歯科治療が苦手でも、障害者でも
全身麻酔で虫歯治療が可能に
あさがおこども歯科クリニック
(尾張旭市/三郷駅)
最終更新日:2024/11/01


- 保険診療
歯科治療が苦手な子どもや障害のある子どもを持つ保護者にとって、一般の歯科医院への受診は気苦労も多い。診療台で押さえつけられながら治療を受けるわが子を見守るのも、心が痛む。そんな親子の助けとなるのが、全身麻酔特化型の歯科医院「あさがおこども歯科クリニック」だ。日本専門医機構麻酔科専門医の安田吉孝先生と日本歯科麻酔学会歯科麻酔専門医の宮本泰周先生の2人が、徹底した管理体制のもと、全身麻酔を用いた歯科治療を行っている。5歳から18歳を対象に、障害児や他院からの紹介患者の診療をしている同院の宮本先生と安田先生は、「設備も整っていますから、口の中を見せることも難しいお子さんや虫歯が相当進行してしまったお子さんも問題ありません」と自信を持って話す。全身麻酔を用いた虫歯治療について詳しく聞いた。
(取材日2024年9月27日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q全身麻酔で歯科治療を受けるのは、どういった人が対象ですか?
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A
【安田先生】歯科医院が苦手なお子さんや、障害があり一般の歯科医院で治療が受けられないお子さんが対象です。当院では体重15キロ以上の4、5歳から18歳までを対象としています。虫歯が進行している場合、緊急処置が必要ですが、無理に治療をするとトラウマになってしまうことも。そうなると治療に協力してもらうことが難しくなり、虫歯がどんどん進んで手がつけられない状態になってしまいます。口を開けることすら無理なお子さんでも、眠っている間に検査や治療を進められることが見込めるのが全身麻酔下で行うメリットです。眠っている間に治療できれば痛みや治療時の記憶もほぼ残らないので、歯科に苦手意識を持つこともないでしょう。
- Q治療で使用する麻酔の種類や副作用について教えてください。
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A
【安田先生】ほとんどは吸入麻酔を使いますが、治療室にも入れないお子さんの場合は、待合室で前投薬を投与して落ち着いてから全身麻酔を行います。初回治療が終わってから、何か不快なことはなかったかを確認して次回の治療時に生かしています。例えば、吸入麻酔のにおいが苦手だったという場合には、口からではなく静脈麻酔というかたちに切り替えて対応できます。副作用については、一時的な喉の痛みや声のかすれ、吐き気などがありますが、徐々に薄れていきます。
- Q虫歯治療以外に全身麻酔を使ってどんな治療を行っていますか?
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A
【宮本先生】歯のクリーニングや過剰歯の抜歯、親知らずの抜歯などです。過剰歯というのは、約30人に1人の割合で持っている通常より多く生えている歯。永久歯の萌出障害の原因になるため抜歯が推奨されています。過剰歯の抜歯は、入院設備のある歯科口腔外科で行うことが多いのですが、処置自体は15分から30分くらいで終わるものなので、全身麻酔が行える体制が整っていれば日帰りでも可能です。親知らずが4本ある場合は、片側の上下2本ずつ2回に分けて抜歯します。全身麻酔を用いることで、予防から虫歯治療まで、スムーズに完結させることが期待できます。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1初診で問診票に記入し、説明を聞く
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持病やアレルギー、既往歴、家族歴など問診票に記入した内容をもとに、カウンセリングを行う。麻酔をしなくても口の中の検査ができる場合は、通院の目安を伝えられる。麻酔による合併症や治療の流れについての説明を受け、同意書にサインをする。
- 2全身麻酔を開始
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2回目の受診。約6時間前からは絶食し、水や茶などの水分は約2時間前から絶飲する。顔に当てたマスクから麻酔薬を吸入して全身麻酔を始めるが、眠るまでは保護者も立ち会うことが可能。眠った状態になったら治療が開始される。覚めるまではほぼ記憶もないので、恐怖心も残りにくいという。
- 3歯科治療を受ける
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点滴や、やわらかくて細い管を喉に入れる挿管をした後、口腔内をクリーニングしてから、虫歯治療を開始。治療中も日本専門医機構認定麻酔科専門医と日本歯科麻酔学会歯科麻酔専門医が血圧や体温のモニターを見ながら麻酔薬のコントロールをし、安定した状態の維持を図る。治療は45分から1時間くらいで終了。
- 4リカバリー室で休む
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歯科治療終了後、麻酔の投与を中止し、麻酔が少し覚めるまで15分待って、ストレッチャーでリカバリー室に移動。麻酔が覚めるまで保護者付き添いのもと、30分ほど畳ベッドで寝て休む。リカバリー室にも酸素吸入設備が整っており、酸素レベルが低下していれば酸素吸入も可能だ。自分でベッドから下りて歩いて帰れるまでに回復してから帰宅。
- 5定期的なメンテナンス
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あさがおこども歯科クリニックでの歯科治療が完了しても、虫歯予防としてクリーニングを定期的に受けることが望ましい。遠方からの患者もいるため、かかりつけ歯科医院や近隣歯科医院での定期検診を推奨している。不快感や恐怖心がなかったことで継続治療ができるようになることも期待できるという。同院での継続した定期検診は保護者の希望を聞いた上で決めていく。