行徳 芳則 院長の独自取材記事
ぎょうとく内科・内視鏡クリニック
(台東区/浅草橋駅)
最終更新日:2025/01/07

蔵前に「行徳内科医院」が開院して70年余り。3代目となる行徳芳則院長は、先代である父からクリニックを引き継ぎ、2024年に浅草橋に移転。行徳院長は消化器内科のご専門でもあり、「ぎょうとく内科・内視鏡クリニック」として新たなスタートを切った。院内は淡い色の木材を配したやわらかなイメージで、待合室も広々としている。クリニックのロゴは、内視鏡で“ぎょうとく”の「G」を表し、クリニックの「C」で囲ったところに浅草橋の「草」を添えてデザインされているそうだ。同院には一般内科の他にも、胃・大腸内視鏡検査を行うための設備がしっかりと整っている。「これまで大学病院で培ってきた技術や経験を地元に還元したい」と話す行徳院長に、診療にかける思いを聞いた。
(取材日2024年11月19日)
敷居の低い充実した内視鏡検査を
クリニックを継承するにあたって、蔵前から浅草橋へ移転なさったのはなぜですか?

これまで蔵前のクリニックでは父が内科全般を診てきましたが、私が院長になるにあたって、専門である消化器内科や内視鏡を前面に出していきたいという思いがありました。今までのクリニックは老朽化も進んでいて、内視鏡検査をやるだけのスペースがなく、どこか良い場所はないかと探していたところ、こちらが見つかりました。近隣の先生から、この辺りの患者さんがお困りだとも耳にしていたので、お力になれたらと開院を決めました。下町ならではの人情とでも言うのでしょうか、患者さんが皆さん気軽に声をかけてくださり、いろいろとお世話してくださるんですよ。私もこれから医療の面でこの街のお役に立っていければいいなと思っています。
内視鏡検査について教えてください。
胃の内視鏡検査については経鼻内視鏡を使っています。以前は経口内視鏡に比べて画像が粗いといわれていましたが、最近の経鼻内視鏡は精度が上がり、経口内視鏡と大きな差は感じていません。患者さんにとっては苦痛の軽減も期待できます。内視鏡検査中に患者さんが苦しい思いをなさるのはこちらとしてもつらいですし。また、嘔吐反射が強くて写真がぶれてしまうと、病気を見逃してしまうリスクもあります。ご希望があれば鎮静剤を使用していますので、ご心配な方、鎮静剤が使えず苦しかった経験のある方もお気軽にお申しつけください。また、胃と大腸を同日検査することもできますし、大腸の検査中にポリープの切除手術もできます。遠くからいらっしゃる方やご高齢の一人暮らしで下剤に不安のある方のために、下剤を服用するための個室も用意しています。なるべく患者さんにとって障害の少ない検査をめざしています。
予約が取りやすいのもクリニックの強みですね。

当院では比較的若い、20代から40代の患者さんが多いんですよ。ネットなどで探してくださるんだと思うんですが、ホームページからそのまま予約が取れるのも当院の特徴です。「診察して、では1週間後に検査」ではなく、来院当日であっても枠が空いていれば検査の対応をしています。もともと父の代から土曜日の午前中も診察していたのですが、休みの日にしか来院できない方もいらっしゃると思うので、現在は土曜日の午後5時まで対応しています。「日曜になる前にちょっと診てほしい」という方もおいでで、そういった声にもお応えしていきたいですね。最近は下剤も飲みやすいスポーツドリンク味になっていたり、内視鏡のカメラの性能自体も進歩して腸に入りやすくなっていたりします。これまで大学病院で数多くの検査をしてきました。その積み重ねの成果を地域の患者さんに還元していければと思っています。
腹部超音波で肝臓の脂肪量を測定
ご専門の肝臓や膵臓の検査も充実していると伺いました。

大学病院では肝臓や膵臓などの検査を担当してきました。このクリニックでも超音波検査ができる機器を導入しています。この超音波検査では、肝臓の脂肪量が測定できます。「脂肪肝」と診断されたとき、ただ脂肪肝と言われるより、数値的に脂肪の量を示されたほうがわかりやすいですし、治療やダイエットをする上で一つの目安にもなります。最近はアルコール性ではない脂肪肝が増えていて、その多くは脂質異常症や糖尿病など生活習慣病を併発するので、生活習慣病の治療もしなくてはいけません。少し甘く見ていると10年後20年後に慢性肝炎や肝硬変になるケースも増えてきています。脂肪肝は自覚症状がなく、健診で肝臓の数値が高く、精査が必要と診断を受けて初めて気づく場合がほとんどです。そこで放置せず、一度ご相談いただければ、定期的にフォローしたほうが良いということをお伝えするようにしています。
診療の際心がけていることは?
患者さんは基本的に不安を抱えていらしているので、そこをできるだけくみ取って差し上げたいと思っています。なかなか言葉にできなかったり、言って良いものなのか迷ったりすることもあるでしょう。できるだけ時間をかけてお話を伺って、ご本人がどこを調べてほしいのか、どういった治療を望まれているのかをすくい取り、それに沿った治療を、と心がけています。また、患者さんが理解できるようお伝えするのも私たちの役目です。初診では言えなかったけれど次の時には話ができることもあると思います。時間をかけ、患者さんに寄り添った治療をしていきたいですね。スタッフにもそれは伝えていて、4人のメンバーそれぞれが優しさをもって患者さんと向き合ってくれています。
印象に残っている患者さんについて教えてください。

大学病院時代は、膵臓がんや胆嚢がんの患者さんへの抗がん剤治療を担当してきました。ご存じのように、膵臓がんはなかなか治療が困難です。消化器内科で対応する患者さんは外科的な手術がすでに難しいので、内科へおいでになる場合が多いんです。そういった患者さんは、毎週のように抗がん剤の点滴治療にいらっしゃいます。いろいろとお話をしながら、残された時間を大切な方たちと有意義に過ごせるようにと考えながら治療をしていました。毎週のようにお目にかかるので親近感も湧きますが、1年たち2年たつと、抗がん剤での対処も難しくなり、お亡くなりになっていく。お一人お一人、記憶に残っていますし、患者さんたちから最後に感謝の言葉を頂くと、少しは寄り添った治療ができたのかなと思えました。そういった経験を次の患者さんたちに少しでも生かして診療に臨みたいです。
ウェブ予約とオンライン診療の活用を
お忙しいかと思いますが、趣味はありますか。

勤務医の頃は、阿波踊りをやっていました。大学のある南越谷は三大阿波踊りの一つで有名なんですが、入院している患者さんたちは外へ出て見に行くことができません。なんとか病院内で楽しんでもらおうと、医師、薬剤師、看護師、事務職などいろいろな職種のスタッフ100人ほどでグループを組み、演舞を見てもらっていました。4~5月から週に2回、夜に集まって部活のように練習するんですよ。私は研修医の時に循環器の先生から誘われて参加したところ、想像以上に楽しくて、新型コロナウイルス感染症の影響で中止になるまで10年間毎年踊っていました。普段とはまったく違う姿で踊るので最初はちょっとびっくりされますが、皆さん喜んでくださって。中でも熱心な仲間と本場・徳島をはじめ、あちこち訪れたのも良い思い出です。
今後の展望をお聞かせください。
現在はウェブ予約制を取り入れ、好評をいただいていますが、オンライン診療にも力を入れていきたいと考えています。当院のオンライン診療は専用の時間帯を設けず、診察時間内であれば予約が取れる形になっています。お電話での予約も受けつけています。予約なしでの診療ももちろんしていますが、予約をしていただくと、体調の悪い中長時間院内でお待ちいただくことがなくなると思いますし、われわれも事前に準備ができます。ウェブ予約であればホームページで24時間受けつけていますので、ご利用いただければと思います。
読者へのメッセージをお願いします。

病気にかかると誰でも不安ですし、怖いと思うでしょう。そのお気持ちに寄り添って、できるだけ丁寧に診療をしたいと思っています。患者さんとの間に信頼関係を築くことが、より良い医療につながります。内視鏡といった検査機器も質にこだわってそろえていますが、一番大切なのは外来でお話を伺うことだと思っています。何を心配され、何をご希望になっているのか。きちんとくみ取ってしっかり対応していくことが、患者さんの安心につながると思います。何か不安のある時はどうぞ気軽にお訪ねください。
自由診療費用の目安
自由診療とは内視鏡検査/胃:1万8000円~、大腸:3万円~