全国のドクター9,320人の想いを取材
クリニック・病院 161,129件の情報を掲載(2020年10月30日現在)

  1. TOP
  2. 神奈川県
  3. 横浜市青葉区
  4. 田奈駅
  5. 横浜まちだクリニック
  6. 渡辺英靖 院長

渡辺英靖 院長の独自取材記事

横浜まちだクリニック

(横浜市青葉区/田奈駅)

最終更新日:2019/08/28

21721 df 1 main 1341303512

24時間365日体制で、患者の自宅や介護施設へ医師が定期的に訪問し療養生活を支援する在宅療養支援診療所「横浜まちだクリニック」。長年、昭和大学藤が丘病院リハビリテーション科などに勤務しながら、「病気ではなく患者さん本人を診たい」という思いから、非常勤スタッフとして在宅医療に携わってきた渡辺英靖院長。インタビュー中、明るく冗談を言いながらも、医療の話になるとハートでぶつかる、そんな姿勢を見せる。在宅医療の患者は寝たきりの高齢者などが多く、家にこもりがちになるなど人と接する機会が少なくなりがちななかで、こんなふうに明るい笑顔で接されたら、さぞかし患者はうれしいだろうな、そんな雰囲気があふれ出ている。リハビリテーション科専門医としての特色を生かしながら総合内科医的な立ち位置で患者に寄り添う渡辺先生の秘密をのぞいてみよう。
(取材日2012年5月28日)

医師たるもの、「専門は?」と聞かれたら「人間です!」と答えられるような存在であるべき

一般的にはまだまだなじみのない在宅医療ですが、どんな患者さんが多いですか?

21721 df 1 1 1340161440

基本的には、ひとりでは外来通院できない方や介護施設などに入居されている方、認知症の方など、要介護者が対象となります。やはりご高齢の方が中心ですね。もともと僕は、同じ青葉区内にある昭和大学藤が丘病院のリハビリテーション科に長年勤務していて、この辺りを地盤としているというのもあって、昭和大学時代に診ていた患者さんが連絡をくれることも多いです。「うち来て、うち来て」って(笑)。やっぱりうれしいですよね。基本的には、青葉区を中心に、緑区、都筑区、麻生区、町田市の一部を訪問対象エリアとしていますが、昔からの患者さんから頼まれると、多少遠くても行ってあげたい。そんなふうに言っているうちに、どんどんエリアが広がっています。大和のあたりの患者さんもいますし。そのうち「横浜まちだ」クリニックじゃおさまらなくなるかもしれませんね(笑)。

先生が医師になられたきっかけ、在宅医療を専門にしたクリニックを開業された経緯を教えてください。

医師をめざしたのは、祖父の勧めなんです。祖父は医師ではないんですけど、祖父の時代は「お医者さんは神さま」と考えられていて、「立派な仕事だからぜひやりなさい」って言われたのがきっかけです。おじいちゃん子だったこともあって、昔からお年寄りは好きでした。在宅医療を必要とする患者さんは、ご高齢の方が多いですから、接していてやりがいを感じます。在宅医療にめざめた理由としては、昭和大学時代の恩師から学んだことが大きいです。「専門が何か聞かれた時に、『心臓です』とか『消化器です』とか答えるのではなく、『人間です』って答えられるような医師になりなさい」という考え方。すばらしいですよね。まさにその考えが、僕にとって‘在宅医療のあり方’につながってると思うんです。医師として病気を治す、そのために高い技術を提供することはもちろん大事だけど、それ以上に大事なのはその人そのものを診るということ。ただ薬を出すとか「タバコ吸っちゃダメ」「お酒も控えて」と押しつけるのではなく、「これくらいならいいよ」と、ちゃんとその人をみた上でその人に合わせて診療したい。その考えは、在宅医療でこそ生きてくると思うんです。ご自宅を訪問することで、患者さんのこと、ご家族のこと、生活の背景が全部見えてきますから、丸ごと面倒を見るよ、そんな気持ちですね。

在宅医療のメリットとは何だとお考えですか?

21721 df 1 2 1340161440

在宅医療は「入院」「外来」に次ぐ「第3の医療」といわれ、ご自宅や施設での療養生活をサポートするもの。患者さんのもとを医師が定期的に訪問し、診察や検査、薬の処方、予防的な指導などを行います。困った時はいつでも医師がかけつけられるように緊急用電話を持ち歩いていますので、患者さんには、24時間365日医師とつながっているという安心感を持っていただけることが大きなメリットだと思います。僕はよく在宅医療のことをこんな言葉で表現します。「生活が見える在宅医療こそ最高の診療室」と。ご自宅にいると不思議な力が働いて、病気もよくなるんですよ。例えば、入院中は床ずれがひどかった人も、在宅医療にしたらよくなったりとか、食欲が全然なかった方が食べられるようになったりとか。入院中、病院である程度ここまでよくなったらってゴールを決めて、そこまでよくなったらご自宅に帰る。で、家に帰るとその不思議な力で、さらによくなっていく。僕は在宅医療に携わる医師として、そういうのを何度も何度も体験してきました。患者さんのそんな姿を見ると本当にうれしいです。

リハビリテーション専門医だからこそ、在宅医療で生かせることは多い

「自分にしかできない診療はこれ!」というような渡辺先生の診療の特色を教えてください。

21721 df 1 3 1340161440

リハビリテーションを専門にしていましたから、その特色を生かした診療をしています。例えば、ストレッチ指導や嚥下(飲み込み)訓練のサポート。歩行をサポートする装具、例えば義足なんかも患者さんのご自宅で作れますし、手足に麻痺がある人には筋肉の緊張を緩和するためにボトックスを注入するなど、リハビリテーション科だからこそできる治療を取り入れていますね。あとは、家屋評価でしょうか。リハビリ科の医師って、入院している患者さんが退院することになったら、退院前に一度ご自宅を見に行くんですよ。それで、「ここに手すりつけたほうがいい」「ここには椅子をおいたほうがいい」と、環境設定や改修が必要な箇所を確認して指導するんです。でも在宅医療の場合は、毎回ご自宅を訪問するわけですから、気がついた点があれば訪問の度に指導ができますよね。それは患者さんにとってもすごく大きいことだと感じます。

患者さんと接する時には、どのような工夫をされていますか?

今160人ほどの患者さんを診ていますが、僕にとっては160分の1であっても、患者さんにとっては僕しかいないので、本当に心待ちにしてくれているんですよね。僕もその気持ちに応えたいですから、患者さんのことは自分の家族だと思って接するようにしています。特に在宅医療の患者さんは、外との関わりがどうしても不足してしまいますから、ちょっとしたことでもすごく喜んでくれるんです。例えば「髪切ったね」とか「ちょっと太った?」なんて言いながらおなかをさするだけでも笑顔を見せてくれます。その人にとっては月に2回しかない待ちに待った訪問だということを意識して、コミュニケーションをとるよう心がけています。

在宅医療はご家族との関わり方もとても重要だと思いますが、ご家族とのやりとりにはどんなことを心がけていらっしゃいますか?

21721 df 1 4 1340161440

在宅医療はどうしても「お看取り(おみとり)」が多いもの。基本的には患者さんの意思を優先しますが、ご高齢の患者さんの場合は、ご本人には病気に関してはやんわり伝え、ご家族としっかりと話をするというケースが多いんです。ですから、患者さんはもちろん、ご家族とのコミュニケーションは非常に大切。在宅で最期まで診るのか、もしもの時は救急搬送はするか、点滴はするか、どうすることが患者さんにとってもご家族にとっても一番幸せなのかをよく話し合う。その上で診るよう心がけていますね。また、末期の患者さんと接するなかでは、一番いい状態でお見送りしてさしあげられるような環境を作ることも僕たちの役目だと思っています。「もうあと一週間ぐらいの時間なので親戚連れてきてあげて」とか「外に連れていってあげて」と、ご家族と一緒にいる時間を作ってあげるんです。そういう意味ではライフプランナー的なところがあるかもしれませんね。

チーム医療を徹底し、24時間365日いつでもつながる安心感へ

今年4月(2012年)に診療報酬改定により、在宅医療のシステムが変わったんですよね。

21721 df 1 5 1340161440

そうなんです。「機能強化型在宅療養支援診療所」が新設されました。これは簡単に言うと、他の医療機関とチームを組んで診療にあたることを推奨するもので、当院も機能強化型診療所として、他の診療所との連携のもとで在宅医療を提供しています。都筑区にある「港北ニュータウン診療所」と連携し、お互いのクリニックの患者さんをフォローし合いながら、チームで診療。そこの神山院長は、昭和大学時代の医局の一期上の先輩で、長年同じ志で医療に携わってきた仲。お互いの思いがよくわかっている相手とチームでやるってことにメリットは大きいですね。僕の患者さんに、港北ニュータウン診療所の神山先生の緊急連絡先をお教えし、神山先生の患者さんに僕の連絡先をお教えする。緊急時に僕の携帯電話に患者さんから連絡があった時に、もし僕が他の患者さんを診療中でつながらなかった場合、神山先生のところに連絡がいって対応してもらうんです。そういう姿勢が患者さんにとっては、24時間365日いつでも医師とつながっているという安心感になりますよね。

24時間365日体制でいるとなかなかお休みがとれないとは思いますが、休日はどんな過ごし方をされていますか?

いつでも対応できるように緊急コールを携帯しながら、ほぼ100%家族と過ごしていますね。妻と5歳の娘と2歳の息子の4人家族です。昨日は家族でザリガニ釣りに行ってきました。かなり大漁でした(笑)。僕はもともと広島県の大崎上島という島の出身なので、自然の中で遊びながら育ってきたんですね。なので、カエルとかザリガニ、カブトムシ、そういったものがとり放題でした。子どもにもそういう体験をたくさんさせたい。そういうつもりで昨日も行ったんですが、結局自分のほうが熱中しちゃいましたけど(笑)。24時間365日体制で診療していると、どうしても子どもには寂しい思いをさせてしまうこともあります。今から遊園地いくぞ、と車を発進させようと思った瞬間に緊急コールが鳴ったり。でも最近は上の子がだいぶ僕の仕事のことも理解できるようになったみたいで、「パパ、お仕事なの?」とか「今日は呼ばれないの?」とか言われたりしますね。仕事としてはヘビーではありますけどやりがいは大きいですから、家族との時間も大切にしながら診療に励みたいですね。

熱い思いをたくさん聞かせていただきましたが、最後にメッセージをお願いします!

21721 df 1 6 1340161440

在宅医療って頻繁にメディアで取り上げられるようにはなったけど、まだまだ浸透していない。患者さんと話をしていても「もっと早く利用すればよかった」という声が多いんです。在宅医療にはいい面がたくさんありますから、まずは相談してほしいですね。当院ではリハビリテーション科専門医の特色を生かしながら、患者さんの体と心をケアする総合内科医的な立場で診療したいと思っています。最近、呼吸器内科と消化器科の専門医を増員し専門性の高い医療の提供にも力を入れていますので、どんなことでも気軽に相談できるクリニックとして頼ってもらえたらうれしいです。医療費に関しても、クリニックの場所を基点にして半径16キロ圏内であれば、保険適用になります。横浜市の場合だと身体障害者手帳2級以上だと医療費がかからないですし、交通費や出張費はいただきません。そういう意味ではかなりお得というか、少ない負担でこんな治療が受けられるという、ひとつの選択肢にしていただけたらうれしいですね。

Access