本村 廉明 院長の独自取材記事
もとむら内科・内視鏡クリニック
(福岡市南区/博多南駅)
最終更新日:2024/06/14

窓からたくさんの日差しが差し込む、明るく広々とした院内。福岡市南区鶴田にある「もとむら内科・内視鏡クリニック」は、今年5月に開院した。40年以上小児科診療で地域に親しまれてきた医院を母から受け継いだ本村廉明(もとむら・やすあき)先生が、診療科も新たにリニューアル。診療は、胃・大腸内視鏡検査を軸に、消化器内科、一般内科に加え、必要に応じて肝炎ウイルス検査・エックス線検査・腹部エコー検査・心電図検査にも対応可能だ。人間ドックや健康診断も実施している。また、通院困難な患者には訪問診療も実施するなど、多岐にわたる診療で地域の健康をサポート。「地元でもあるこの地域の健康寿命延伸に貢献できるよう努めてまいります」と意気込む本村院長に、これまでの歩みや診療内容について詳しく話を聞いた。
(取材日2024年6月4日)
地域に根差した母の医院を継承し、リニューアル開院
この辺りは、なじみ深い土地だそうですね。

ええ、母がここで小児科を開院していましたので、思い出もたくさんある土地です。母が開院したのは私が中学入学前後だったと思うのですが、それ以前も母は勤務医として仕事をしていましたので、家にあまりいなかった記憶があります。そのぶん、病気でなくても病院に行き、バックヤードでメディカルスタッフを目にする機会がありましたので、医療を身近に感じられる環境ではありました。小さい頃もそうでしたが、今でも母の医院に通われていた患者さんから話を聞くことがあり、母も頑張っていたんだなあと改めて感じています。私も医師の道を選びましたが、実は母から勧められたことは一度もなかったんです。自分の将来を考えた時に自然と残ったのが医師だったので、大学は九州大学の医学部へ進学。卒業後は大学病院の内科に入局しました。
数ある診療科の中から内科を選択された理由は何だったのでしょう。
何らかの症状があって最初に受診する診療科は内科であることが多いので、その症状を見極め診断、治療を行うというプロセスに魅力を感じたのが理由です。広く経験を積ませていただく中、バリウム検査や内視鏡検査といった病気を映し出して、それを診断していく形態学にも興味を持つようになりました。さらに、内視鏡を操る技術を習得したいと強く想うようになり、消化器内科の領域でもキャリアを重ねていきました。臨床経験を積めば積むほど面白さや気づきを得ることが多く、自信にもつながっていったように感じます。
幅広い中でも特に腕を磨かれたのが内視鏡検査だったのですね。

ええ、私が医師になった当初は、まだバリウム検査もまだ主流でしたので、内視鏡の技術を磨きながらバリウム検査も日々行っていました。徐々に内視鏡検査が中心になり、機器も時代とともに進化。気がついたら30年たっていました。大学病院や総合病院では、重篤な疾患が見つかることも少なくなかったため、そうなる前にと小さな病変も見逃さないことと、でき得るすべてを講じることに力を注いでいました。その間に日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医、日本消化器病学会消化器病専門医などの資格も取得し、疾患の早期発見に努める日々を過ごしていました。2016年以降は関東を中心に数々の施設で修練していたのですが、そんなある日、母が引退をすることが決まりました。いろいろ考えましたが、自分自身まだまだ地元に還元できていないと感じ、継承することを決意しました。
内視鏡検査を軸に人間ドックや各種検査も実施
そして今年5月、小児科から内科・内視鏡診療に注力する医院へリニューアルし、開院されました。

診療科は違うものの、お孫さんが母に診てもらっていたと言われる方や、子どもの頃に来られていた患者さんが大人になり、内視鏡検査を受けられたりと、母から受け取ったつながりを強く感じます。まだ開院して間もないのですが、地域に根差した医院だったんだなと実感する瞬間がたくさんあるんですよね。母が地域の方たちとのふれあいを大事にしてきた証拠でもあると思うのですが、患者層もお子さんから高齢の方まで、本当に幅広いです。そんな母が築いてきた患者さんとの関係性も大事にしながら、診療を行っていけたらと思っています。
内科、消化器内科でも異なると思いますが、どのような主訴で来院される方が多いですか?
一般内科は、風邪症状をはじめ、高血圧や糖尿病などの生活習慣病や呼吸器症状で来院される方が多いですね。当院では血液検査、尿検査、便検査、肝炎ウイルス検査、エックス線検査、腹部エコー検査、心電図検査といった各種検査も実施。腹部の症状や血液検査で肝臓の数値が悪かったり、膵臓がんが疑われるような時などにエコー検査が活躍します。一方、消化器内科に関しては、腹痛・胃痛、便通の異常、胸焼けなどの症状を訴えて来られる方が多いですね。まず診察をして、必要に応じて内視鏡検査を実施いたします。大腸検査の前処置で使用する部屋はトイレつきの個室で、リラックスできるような雰囲気を念頭に置いて設計しました。内視鏡検査で使用する機器は、AIシステムを搭載した先進機器を使用。より正確性を追求した検査を受けていただける環境が整っています。
人間ドックや健康診断も行われているそうですね。

福岡市の特定健診、胃がん検診、大腸がん検診、雇用時の健康診断、人間ドックなど幅広く行っています。会社で受けた健康診断で数値が悪かったなど、何かしらの異常が見られた方が、数値結果を持っておみえになることも。再検査の通知が来たら、そのままにせず、速やかに医療機関を受診してください。また、通院が困難になった患者さんには訪問診療を実施します。ただ、医師は私一人ですので、現在は当院がかかりつけの患者さんに限定させていただいておりますが、この辺りも高齢化が加速していますので、今後もよりニーズが高まることが予想されます。状況に合わせて対応できる体制を整えていきたいと考えています。
胃・大腸がんの早期発見に努め地域の健康寿命に貢献を
すべての診療において心がけていることはありますか?

患者さんの話をよく聞くこと。これに尽きますね。患者さんの目を見て、どんなことに困っているのか、どんなことにご不安を感じているのか、しっかりと耳を傾ける寄り添った診療を大切にしています。また、これまで数多くの患者さんと向き合い、さまざまな疾患も目にしてきましたので、見逃しがちな軽い異常に対する嗅覚を鍛えてきました。当院の大きな役割は、日頃の困り事の改善だけでなく、内視鏡検査を軸に胃がんや大腸がんなどの早期発見に努め、地域の健康寿命延伸につなげることだと思っています。胃や大腸のがんは早期発見・早期治療ができれば治癒が見込める病気ですし、最大の予防は定期的に検査を受けることだと思います。がんが見つかったとしても早期であれば、悲観せずに済む時代になりましたからね。
休診日の金曜は、毎週千葉まで行かれていると伺いました。
開院前に約8年間勤務していた東京ベイ浦安市川医療センターに毎週金曜に行き、内視鏡検査や手術をしています。内視鏡の中でも難易度の高いERCPやEUSという胆のう・膵臓の内視鏡検査の中でも、特に難症例を対応することが多いですが、上部内視鏡検査(胃カメラ)と下部内視鏡検査 (大腸カメラ)や超音波内視鏡検査にも対応しています。定期的に検査に来ていただき、「検査が楽だったので、今年もお願いしたいです」と言っていただけるように努めています。私の今までの経験則や身につけたスキルを一緒に働く先生方にお伝えすることによって、今後東京ベイ浦安市川医療センターをけん引していく先生方の力になれたらと思います。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

私の専門領域ではない分野も、地域の方々が気軽に相談できる医院でありたいなと思います。対応できない症状に関しては、専門の機関におつなぎすることもできますので、どの診療科にかかるべきか迷うような時は、ぜひご相談いただけたらと思います。それが町の医院の役割でもあると思うんですよね。そんな、地域の皆さんに安心いただけるかかりつけ医をめざしています。母が大切にしてきた理念を引き継いで、地域になくてはならない医院として、スタッフ一同より一層邁進する所存です。お子さんから高齢の方まで、何か気になることがあれば、お気軽にご相談にいらしてください。
自由診療費用の目安
自由診療とは胃内視鏡検査:1万6500円~
大腸内視鏡検査:2万7500円~
※胃カメラと大腸カメラを同日に行う場合:3万9600円~
人間ドック/1万3200円
※詳細は医院ホームページよりご確認ください。