陳 慶祥 院長の独自取材記事
けいしょう内科クリニック
(高槻市/高槻駅)
最終更新日:2025/09/19

JR京都線の高槻駅北口から徒歩9分、阪急京都本線の高槻市駅から徒歩11分の、緑の多い住宅街に2024年5月に開院した「けいしょう内科クリニック」。院長を務める陳慶祥(ちん・けいしょう)先生は多くの病院で糖尿病・内分泌内科の診療を経験し、直近の勤務先である高槻病院では糖尿病内分泌内科の立ち上げにも尽力した。イタリア料理店を改装したというクリニックは、白と木目、グリーンの配色が特徴的で、開放感がありながら落ち着きを感じさせる空間となっている。クリニック開業の経緯や設備・診療へのこだわり、今後の展望などについて、陳院長に話を聞いた。
(取材日2025年8月26日)
「人の役に立ちたい」と医師の道へ
医師を志したきっかけや糖尿病・内分泌内科を選択した理由を教えてください。

幼い頃から漠然と「人の役に立てるような仕事がしたい」と考えていました。親戚に医師がいたことや、いとこが医学部で学んでいたこともあり、高校生くらいになるとはっきりと「医師になりたい」と思うようになりました。具体的な医師の仕事内容を理解していたわけではないかもしれませんが、わからないなりに「医師はやりがいのある仕事だ」と確信があったんです。専門はなかなか決められなかったのですが、生命の神秘に関心があり、ホルモンや内分泌系を興味深く学んでいました。産科も考えましたが性格的に内科かなと思い、糖尿病・内分泌内科を選択しました。特に糖尿病内科は、医師と患者さんが信頼関係を築きながらともに病気と向き合っていくというイメージを持っていたのも選んだ理由の一つかもしれません。
開業の経緯をお聞かせください。
大学卒業後、神戸大学の医局に入り、いくつかの病院で勤務してきました。中でも2009年に配属され、丸15年間も診療を続けたのが直近の勤務先である高槻病院です。赴任した当時は糖尿病内科はなく「内科」だったのですが、私の配属と時期を同じくして「糖尿病内分泌内科」として分離しました。この糖尿病内分泌内科をしっかり確立させようと15年間も尽力してきたので、どこかやりきった感じがあったこと。そして、患者さんとの信頼関係ができてくるにつれて、異動や定年のある働き方ではなく、自分のペースで長く患者さんと関わっていけたら良いな、と思うようになったのが開業を考えたきっかけです。2年ほど前から場所探しを始め、高槻病院から目と鼻の先であるこの土地に出会えたことも大きいですね。
高槻市は糖尿病を専門とするドクターが少ないと伺いました。

大学病院などの総合病院には専門の医師が多数いますが、クリニックの開業医では少ないと感じます。ここ高槻市は人口35万人くらいなのですが、開業している日本糖尿病学会糖尿病専門医の資格を持つ医師は近隣の市に比べるとまだまだ少ないほうです。大きな病院は安心感はあるかもしれませんが、自分が長年勤務していて思ったのは、待ち時間が非常に長く、患者さんの負担になっているということです。当クリニックでは、待ち時間が短い、医療者と患者さんとの距離が近いというクリニックの良いところを生かしつつ、大規模病院に劣らない、専門性の高い治療を提供していると自負しています。
高い専門性と設備に、クリニックならではの温かさを
クリニックの特徴や強みを教えてください。

まずは、設備面ですね。血液検査の機器を導入しているので、検査当日に結果がお伝えできます。クリニックだとどうしても「後日、結果を聞きに来てください」となってしまうことが多いのですが、当クリニックでは、最短で一般生化学検査だと30分後、甲状腺ホルモンなどの検査でも30〜40分後には結果をお伝えできます。デバイスも充実を図っており、例えば1型糖尿病の方にはインスリン注射ではなくインスリンポンプという選択肢もあります。インスリンポンプをカニューレという細い針で刺して、持続的にインスリンを注入することができるので、一日何回も注射する必要はありません。血糖値も、センサーを装着しておけば、専用の測定器にスキャンするだけで測定できる機器がありますので、1回ごとに針を刺して血液を出す必要がありません。
先生が、診療で大切にしていることは何ですか?
患者さんも1人の人間であり、それぞれの生活を持っているということを忘れず、同じ立場になって、同じ目線で考えるようにしています。「この薬を飲んでください」と言うことだけが治療ではありませんし、特に、糖尿病治療の食事管理や運動指導だと「このくらいまで制限しましょう」「これだけ運動してください」と言うのは簡単ですが、それが目の前の患者さんにとって現実的でなければ、継続するのは困難です。それぞれの意識や生活スタイルは異なるわけですから、患者さんに合わせて「こうしましょうか?」と話し合って決めるようにしていますね。
中国語での診療にも対応されているのですね。

私は日本生まれですが、祖父母が中国から来ていることもあり、小中学校は中国語学校に通っていました。基本的な中国語は話せますので、日本語が話せない中国の方や、話せるけれど日本語に不安があるという患者さんには中国語で対応します。病気の診察・治療や生活指導については、しっかりと説明し、確認しなければならないことも多くありますので安心して通院していただけるかと思います。ちなみにクリニックのシンボルにもなっているマスコットキャラクターは、鍾馗(しょうき)という中国の神さまがベースです。疫病神を追い払い、魔を除いてくれるといわれる、日本の疫病封じの妖怪である「アマビエ」のような存在です。鍾馗のイラストに私の顔が描かれています(笑)。
チーム医療で患者との信頼関係を築く
開院から1年半が経過しましたね。

勤務医時代は診療だけでしたが、クリニックではやるべきことが多く……山あり谷ありでしたが、スタッフや患者さんのおかげでここまでくることができました。現在、患者さんの6割ほどが糖尿病で通院されている方です。前任の高槻病院の頃から引き続き来ていただいている方や、近隣の医院から紹介いただいた方などが中心ですね。今後は糖尿病との関わりが深い骨粗しょう症や小児の糖尿病・内分泌疾患などにも力を入れていきたいと考えています。また、間歇スキャン式持続血糖測定器のご提案や、合併症の早期発見や予防のためのフットケアなどをスタートします。血糖測定器はこれまで原則インスリンの自己注射をされている方のみが対象でしたが、内服のみの方や初期の糖尿病と診断されている方などにも自由診療で対応できるようになりました。
フットケアについて詳しくお聞かせください。
糖尿病の気をつけるべき合併症の一つに神経障害があります。神経障害が起こると感覚が鈍くなって足の傷に気づかなかったり、足の爪が分厚くなったり、タコやうおのめができやすくなったりなどのトラブルがあるものの、特に高齢の方は足まで見ていない人が多いんです。そこで、月に1度フットケアの時間を設定。糖尿病療養やフットケアに精通した看護師が予約優先で対応します。丁寧にケアすることで、ご自身では気づきにくい神経障害を早期発見できるようにしたいと考えています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

大きな病院ではなかなか実現が難しかった患者さんとの距離・垣根をできるだけ低くしたいと、看護師をはじめとするスタッフとのチーム医療に取り組んでいます。特に糖尿病は医師との信頼関係も重要になる疾患なので、診察前の看護師による問診や生活上のアドバイスなどの時間を大切にしています。また、糖尿病に特化したクリニックでありながら、それだけではなく一人の人間として患者さんの問題に真摯に向き合っていきたいと考えています。なんでも相談できる身近なクリニックをめざして幅広く対応しますので、お気軽にお越しください。
自由診療費用の目安
自由診療とは間歇スキャン式持続血糖測定/7000円~