診断から経過フォローまで
内科クリニックで受けるCT検査
山の手内科クリニック
(神戸市中央区/大倉山駅)
最終更新日:2025/01/16


- 保険診療
エックス線を使って体内の断層画像を撮影するCT検査。大きな病院や整形外科クリニックで、検査を受けたことがある人もいるだろう。神戸市中央区の「山の手内科クリニック」もCTを導入しているクリニックの一つ。CTを備えている内科系クリニックはまだまだ珍しいが、救急科や呼吸器内科で豊富な診療経験を持つ古川皓一院長は「主治医として責任を持って診断・治療をするためには、CTは内科系医師にとってもなくてはならない検査機器だと考えています」と話す。また地域の中にCT検査が受けられるクリニックがあれば、わざわざ遠くの病院に行かなくてもよいので、周辺住民にとってもメリットが大きい。そこで今回は同院の診療におけるCT検査の目的や意義、また撮影検査時の流れについて、古川院長に詳しく解説してもらった。
(取材日2024年5月30日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q開業時からCTを導入されていますが、その理由は何ですか?
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A
これまで救急科や呼吸器内科、内科などさまざまな医療現場で働いてきました。どの現場でも大切にしてきたのは責任を持って患者さんを診療するということです。そのためには、レベルの高い検査や診断を行う必要があると思います。特に当院の場合、呼吸器疾患で通院される方もいらっしゃいます。一般的なエックス線検査で肺の撮影をしても、他の臓器と重なった部位の裏側などは映りにくく死角が生じるため、必ずしも自信のある診断を出すことはできません。クリニックを開業するのであれば、CTの導入は必須だと考えていました。また、地域の方にとっても何があればすぐにCT検査できることはメリットだと思います。
- QCT検査ではどのような疾患がわかるのでしょうか?
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A
例えば、胸部CTでは肺がん、肺炎、結核、非結核性抗酸菌症、気管支拡張症、肺気腫など。肺の腫瘍をきっかけに消化器のがんがみつかることもあります。腹部CTでは肝硬変や肝臓がん、胆嚢、膵臓、大腸がんなどの消化器系の異常や、腎臓・膀胱・前立腺がんといった泌尿器系、子宮筋腫などの婦人科系の異常など幅広く確認できます。また、動脈瘤という血管の異常もわかります。頭部CTでは慢性硬膜下血腫などが見つかることもあります。CT検査は精細な画像で体の深部まで観察でき、死角が少ないため小さな病変まで発見しやすいという点が特徴です。検査画像の確認ではどのような疾患も見落とすまいと肝に銘じています。
- Q検査を行う上で気をつけていることを教えてください。
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A
さまざまな検査にはそれぞれ得意な分野があり、メリット・デメリットもあります。CT検査でいえば、患者さんは被ばくや費用を気にされることがあります。被ばくに関しては年に数回では問題ありませんし、費用に関しても保険診療で行い、事前におおよその目安をお伝えするようにしています。そもそも不必要な検査はしないように心がけていますが、こちらが検査したほうが良いと思った場合も、必ずしも患者さんが納得されるとは限りません。検査の必要性をしっかりとご説明し、互いの認識のずれが生じないよう、日頃からコミュニケーションはしっかり取るようにしています。そうすることで患者さんと二人三脚で治療に進めると考えています。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1まずは問診を行い、現在の症状や既往歴などを確認
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初診の問診では、現在悩んでいる症状やこれまでの経過、家族の病歴などについて確認が行われる。同院では、長く続き原因のわからない咳、痰、頭痛、腹痛といった相談が、年齢を問わず多いという。可能性のある病気がリストアップされ、必要な検査が検討される。情報が多いほど診断の手がかりになるので、健康診断や他の医療機関で受けた検査の結果、お薬手帳などがあれば持っていくといいそうだ。
- 2CT検査の必要があった場合、詳しい説明を受ける
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問診の内容から状況を判断。病気の疑いがあれば原因や進行具合を確認するために、あるいはがんなど重大な病気が隠れている可能性がある場合はそれを確認するために、医師からCT検査が提案される。同院ではできるだけ患者が不安を残して帰らないよう当日検査にも対応。食事制限が必要な腹部撮影を行う場合は、翌日以降に検査となることも。気になることがあればこの段階で医師に尋ねておこう。
- 3CT検査当日
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CT検査は医師もしくは診療放射線技師が担当。検査時は着替える必要はなく、普段の服装のままで良いそう。またアクセサリーや眼鏡などの金属類は外す。検査台に横になり、固定ベルトをしたら撮影がスタート。検査台が筒状の装置をゆっくり通り抜ける間に撮影が行われる。撮影する部位や枚数にもよるが、検査そのものは数秒から数十秒とあっという間。痛みなどの負担や不快感もほぼないので、リラックスして検査を受けよう。
- 4検査結果を確認し、現状の説明・今後の治療方針を聞く
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撮影された画像は、古川院長と神戸大学の放射線科医師の2人でダブルチェックを行う。それぞれに読影と検討をし、見逃しや見落としがないよう徹底している。およそ1週間後に診断レポートがそろうので、再度受診して実際に撮影された画像を見ながらその後の治療方針が説明される。感染症の疑いなど治療を急ぐ場合は、当日の撮影後すぐに古川院長より診断結果が説明され、それに基づいた治療が開始されることもあるという。
- 5定期検査で経過観察していく
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1回のCT検査で診断がついて治療が始まることもあるが、小さな異常が見つかり、数ヵ月間隔で定期的な撮影を行って、経過観察で様子を見ていくケースもある。例えば、肺結節影と呼ばれる肺の小さい影は、炎症性瘢痕と肺がんの鑑別をつけるために経過観察が欠かせないという。同院では院長のこれまでの呼吸器内科での経験を生かし、長期の経過観察にも対応。病院から紹介された患者の定期検査通院といった逆紹介も受け入れている。