餘家 浩樹 院長の独自取材記事
いのくち内科・呼吸器クリニック
(広島市西区/修大協創中高前駅)
最終更新日:2024/06/21

広電2号線(宮島線)修大協創中高前駅より徒歩3分のクリニックビルに、2024年4月に開業した「いのくち内科・呼吸器クリニック」。かかりつけとして内科一般に対応しつつ、呼吸器疾患の専門的な診療、生活習慣病の管理、健康診断、予防接種なども幅広く対応している。院長を務めるのは、大規模な総合病院で呼吸器内科の診療に携わってきた餘家浩樹(よけ・ひろき)先生。院内にはエックス線だけでなくCTを備え、検査から治療までワンストップで提供できるよう体制を整えている点が特徴。数々の臨床の現場で培ってきたノウハウを生かしつつ、地域に暮らす人々の健康を支えていく。同院の特徴や診療への思いについて聞いた。
(取材日2024年5月14日)
先進の設備によりワンストップで検査から治療まで
こちらに開院されたきっかけをお聞かせください。

私は愛媛県出身ですが、大学で広島県に出てきました。広島大学を卒業後も、JA広島総合病院やJR広島病院で働いてきました。現在の住まいも西区なので、この辺りは生活圏で、家族で遊びに来るなど、なじみのあるエリアでした。開業することはずっと考えていて、40歳の節目のタイミングで決断。この場所は、系列のクリニックモールで開業した先輩から紹介してもらいました。当院が入ったこちらのクリニックビルは、歯科・心療内科・泌尿器科・薬局が入っていて、できて3年ほどと、まだ新しいです。学校や大型スーパー、銀行や郵便局、フィットネスクラブなど便利な施設が多数そろう、西区の中でも活気あるエリアですよね。周辺には新しいマンションや住宅も建設されています。この地域で暮らす方々が、ご家族皆さんで気軽に通えるかかりつけ医になりたいですね。
内装などのこだわりについて教えてください。
来院された患者さんにとって居心地が良い環境を考えて作りました。無機質で緊張する空間より、リラックスしていただきたいと思ったので、受付やカウンター、診察室内にも木目を多く使用しています。患者さんにお座りいただく椅子は、色合いだけでなく、座り心地の良さを考えて選びました。待合室には窓際に沿ったカウンター席を用意。携帯電話の充電ができ、無線LANも完備したので、まるでカフェにいるかのように、思い思いの時間を過ごしていただけますよ。あとは、予約システムの導入により待ち時間を減らせるようにしました。スマホから予約、問診の回答ができるアプリを導入し、初診からご利用いただけます。このシステムはカルテとも連動しているため、診察もスムーズに進むことが特徴です。
設備・医療機器も充実していると伺いました。

肺炎・肺がん・肺気腫など肺疾患診断のためのエックス線装置を備えることはもちろんですが、CTも完備していることが当院の特徴です。街のクリニックでは、肺疾患診断において、エックス線を活用し、それだけでは診断できない場合は、大学病院などを紹介し、CTによる精密検査を受けてきていただく流れが多いと思います。しかし、具合の悪い患者さんにとって、大学病院とかかりつけ医を行ったり来たりすることは負担ですよね。そこで、大きな病院まで出向かなくても、かかりつけ医で検査から治療まで完結できるようにと、ワンストップで受診できる体制にこだわりました。その他、腹部臓器の診断に使用する超音波診断装置、全自動血球計数器、肺機能検査装置、臨床化学分析装置など、先進の設備を整えているので安心して受診していただけますよ。
呼吸器疾患を中心に内科全般も診療
どのような疾患に対応していますか?

呼吸器疾患は何でも対応できます。例えば、喘息や肺炎、睡眠時無呼吸症候群の専門的な治療を提供しています。「咳がなかなか治らない」「少し動いただけで息が切れる」といった症状があれば、一度受診いただきたいですね。エックス線などで肺の状態を確認し、肺活量を測定することで、病気の発見だけでなく肺年齢などもわかります。喘息や肺気腫などは、早期に治療を開始することが重要です。放置していると、将来、酸素ボンベを使用しないといけない肺になってしまうこともあるため、早ければ早いほど安心ですね。もちろん、検査の結果、肺が原因でないこともありますが、その際は適切な医療機関での治療のきっかけにしていただくこともできます。また、かかりつけ医として高血圧症・糖尿病・高脂血症といった生活習慣病の管理、健康診断、予防接種なども気軽に相談していただけるクリニックをめざしています。
これまで数多くの患者さんを診てこられた院長ですが、診療で心がけていることはありますか?
患者さんに満足してもらえるように、ニーズを引き出すことを心がけています。一人ひとりの患者さんが求めていることは違うと思います。例えば、しっかり時間をかけて話を聞いてほしい患者さん、時間がなくてスピーディーな対応を求めている患者さん、多くの検査を受けることで安心したい患者さん……などですね。患者さんが何を求めているのか、会話の中からくみ取れるように、常に考えながら診療にあたっています。
患者さんとのエピソードで印象に残っていることはありますか?

医師になりたての頃に、たくさんの入院患者さんを回診している中、一人の患者さんに言われたセリフは印象に残っています。「おなかが痛い」とおっしゃる患者さんがいて、話の内容から、患者さんの体に起こっていることを判断して「こういう状態ですよ」とお話をしました。すると、「触らずに耳だけで診断できるの?」と不安そうにおっしゃられて。患者さんとしては、痛いところを直接見て、触診することが、安心につながったんだろうなと。自分としては、話を聞いて瞬時に判断できるように成長してきたと思っていましたが、患者さんにとっては安心感が得られにくい対応だったのかな……と。大切なことに気づかされる出来事でした。それ以来、病気で悩む患者さんの気持ちがどうしたら和らぐかを考えるようになり、相手の気持ちに寄り添いながら接していく、今の診療スタイルの根源になっていますね。
一人ひとりの患者のニーズに寄り添うクリニックに
医師をめざしたきっかけは何ですか?

私の場合は親や親戚が医師家系で、といったことは一切ありませんでした。高校時代、将来の進路を考える中で、「仕事は一生ものだから、社会に貢献できるやりがいのある仕事がしたい」と考えていて。理科系の科目の勉強も好きだったので、高校1年生の時に「医師になろう」と決意しました。医師は人と接することが多い点も魅力だと思っていましたね。愛媛県の地元の公立高校に通っていて、有名な進学塾などは私の住むエリアにはなかったので、学校の勉強をしっかり頑張って受験に挑み、広島大学の医学部へ進学しました。呼吸器内科の道に進んだのは、元々決めていたわけではなく、幅広い診療科を経験する中で、自分に合うと感じたからですね。
お忙しい毎日だと思いますが、休日はどのように過ごしていますか?
小学生と中学生の子どもがいるので、子どもと過ごす時間が1番楽しいですね。家族で食事や映画に出かけることが多いです。あとは、子どもをゲームセンターへ連れていったり、書店で面白そうな本を探したりして過ごしています。当院の周辺も新しい住宅が増え、ファミリー層が増えていますが、私も地域の皆さんと同じように休日を過ごしていますよ。まだ開院したばかりですが、患者さんも働き盛りの年代の方が多い印象です。当院は家族みんなで気軽に通える親しみやすいクリニックをめざしています。
最後に読者へのメッセージをお願いいたします。

呼吸器疾患は、風邪のような感染症から肺がんまで、さまざまな病気があります。勤務医時代は、主治医として命に関わる病気の患者さんも多く担当してきました。そうした経験を生かして頼れるかかりつけ医になりたいですね。軽い症状でもぜひ早めに受診いただきたいです。「咳が出る」と来院して喘息だったという場合も考えられますし、花粉症など季節性アレルギー性鼻炎も、早めに治療を開始すればそのシーズンを楽に乗り越えられるかもしれません。何か困ったことがあったら気軽に相談できる、地域の皆さんにとって頼れるかかりつけ医としてサポートさせていただければと思います。