で治療し、「患者さんを自分の家族と思って治療すること」がモットーです。そのためには総合的な治療を実現する必要があり、ご提供できる技術・ノウハウ・設備をきちんとそろえなければならないと考えています。また怖くない、緊張しない診療をめざして麻酔の打ち方を工夫しているのも特徴です。麻酔が怖いという方は多いので、当院では必ず先に表面麻酔を実施し、麻酔の針も通常よりも細いものを採用しています。細い分、多少時間はかかりますが、痛みは感じにくくなります。
院内設備でこだわった点はありますか?
親子の患者さんが快適に受診できるよう、待合室には触って遊べるプロジェクションマッピングを備えたキッズスペース、トイレにはおむつ交換台を設置しました。診療室も、ベビーカーのまま入れるファミリー用のお部屋をご用意しています。診療室とキッズスペースが秘密の扉でつながっており、これならお子さんが遊び感覚で診療室へ誘導でき、歯科への苦手意識も持ちにくくなると思います。あと、患者さんからはなかなか見えない部分にはなりますが、衛生管理はかなり徹底しています。例えば、治療中に風や水を出す器具は金属製のものが多い中、当院では滅菌が十分に行えないと判断して使い捨てタイプのものを使用。さらに滅菌処理の前には洗浄器で汚れを洗い流し、滅菌器も厳しい滅菌基準をクリアしたものを導入しています。
「できること」をより増やすために口腔外科の道へ
診療における強みは何でしょうか?
やはり外科系ですね。当院では難しい親知らずの抜歯や、歯周病によって下がってしまった歯茎に対する歯周外科治療も可能です。良いインプラント治療も歯周外科治療を行えないと実現しませんので、外科という強みがさまざまな選択肢のご提示につながっているといえます。ちなみにインプラントは、確かな実績があり長持ちしやすいメーカーを採用しています。ほとんどのメーカーは治療後5年くらいは持つとされていますが、その後は安価なものだと外れやすかったり、インプラント周囲炎になったりするリスクが高まるのです。5年後手術が難しい年齢になっていた場合は患者さんに大変な思いをさせてしまいますので、耐久性は重視していますね。加えてインプラント治療前に行う骨造成は、歯茎の量が十分でないケースで実施しています。インプラント治療をして終わりではなく、きちんと長持ちするように適切な方法で歯茎を整えることが大切です。
大学時代のお話や、口腔外科を専門に選んだ理由も気になります。
私の母校である広島大学は、臨床コースと研究コースがあるちょっと珍しい大学です。昔は研究者になりたくて研究コースに進み、口内炎や口腔がんの研究に明け暮れていました。しかし人と話していたほうが楽しいことに途中で気づき、歯科医師になることに。当時の感覚は今も変わっておらず、当院でも患者さんとの会話やご説明に注力しています。歯学部では歯の話が中心でしたが、口腔外科は他科との連携が活発で、全身管理など学校ではあまり学べないことも経験できる領域です。また抜歯などの外科処置も、専門的な医療機関でないとなかなか修業できません。将来的に得意・不得意が分かれやすい分野だと感じたため、口腔外科を専門にしようと決めました。
勤務医時代はどのように研鑽されたのですか?
何をどれだけやるか、あらかじめ人生設計を立てた上で勤務医時代を過ごしました。口腔外科の次は、全身について勉強し、血液データといった医科のデータを読み取れるようになるために麻酔科へ。応急処置や外傷治療に対応できるよう救急科にも学びに行きました。その後はお子さんとご高齢の患者さんが多い地域のクリニックで、小児歯科や入れ歯治療などに従事。ご高齢の方は粘膜疾患ができやすく、実は口腔がんだったというケースもあるのですが、そんな症例を早期に発見できた時は口腔外科の経験が役立ったとうれしく思いましたね。そして最後はインプラント治療や矯正、セラミックなどの審美補綴がメインのクリニックで見た目が重視される治療も学び、やっと私のめざす総合治療ができるようになったということで開業に至りました。
地域の子どもが将来困らない状態にするのが目標
お子さんの診療に対するお考えも伺います。
お子さんは基本的に親御さんと受診することが多いので、親御さんが治療を受ける姿が「歯を大事にしよう」と思うきっかけになっているかもしれません。加えて当院からも積極的に、各ライフステージに合わせた適切な治療をご提案したいと考えています。地域のお子さんたちのお口を、将来困らないくらいの状態につくっていきたいですね。特に矯正は、早めに開始しないと後から大がかりな治療が必要になってしまうケースが一定数存在します。幼少期の骨格の成長・発達はそれだけ大事なこと。だからこそ当院では、骨格を正しく誘導したりお口周りの筋肉を調和させたりするための装置に関しては、可能な限り価格を抑えてご提供しています。これは金銭的な理由で適切な医療を受けられない、ということが極力ない環境でありたいとの思いからです。
費用の負担にも配慮されているのですね。
特に費用が高くて手間もかかるのは、大人になってから矯正をする場合ですね。それが成長の具合をコントロールしやすい5~6歳であれば、装置によってある程度の習癖の改善が望め、ひいては歯並びが整うことにもつながっていくと考えられます。なお、当院では審美性も重視しながら矯正を行っておりますが、特に小児矯正では顎の成長や、下顎を前方・後方のどちらに動かすかに焦点を当てています。顎の中で歯だけを動かすのではなく、顎自体を成長・抑制させるイメージです。
今度の展望と、読者へのメッセージをお願いします。
快適な受診のため、開業時から院内の至る所にデジタル技術を導入していますので、それらを効果的に活用したいと考えています。ゆくゆくは情報発信にも力を入れ、市民講座のような形でクリニック主催のイベントを開けたらいいですね。そうして当院のことを知ってもらい、より多くの患者さんにお越しいただきたいと思います。メンテナンスを通して口腔を長期的に管理し、「歯科は数回来たら終わりではなくずっと通うもの」という習慣も身につけてもらえたら何よりです。また、当院は毎回時間をとって丁寧なご説明に努めており、初診時もエックス線写真などを撮ったら詳細に結果をお伝えします。そしてクリニックという場所に恐怖心を抱かないよう、優しく寄り添いながら診療してまいりますので、お口のお悩みなどがありましたら気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは歯周外科治療(クラウンレングスニング)/3万3000円~、インプラント治療/46万2000円~、骨造成/7万7000円~、咬合育成/5万5000円~、小児矯正/55万円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。