西村 公志 院長の独自取材記事
藤原台にしむらクリニック
(神戸市北区/岡場駅)
最終更新日:2024/07/01
神戸市北区藤原台中町、藤原台中町4丁目停留所のすぐそばにある「藤原台にしむらクリニック」は、消化器外科で研鑽を積んだ西村公志院長が、地域医療への貢献をめざして開業したクリニックだ。専門とする腹部の症状はもちろんだが、風邪などの体調不良や生活習慣病の治療・管理に加え、肛門や乳房に関する悩み、けがややけど、虫刺され、腰痛や花粉症まで幅広く対応。地域住民の健康を支えるかかりつけ医としての役割を担う。「とにかくどんな些細なことでも相談してもらえるような、アットホームな場所でありたい」とほほ笑む西村院長に、クリニックの特徴や医療にかける思いなど詳しく話を聞かせてもらった。
(取材日2024年6月14日)
患者の生活を支える医療を実践したい
まずは開業までの経緯を聞かせてください。
開業までは関西圏の病院で消化器外科の医師として働いていました。外科ですのでたくさんの手術を担当してきましたが、経験を積めば積むほど手術で治療が終了するわけではないことを痛感することが増えました。例えば、がんの患者さん。すべての人が手術での回復が見込めれば良いのですが、実際にはそうはいきません。抗がん剤などの化学療法が必要になることもありますし、回復が望めず緩和ケアへと移行しなくてはならないこともあります。患者さんやそのご家族と向き合っていく経験を通して、医療とはその人の人生に向き合い、その人の命に寄り添っていくものなのではないかと感じることが増えていきました。そんな時、お世話になっていた上司が退職されることになり、自分も新たな人生を歩いてみるタイミングなのかな?と開業を決意しました。
藤原台は縁がある土地だったのですか?
藤原台は通勤で通る場所でしたので、土地勘があった程度です。ただ開業を決意し、場所を探す過程で考えたのは「地域の人々に寄り添って、しっかり向き合いながら治療がしたいな」ということ。私自身も50代になり、自分の周りを見渡しても「疲れやすくなったり、体調不良が増えたりするんだなあ」と実感するようになってきました。ターミナル駅などでの開業も考えましたが、その人の「生活そのもの」を支えるような医療を実践したいという思いが強かったんですね。そんな時、住宅街にあるこの場所を紹介されて「ここだな」と感じました。もともと内科クリニックがあった場所だったこと、お隣に薬局があったことも大きな決め手になりました。
診療の特徴を教えてください。
消化器が専門でしたのでおなかの症状全般を診察しますが、開業前には生活習慣病の治療にも携わり、病気を防ぐためのあらかじめのメンテナンス・予防医学の大切さを学びました。その他、発熱や風邪などの体調不良はもちろん、便秘や下痢の相談や切り傷ややけど、虫刺されや犬や猫による咬傷の対応も行っています。また、花粉症などのアレルギー、肩こりや腰痛などの相談も受けています。今は医療が細分化され、専門の診療科でないと診療してもらえないと思っている人も多いですが、そういうわけでもありません。例えば重度の呼吸苦、胸痛、腹痛など、重症が疑われる場合には救急車の要請や大きな病院を受診したほうが良いと思います。しかし、毎日の暮らしの中には「医療機関を受診するほどではないけど、どことなく調子が悪い」なんてことがあるはずです。そんな時に相談していただければ、適切に判断し、必要に応じて医療機関へとつないでいきます。
体調不良からけが・やけど・お尻の悩みまで幅広く対応
肛門や乳腺にも対応しているそうですね。
痔や肛門の腫れ、出血や痛みに悩んでいる方は結構いらっしゃるのですが、「肛門科を受診するのは恥ずかしい」と受診されていない人は多いんです。しかし痛みや出血の原因がわからないまま放置していると、重篤な病気を見逃してしまうかもしれません。最初はついでの相談で構いませんので、悩んでいる人は打ち明けていただけたらと思います。程度にもよりますが、ホームページに記載しておりますように、当院では痛みの少ない内痔核に対しては、副作用が少なく麻酔の必要もないゴム輪結紮術も可能です。乳腺では乳房の痛みやしこり、甲状腺が気になる方に対して超音波検査を行っています。マンモグラフィの苦手な方、一人で不安を抱える方が多いので気軽にご相談ください。もちろん精密検査が必要だと判断した場合には、専門の医師を紹介しますよ。
患者さんはどのような方が多いのでしょうか?
近隣にお住まいの方を中心に、幅広い年齢層の方に来ていただいています。今は開業当初ということもあり、混雑しているわけではありませんので、生活習慣病のことなどゆっくり相談したい方はぜひいらしてください。子どもの病気がうつった保護者の相談も受けつけています。乳幼児に関しての診察は小児科をお勧めしていますが、保護者の体調が回復しないことには家庭生活が立ち行きません。子育て世代を応援するためにも、状況に応じてサポートができればと思っています。予約システムを導入しているためか、電話してから来院してくださる方が多く、この地域の皆さんの気遣いや丁寧さを感じ、改めていい場所に開業できたなと感じます。とはいえ、直接来ていただいても構いませんので、「もしも」のために覚えておいてくださいね。
診療の際、心がけていることはありますか?
当たり前かもしれませんが、お話を聞くことですね。医療機関はどうしても緊張する場所だと思いますので、できるだけ話しやすい雰囲気づくりを大切にしています。そのためには私一人だけでなく、一緒に働くスタッフの力があってこそ。ありがたいことに、今一緒に働いてくれているスタッフさんは人柄の良い人ばかり。誰かのために動ける人ばかりなので、本当に助かっています。実は私はどちらかというと白黒つけたい、せっかちな性格。「悪いところを取るための治療」というキッパリしたところが好きで外科を選んだくらいですから。しかし外来診療を通して患者さんの話を聞かせてもらっているうちに、患者さんの暮らしや気持ちを聞くことがとても好きになりました。十分な時間を取れない日もありますが、いろいろと聞かせてもらえたらと思います。
地域に信頼されるアットホームなクリニックをめざして
先生は子どもの頃から医師をめざしていたのですか?
父が医師でしたから、医師という職業に対する憧れのようなものを小さな頃から持っていたように思います。しかし真っすぐに医師をめざしたわけではなくて、実は最初は工学部に進んだんです。大学でも楽しく過ごしていたのですが、製図や金属の鋳造をしている時に「自分が向き合いたいのはこれじゃないな」と強く思ったんです。「やっぱり自分は人が好きだから、人と向き合う仕事がしたい」と改めて感じました。そこから「医師をめざそう」とスイッチが入って勉強し、医師になりました。
今後はどのようなクリニックをめざしたいですか?
医師は一人で働いているようで、実は常にチームで動いているんです。例えば手術をするためには、執刀医だけでなく本当に多くの人が関わって準備し、術後も多くの人がサポートしています。そして患者さんも一人じゃない。両親や家族、友人など心配している人がいます。そのすべての人にそれぞれの考え方や気持ちがあります。そのような医療はクリニックで働くようになった今も同じです。だからこそ一緒に働いてくれる人、当院を選んで足を運んでくださる人の気持ちを大切にできる場所にしたいですね。まずは病気についてしっかりと説明し、納得していただいた上で、できることは何か、どんな治療をするのかを、メリットやデメリットも含めてご理解いただけるように努めます。患者さんやご家族の暮らしをサポートし、信頼いただけるアットホームなクリニックにしていきたいです。
地域の皆さんにメッセージをお願いします。
開業したばかりで不手際もあるかもしれませんが、地域の皆さんと末長いお付き合いをしたいと思っています。日々の体調不良やけがはもちろん、生活習慣病の管理などなんでも気軽に相談していただけるとうれしいです。「こんなこと聞いてもいいのかな?」という遠慮は必要ありませんよ。また予防接種や健康診断、MD法による骨密度測定、血圧脈波検査も実施しています。自分の体の今を知れば、未来の健康へつなぐことができます。どこか悪くなる前に検査を上手に利用して、健康維持に役立てていただければと思います。今後は往診や訪問診療の対応なども含め、地域のニーズに合わせて増やしていくつもりです。車いす対応も可能ですのでどうぞよろしくお願いいたします。