広村 宗範 院長の独自取材記事
ひろむら内科クリニック
(稲城市/矢野口駅)
最終更新日:2024/07/18
矢野口駅から10分ほど歩いたところにあるのが、2024年4月2日に開業した「ひろむら内科クリニック」。1階には広々とした駐車場があり、エレベーターで2階に上がるとそこには吹き抜けで大きな窓からたくさんの太陽光を取り入れた、ホテルのロビーを思わせる空間が広がる。院長を務めるのは、大学病院で長きにわたり糖尿病や内分泌代謝の分野で実績、経験を積んだ広村宗範先生。日本糖尿病学会糖尿病専門医、日本内分泌学会内分泌代謝科専門医としての専門性を生かし、糖尿病、内分泌疾患に特化した診療を行う。これらの疾患の治療で重要なポイントは、患者の治療継続率を上げること。そのため患者とのコミュニケーションを重視しているという広村院長に、同院の診療のこだわりや今後の展望について詳しく聞いた。
(取材日2024年7月2日)
糖尿病、甲状腺疾患に特化したクリニック
開業に至った経緯からお聞きします。
2009年に昭和大学卒業後、主に母校の大学病院において糖尿病および内分泌疾患を専門にさまざまな症例を経験させてもらいました。糖尿病や内分泌疾患の特性上、患者さんには長く治療を継続していただく必要があり、なおかつ、治療では患者さんの心のケアが重要な要素となるため、これらの疾患に特化したクリニックであれば、患者さんが日常的に感じがちな不安に寄り添えるのではないかと考え、2024年4月開業に至りました。昭和大学医学部の同級生が近隣で開業しており、その友人の勧めもあってこの地域で開業することに。私は山や川など多くの自然に囲まれた地域で育ったのですが、ここ稲城市は都心に近いにもかかわらず多摩川をはじめ自然が豊かで、私にとってなじみのある環境なんです。ここで開業できたことをとてもうれしく思っています。
来院患者さんの傾向を教えてください。
今のところ、比較的年齢の高い地域住民の方々が利用してくださっています。大学病院では壮年期の働き世代の患者さんが多かったので、大学病院と地域のかかりつけ医とでは、対応する患者さんの年齢層も異なるのだなと感じていますね。患者さんの主訴は、7~8割程度が糖尿病関連です。残りの2割は内分泌疾患で、その中でも多くを占めるのが甲状腺疾患です。ほかに脂質異常症、高血圧症、肥満症など生活習慣病に関わるご相談も多く寄せられています。
どのようなコンセプトを掲げていらっしゃいますか?
専門的な治療を受診する際、その多くの方が緊張されています。当院では患者さんのお気持ちに寄り添い、リラックスできる環境の中で受診いただくことを第一に考えています。また、高品質な医療提供はもちろんのこと、患者さんの背景やご事情にも配慮することにも力を注いでいます。お一人住まいなのか、ご家族と同居しているのかなど、生活や社会的なご事情を把握するように努めています。例えば、お仕事が多忙な方であれば時間を優先した治療計画を立てるといったように、その患者さんにとって最適な治療法を提案するよう心がけております。
患者の意向、事情を最大限に尊重する診療スタイル
医療設備が充実しているようにお見受けしました。
数あるクリニックの中から当院を選んで来院してくださった患者さんに、高いレベルの医療をお届けしたいという思いがありましたので、医療機器にもこだわりました。患者さんの中には、当日中に検査結果を得られるかどうかを判断基準にしてクリニックを選定している方もいらっしゃいますが、当院で血液検査を行った場合、その日に結果をお伝えすることが可能なので、複数回の来院が難しい患者さんにとってはメリットだと思います。もし、検査結果を待つ時間がない場合は、検査のみを受けて帰宅いただき、後日あらためて来院して結果を報告させていただきます。血液検査のほか、甲状腺疾患の一つであるバセドウ病についても甲状腺ホルモンを測定する免疫測定装置を備えているので、当日に結果をお出しすることができます。
内装にも先生のこだわりを感じます。
開業にあたって私が望んだのは、「患者さんがリラックスした気持ちで過ごせる空間」をつくることでした。クリニックらしからぬ、たくさんの太陽光が降り注ぐ、広々とした院内を設計士さんと相談して造り上げました。明るくゆったりとしたスペースが印象的な待合室だけではなく、問診室3つ、診察室3つを配した院内レイアウトにもこだわりました。当院が専門とする糖尿病や内分泌疾患の治療は、医師だけでは遂行できません。複数種の専門スタッフから構成される、「チーム医療」が求められます。各スタッフが院内で動きやすく、納得できる医療を提供できる環境を用意したいと思っていました。
診療を行う際に心がけていることは何ですか?
患者さんの多くは、不安を抱えた状態で来院していますから、その不安を取り除くことに日々努めております。糖尿病治療のポイントは、自己中断することなく継続していただくことなので、当院では継続率を上げるために、患者さんとのコミュニケーションを何よりも大切にしています。糖尿病治療の一つにインスリン注射法がありますが、一人暮らしや認知症などのご事情がある方には、自己注射が難しいケースもあるため、個々のご事情に合わせて、患者さんの負担を最小限にとどめる治療法を提案させていただいています。これからもさまざまな治療法の選択肢を提示できるよう、先端の治療環境を整え、先進の医療にも常にアンテナを張って積極的に取り入れ提供していく考えです。
目標は、健康寿命に関わる網羅的サポートの提供
先生が注力するチーム医療について、詳しく教えてください。
当院は、私を支えてくれるスタッフがいて初めて成り立ちます。いつも高い意識で業務に携わるスタッフに、心より感謝しています。診察前の問診は、看護師や療養指導に詳しい管理栄養士が対応。医師に言いにくい事項があれば、こうした場を活用いただければと思います。ほかに医療機器を使用する臨床検査技師や受付スタッフ、薬剤師など。フラットな関係性の中で、風通しの良いコミュニケーションがなされるよう配慮しています。また先進的な医療機器がそろう院内では、私からスタッフに向けて専門性の高い医療指導を行うことも。糖尿病療養について専門に勉強している者もおり、さらなる高みをめざすスタッフの姿を見ると誇らしく感じます。患者さんと一緒に治療に取り組む当院では、スタッフ一同「患者さんの改善」を見守らせていただいています。
来院を躊躇される患者さんに伝えたいことはありますか?
健康診断などの結果で血糖値の数値に異常があれば、まず専門の医療機関を受診することをお勧めします。糖尿病と診断が下されることに戸惑いを覚えるため、足が遠のく気持ちはよく理解できます。通院して治療を継続することによって合併症を防ぐこともできますし、一般の方と同じような生活を持続させることも可能です。また動悸、食欲不振、体重減少など身近な不調が、甲状腺疾患の症状である場合があります。何か気になる症状がある場合は、放置せずに検査を受けましょう。
最後に、今後の展望をお願いします。
当院は糖尿病と内分泌疾患の治療に力を入れているクリニックです。検査機器も先進のものをさまざま取りそろえており、骨密度測定装置も導入しているので、今後は骨粗しょう症などにも治療域を拡大していく予定です。糖尿病患者の動脈硬化やがんとの関係性は、すでに注目されるところですが、私がそれに加えて注視しているのは、高齢化による筋力低下が骨折につながること。高齢者の骨折は、生活の質を著しく悪化させるので、骨密度検査を行うことで、骨粗しょう症の予防につなげて骨折リスクの軽減をめざしていく考えです。当院の目標は、健康寿命に関わるサポートを網羅的に行っていくこと。スタッフ一同、その目標に向かってともに成長していければと思っています。