肝臓疾患は専門の医師に相談
エコー検査で脂肪肝も迅速に診断
ぎょうとく内科・内視鏡クリニック
(台東区/浅草橋駅)
最終更新日:2025/04/07


自覚できる症状が出にくいために、気づきにくい肝臓疾患。しばしば話題になる脂肪肝だけでなく、ウイルス性の肝炎を発症する人も多く、そのほかにも肝臓の疾患はさまざまな種類がある。また、脂肪肝は放置すれば肝硬変や肝臓がんといった、さらに重篤な疾患を引き起こすこともあり、早期に発見してケアすることが重要だ。「ぎょうとく内科・内視鏡クリニック」の行徳芳則院長は、「肝臓の疾患が進行すると、元の状態に戻すことは困難。だからこそ、病状が進行してしまう前に早期発見するための対応策が大切です」と話す。肝臓疾患の専門家である行徳院長に、肝臓疾患の種類や検査方法、治療法などについて、詳しく話を聞いた。
(取材日2025年3月14日)
目次
脂肪肝を放置すると肝硬変や肝臓がんのリスク増大。血液検査と画像検査で状態を把握して適切なケアを
- Q肝臓の病気にはどのようなものがありますか?
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A
▲日本肝臓学会肝臓専門医である院長。穏やかで優しい人柄が魅力
現在、日本で最も多い肝臓病は、B型肝炎やC型肝炎といったウイルス性肝炎です。また、最近増加して問題になっている脂肪肝による肝障害、さらに難病指定されている自己免疫性肝炎といった疾患が、主な肝臓疾患として挙げられます。そのほかの肝臓疾患としては、薬剤性肝障害、またアルコール性の肝障害といったものがあります。
- Q健康診断の数値や日々の症状で、気をつけることはありますか?
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A
▲手製の資料を用いてわかりやすく説明している
血液検査を受けられる場合は、肝臓の機能を調べるALTという数値に着目します。ALTの数値が高くなっていると指摘を受けた方は、一度クリニックを受診して、原因を調べてもらいましょう。肝臓の疾患は、初期の段階だと症状がないことが多いため、自覚することは難しいのですが、何か兆候があるとすれば浮腫(むくみ)の症状がおなかや足などに見られた場合、肝臓の疾患が関わっている可能性があります。それらの症状が現れていて、まだ受診されたことがない方は、肝臓を調べてみていただければと思います。
- Q脂肪肝について、詳しく教えてください。
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A
▲エコー検査で肝臓の脂肪量をチェックできる
脂肪肝とは肝細胞の中に過剰に脂肪が蓄積されてしまった状態です。脂肪肝自体には基本的に症状はありませんが、脂肪が過剰に蓄積されることによって、炎症が引き起こされます。その状態が長年続いてしまうと、将来的に肝硬変や肝臓がんにつながる可能性があります。脂肪肝による疾患にはNAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)と、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)という分類がありますが、脂肪が蓄積しているだけのNAFLDに対して、NASHはひどい炎症を起こしているものを指します。NASHの場合、肝臓がんのリスクもさらに高くなるため、注意が必要です。
- Q肝臓の検査はどのように行うのでしょうか?
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A
▲患者に対してこまめなフォローを大事にしている
大きく分けると、血液検査と画像検査です。ウイルス性肝炎や自己免疫性肝炎などは、血液検査によってある程度、診断がつけられることが多いです。一方、脂肪肝などは画像検査で診断できることが多いため、エコー検査を行って肝臓の状態を見ます。エコー検査では肝臓の脂肪量も同時に計測し、より重症度が高い方に対してはこまめなフォローを心がけています。エコー検査のみで情報量が足りない場合は、MRIやCT検査といった画像検査を組み合わせることもありますが、検査の手軽さや侵襲性の低さの点でも、まずはエコー検査が行われることが多いですね。
- Q肝臓疾患の治療法や対策について教えてください。
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A
▲患者自身のために定期検査が大事だと話す行徳院長
肝臓は病態が進行すると、元の状態に戻すことは困難です。例えば、生のレバーを焼くと固くなってしまうように、一度固くなった肝臓は、以前のやわらかさにはなかなか戻らないため、いかに現状から悪化させずに維持するかが大切です。そのために、定期的な採血検査や栄養管理を行います。アルコール性の肝障害であれば減酒や禁酒をし、脂肪肝なら体重を落として食事の管理、運動の習慣づけなどを行います。そのほか、B型肝炎やC型肝炎ならば原因となるウイルスの排除、自己免疫性肝炎であればご本人の生活習慣が原因ではありませんので、通院で定期的な経過観察をすることが重要です。