胸焼けや胃もたれ、むせる原因は?
隠れた疾患を内視鏡検査で精査
消化器と診断・治療内視鏡クリニック
(川崎市高津区/溝の口駅)
最終更新日:2024/06/14


- 保険診療
みぞおち辺りに焼けるような痛みを覚える胸焼けや、酸っぱいものが込み上げる呑酸(どんさん)、胃もたれといった消化器症状。たびたび感じていながらも「年を取ったせい」「食べすぎ・飲みすぎによる一時的なもの」などと放置している人も多いのではないだろうか。「胸焼けや呑酸、胃もたれといった症状の原因として、逆流性食道炎などの病気が挙げられます。放置することでがんに移行するリスクもあり、精密な検査で早期に的確な治療へと結びつけることが大切です」と話すのは、川崎市高津区、溝の口駅前の「消化器と診断・治療内視鏡クリニック」で診療する菊池大輔院長。内視鏡診療のエキスパートとして、消化器疾患の検査・治療に力を注いできた菊池院長に、胸焼けや胃もたれのリスクを詳しく解説してもらった。
(取材日2024年5月22日)
目次
身近な胸焼けや胃もたれの陰に、逆流性食道炎などの病気が隠れていることも
- Q胃が不調の場合、どのような症状がありますか?
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A
▲溝の口駅から徒歩1分の場所にある
みぞおち辺りに焼けるような痛みや、呑酸といって酸っぱいものが込み上げる感覚がある、さらに下の部分で胃もたれや胃痛があるなどのご相談は多くあります。こうした症状の原因の一つに、近年患者数が大幅に増加している逆流性食道炎が挙げられます。逆流性食道炎の症状はとても多様であることが特徴で、胸焼けや胃もたれといった胃腸症状の他に、喉の違和感や飲み込みづらさ、咳き込みなどの喘息のような症状、虫歯などが現れることもあります。思いがけない症状の裏に、逆流性食道炎などの疾患が隠れていることもあるのです。食べすぎや飲みすぎなどで日常的に現れる身近な症状も多いですが、長く症状が続くようであれば受診をお勧めします。
- Q胸焼けなどを引き起こしている原因は何なのでしょうか?
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A
▲先進の機器をそろえた内視鏡検査室
先にも挙げた逆流性食道炎が原因の一つとして考えられます。胃酸を主とする胃の内容物が逆流し、食道に炎症を引き起こす病気です。近年、急激に罹患者数が増えており、その背景として食生活の欧米化やストレスなどが指摘されています。また、食道裂肛ヘルニアにより逆流性食道炎を併発するケースや、ピロリ菌の除菌により低下していた胃酸の分泌が正常に戻ることが見込めるため、一時的に食道の炎症を引き起こす可能性もあります。
- Q内視鏡検査は受けたほうがよいのでしょうか?
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A
▲透視室も完備している
症状が長く続くのであれば、一度内視鏡検査を受けて食道内の粘膜に炎症がないかどうかを確認することをお勧めします。ただし、検査でわかった炎症の状態と症状は、必ずしも相関しない場合があることにも注意が必要です。食道内の粘膜に炎症がないにもかかわらず症状が起こることがあり、逆に炎症があるのに症状を感じないこともあります。内視鏡検査で食道粘膜の炎症有無を調べるとともに、食道内の酸度を24時間継続的に測定する食道内pHモニタリング検査や、食道内壁の蠕動(ぜんどう)運動の状態を調べる機能検査を受けることも重要です。
- Q治療法についてお聞かせください。
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A
▲内視鏡検査の前処置室
胃酸の分泌を抑えるため、プロトンポンプ阻害薬(PPI)やPcabなどを用いて治療していきます。PPI内服により胃酸の逆流によって起こる症状の改善が期待できますが、近年PPI内服の副作用として認知症やがん、骨粗しょう症などの発生を促進する可能性が指摘されています。これらは学術的エビデンスに十分に支えられたとはいえない指摘で、そこまで不安になる必要はありませんが、長期にわたり胃酸分泌を抑制してしまうことで、貧血を起こしやすくなったり、感染症にかかりやすくなるといった悪影響も考えられます。長く漫然と飲み続けるのではなく、憎悪した際に強めの薬で一気に症状の抑制を図り、徐々に減薬をめざすのが理想です。
- Q日常ではどのようなことに気をつけて過ごせばよいでしょうか?
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A
▲日常生活のアドバイスも丁寧に教えてくれる
生活改善により、症状の軽減をめざすことも可能です。まずは脂っこい食べものをできる限り避け、食べるなら夜より昼のタイミングにするよう心がけましょう。胃酸の逆流は、横になった体勢で起こります。昼間であれば食べた後も立っている時間が長いため問題ありませんが、寝る前に脂質の高いものを食べると、逆流リスクを高めてしまうのです。また、アルコールの取りすぎや睡眠不足、社会的ストレスもNGです。さらに、ベルトなどによる物理的な締めつけや、高齢者に多い背骨が曲がった姿勢を取り続けることなどで、逆流が起こりやすくなってしまうことも。可能な範囲で気をつけるようにしてみましょう。