野村 昇平 院長の独自取材記事
のむらこどもクリニック
(大阪市鶴見区/鶴見緑地駅)
最終更新日:2024/07/12

大阪メトロ長堀鶴見緑地線・横堤駅から徒歩9分の場所にある「のむらこどもクリニック」。2024年5月に地域に医療貢献がしたいと野村昇平院長が開業したクリニックだ。大型ドラッグストアに隣接し、同院の前には共用で使える40台以上の自動車が収容可能な広い駐車場が備えられ、自家用車でのアクセスも便利。風邪などの一般的な症状から小児感染症、アレルギー疾患、健診やワクチン接種まで幅広く診療し、発達障害や小児神経疾患といった専門的な診療も実施。自身も子育て中の父親だという野村院長は、「不安がない家族はない」をモットーに、地域密着型の小児科クリニックとして保護者の気持ちにも寄り添った医療提供をめざしている。今回は、クリニックのこだわりや診療時の心がけなどについて聞いた。
(取材日2024年7月6日)
家族みんなが安心して通院できるクリニックをオープン
2024年5月に新しくオープンされたそうですね。クリニックの特徴を教えてください。

当院は小児科として、お子さんの病気やケガ、皮膚疾患、アレルギー疾患など幅広く診療を行っています。そもそも小児科は診療の幅が広いものですが、病気やケガ以外にも、夜尿症(おねしょ)から便秘、お子さんの発達、日常生活のちょっとした困り事まで、何でも遠慮なく相談できる、そんな地域に根差した存在になっていければと考えています。子育て中は何かと不安なものです。しっかりとお話に耳を傾け、適切な治療やアドバイスをわかりやすくお伝えするように心がけています。また、ご家族皆さんをサポートしたいと考え、お子さんとご家族同時の診療・予防接種にも対応しています。これまでの経験を生かし、予約制ではありますが、発達障害に関する相談を受けつけているのも当院の特徴です。
先生のご経歴・ご経験についてお聞かせください。
大阪医科大学を卒業後、同大学病院や関連病院の小児科で勤務。その後、発達障害や小児神経疾患を専門に診療したいと希望し、大学院へ進学し、臨床経験を積んできました。小児神経を専門としていても、外来の窓口はあくまでも小児科です。これまで専門以外のさまざまな疾患の患者さんを診ることも多かったですね。特に大学病院や総合病院では、重度で複雑な疾患の患者さんが多くお越しになります。感染症やアレルギー疾患、腎臓疾患など、あらゆる疾患に対応してきました。おかげで、幅広い知識や医療に重要な緊急時に見極める力が身についたと思います。その経験を生かし、今後は地域医療で貢献できればと考えて開業しました。
明るくすてきなクリニックですね。院内でのこだわりを教えてください。

院内は少しでも気分が晴れるような明るい雰囲気にしています。全面バリアフリー設計で、待合・診察・入り口は双子用のベビーカーでも十分に入れる広さを確保しました。キッズスペース、授乳室、トイレのおむつ台といった設備の充実はもちろんのこと、特に力を入れているのが感染症対策です。クリニックに行きたくても、他の病気がうつるのが怖くて行けないことがないように、また他のお子さんにうつしてしまうことを心配して受診を控えるようなことがないように、発熱症状の有無で待合スペースを分けています。診察室やトイレも完全に別で、万が一複数の発熱患者さんが重なることがあっても、十分なスペースを設けて個別にお待ちいただくようにしています。発熱がある方ない方ですれ違うことは極力少なくしているので、どなたにも安心してお越しいただきたいですね。
「大丈夫」と言えるように、検査でしっかり根拠を示す
診療する上で大切にしていることを教えてください。

診療では、できる検査をしっかりと行って根拠を示すことを心がけています。ですので、当院ではエックス線検査、尿検査、血液検査、感染症検査、心電図検査、超音波検査、弱視の検査など、数多くの検査機器がそろっています。アレルギーテストも血液検査だけでなく、プリックテスト、食物経口負荷試験も実施して、多様なアレルギー治療に対応しています。外部に依頼する血液検査以外は即日中に検査結果が出るので、お待たせすることもありませんし、簡単な血液検査は指先から数滴採血するだけと、受診されるお子さんにできるだけ負担の少ない検査を導入しています。
これだけの検査体制のクリニックも珍しいのではないでしょうか。どうして検査に注力されているのですか?
大丈夫な時はできるだけ早く「大丈夫だよ」と言って、患者さんとご家族を安心させてあげたいんですよ。大人が病気になった時とは違って、小児科では患者さんは小さな子どもで自分の状態を説明できませんし、症状を観察して説明するのも、医療者から治療説明を受けてケアするのも親御さんです。親御さんにしたら、自分のことでないだけに不安も大きいでしょう。ほとんどの疾患は適切な処置をして数日安静にしていたら症状の改善が見込めますが、わかっていても心配だというのが「親の気持ち」です。大きな病気でないことや状態が悪すぎるようなことはないと、検査の数値を見れば安心につながるでしょう。また、受診時は慌てていたり、他のきょうだいが気になって説明を十分に聞けなかったという経験のある親御さんも多いのではないでしょうか。ご自宅に帰ってから見返すことができるよう、検査結果やリーフレットなどもお渡しするように心がけています。
保護者にも寄り添った診療を大切にされているのですね。

はい。自分自身も子育て中の親なので、「こんな時大変だよな」とか「こうだったら良かったのに」と、親御さんの気持ちが理解できるんです。それは他のスタッフも同じで、そういった機微に本当によく気がつく人がそろっています。サッとお子さんをベビーカーから降ろすのを手伝ったり、診察の間は他のきょうだいを見守ったり、オープンして間もないですが、自分が患者さんのためにできることを考えて行動できるスタッフが多いですね。私に直接相談しにくいことも、スタッフを通して情報は共有されますので、誰にでも気軽に声をかけてもらえたらと思います。
発達障害の外来をはじめ、丁寧な診療をめざす
発達障害の外来診療を行うクリニックは少ないように思います。注力される理由をお聞かせください。

確かに発達障害の外来は手間のかかる診療です。それだけに、クリニックで行うところは少ないのが現状です。でも勤務医時代に「やって良かった」と思うことがたくさんあるので、これからも続けていきたいと思っています。時間をかけて検査・診断して、その結果がいいとは限らないこともありました。シビアなことを言って、ご家族を涙ぐませてしまうことや、不安にさせてしまうことが多くありました。発達障害の外来診療をしていると避けては通れないこととはいえ、もっと言い方に気をつけていればと反省ばかりでした。ですが、「こんな方法で対処したらいいよ」「こういった時は福祉に頼ることができる」と対処法を一緒に考えたり、アドバイスしたりすることで、前向きに考えられるようになれるご家族は多かったんです。少しでも良い方向に進んでいけるヒントになればと思い、手を差し伸べていきたいと思っています。
ところで、先生は体を動かすことがお好きだそうですね。
ジョギングやロードバイクを趣味にしています。最近は忙しくてなかなか自分の時間を持てませんが、体を動かすことは好きですね。実は小さな頃は体が弱くて、スポーツを一切させてもらえなかったんですよ。他のきょうだいが体育や習い事をしているのを、うらやましく思っていました。運動の許可が出たのは、高校生の終わりくらいから。大学ではいろんなことに挑戦しました。残念ながら、運動神経はあまり良くありませんでしたね。そういった経験もあって、小児科を選択したんです。子どもは元気でいてほしいと常に願っていますし、ご家族皆さんが笑顔でいられるようなお手伝いができればと思っています。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

子育てに悩みは尽きませんし、その悩みに大きいも小さいもないと思っています。お父さんお母さんには、「どんな些細なことも気になったら、いつでもご相談に来てください」とお伝えしたいですね。もちろん、小さな子どもを連れての通院は大変なこと。当院では少しでも負担を減らしたいと、ウェブ予約やキャッシュレス払いにも対応し、再診のみで可能と判断したときのみオンライン診療も行っています。状況に応じてうまく活用していただければと思います。頼りにして来てくだされば、私たちにできることは全身全霊で応えていきたいと思います。いつでもご相談ください。