岩佐 真弓 院長の独自取材記事
みちくさ眼科中村橋
(練馬区/中村橋駅)
最終更新日:2024/07/11
中村橋駅より徒歩約1分のメディカルモールの2階に2024年5月に開院したのが、「みちくさ眼科中村橋」だ。木目を生かした居心地の良さを感じさせる待合室が印象的な同院。岩佐真弓院長は、眼科の医師の中でもそう多くない神経眼科が専門。同院でも、白内障や緑内障、結膜炎、視力の問題など眼科一般を幅広く診療する中で、眼瞼けいれんや複視、斜視、甲状腺眼症など神経が関係する目の病気に対し、専門性の高い診療を提供している。「患者さんに笑顔で帰ってもらうことを大切にしています」とすてきな笑顔で話す岩佐院長に、同院のことや診療の取り組み方などについて、詳しく話を聞いた。
(取材日2024年6月29日)
神経眼科を専門に目の病気や症状に幅広く対応する
なぜ開業するにあたってこの場所を選んだのですか?
私は神経眼科が専門ですので、MRIがすぐに撮れたほうがうれしいんですね。それで、徒歩圏内に画像診断専門のクリニックがあって、依頼をしたらすぐに検査をしてくれて、患者さんが戻って来られるような場所を探していたんです。そうなるとターミナル駅の周辺になってしまうのですが、そういう場所で開業するのはちょっと想像がつかなくて。それで、ここなら隣の富士見台駅との間に画像診断のクリニックもあったので、開業する場所に選んだんです。院内は、医療機関ではないような雰囲気を心がけています。例えば、診察室にはレーザー治療器がありますが、患者さんは見慣れてなくて圧迫感があるかもしれませんので、その上のほうに目が行くように絵を飾っています。また、待合室には季節の飾り物を置くなど、患者さんが安心できる空間を心がけております。この場所は人や街がすごく温かいなと感じています。
神経眼科について、詳しく教えてもらえますか?
「神経眼科って何?」という人もおそらく多いと思います。ざっくり言うと眼球だけではなく、その周りの組織や脳とのつながりなども診ていく分野です。多い病気としては、眼瞼けいれんや物が二重に見えてしまう複視、斜視。バセドウ病の方に多い甲状腺眼症も目に特徴的な症状が現れますが、そういったものを専門にしています。ただ、神経眼科の診療しかしてないのかというと、そんなことはまったくありません。白内障や緑内障、結膜炎、視力の問題、糖尿病網膜症、黄斑変性、眼鏡やコンタクトレンズの処方などまで、一般的な眼科で取り扱う病気や症状を幅広く診療しています。
どのようなときに、神経眼科の専門的な診療を受けたほうが良いのでしょうか?
例えば、眼瞼けいれんは目が開けられなくなっていれば一目瞭然ですが、軽症例は見分けづらくて、ドライアイの治療だけされていることも少なくないんです。私は、その診断や治療の第一選択であるボツリヌス毒素製剤の注射も多くの経験がありますので、より適切に治療することがめざせます。また、バセドウ病で目の調子が悪いときに、甲状腺の影響を受けているかどうかの判断も可能です。ほかに、斜視や複視なども、例えばプリズム眼鏡を使うのか、それとも手術をしたほうが良いのかなどの相談もできます。斜視へのボツリヌス毒素製剤の注射も、当院では対応可能です。これらの病気でお悩みの方にも、ぜひ受診してほしいですね。
患者には笑顔で帰ってもらうことを心がける
ほかに特徴はありますか?
専門のスタッフが常駐して、院内で眼鏡やコンタクトレンズが作れるようにしています。わざわざ別のところまで行く必要がありませんので、患者さんには非常に便利だと思います。お気に入りの眼鏡屋さんがあるという方は、そちらに処方箋を持っていってもらっても、もちろん大丈夫です。また、選択的レーザー線維柱帯形成術による緑内障治療やYAGレーザーでの後発白内障の治療、ドライアイの涙点プラグなどにも対応しています。
診療の際に心がけていることを教えてください。
まず、一人ひとりの患者さんに笑顔で帰ってほしいというのがあります。ですから、目の前にいる患者さんが、安心しているのかや不安を感じているのかなど、良い空気も悪い空気も積極的に受け取るように心がけています。また、幅広い年齢の患者さんに対応しようと思っていますので、それぞれに合わせた対応です。例えば、お子さんの患者さんの場合は、診察室に入ると怖くて泣いてしまう子もいます。ただ、眼科は泣いてしまうと診察が難しいので、なるべくお子さんがニコニコしているうちに診察を行うようにします。
話は変わりますが、コーチングにも取り組んでいるそうですね。
コーチングのコーチは馬車を意味していて、その馬車でその人がなりたい姿まで一緒に伴走して連れて行ってくれるのがコーチングです。私はそれだけではなく、伴走するには他人とのコミュニケーションが大切で、そのためには自分とコミュニケーションができないといけない。人間は、自分と1日に3万回も喋っているといわれるくらい他人よりも自分と話す回数が多いんです。つまり、自分との会話がうまくできないと他人との関わりが不安定になります。患者さんや職員とのコミュニケーションでもそうですが、人と関わる上ではさまざまなことがあって、いろいろな感情を持ちます。その時に、自分の中でどう対処するのか。我慢だけすれば良いわけではないですし、自分の駄目なところも受け入れていく。そういうことを積み重ねていくことが大切なんだって学びました。コーチングは、職員研修でも取り入れています。
「道草」をするように受診してほしい
クリニックの名前には、どのような想いが込められているのですか?
「道草」の意味は、決められていたルートをちょっと外れて寄り道をすることです。病気や体調の不良は、人生においては回り道かもしれませんが、それによって何かを得た経験がある人も少なくないと思います。そういうことも含めて、当院には本当に道草をするように、気軽に受診してほしいという意味が込められています。実は、もう一つ意味があるのですが、それは当院の待合室に説明したシートが置いてありますので、来院したときにご覧いただけたらうれしいですね。
どのようにリフレッシュしていますか?
犬を飼っているので、一緒に散歩するのが趣味なんですけど、そのつながりでできた友人の店が近くにあるんです。そこでみんなとのんびり喋ったり、お茶をしたりするのがリフレッシュになっています。違う世界の人とつながるのってすごく必要だと思います。医療関係だけだとあまりにも狭すぎますし、コーチングを始めたきっかけの一つは、違う世界の人とつながりたかったからなんです。開業の時にいろいろな方からお花を頂いたので、スタッフが驚いていましたね(笑)。
最後に今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
コーチングの話に戻りますが、ストレングスファインダーというその人の強みみたいなのがあるんです。それによると私は、未来や過去を見ることがあまり得意ではなくて、現在を見て動く人らしいんです。将来に向けてエネルギーを費やす人ではなくて、今あるものを自然と見ている人なんですね。ですから、3年後にはこうなりたいというのではなく、今日来てくれた人が笑顔で帰ってくれたら、それでいいんです。それがきっと、未来につながるんじゃないですかね。そして、身近で神経眼科の診察が受けられるところは少ないと思いますので、バセドウ病や視神経の病気をしたことがある人、視神経に影響のある薬を飲んでいる人の検診などの細かいニーズにも応えたいと思っています。よくある目の病気や悩みも、本当にスーパーの袋を持ったままでも気軽に受診してください。