臼井 靖博 院長、宇野 洋美 先生の独自取材記事
西新宿内科つながりクリニック
(新宿区/西新宿駅)
最終更新日:2024/09/04
喘息と片頭痛にはつながりがあるということを知っているだろうか。こうした疾患同士のつながりに着目し、包括的な医療を提供しているのが「西新宿内科つながりクリニック」だ。臼井靖博院長は循環器と呼吸器の専門の医師として、20年近く睡眠時無呼吸症候群の治療に携わってきた。睡眠時無呼吸症候群はさまざまな疾患に関連することが多く、診療を行う中で関連する病気を総合的に診られるクリニックが必要だと感じ開業。前職からつながりのある脳神経内科の宇野洋美先生、循環器内科の田中宏和先生とタッグを組み、専門的でありながら、生活に密着したクリニック運営を行っている。医師同士やスタッフの連携、診療にかける思いについて、臼井院長と宇野先生に話を聞いた。
(取材日2024年5月10日)
専門家の視点で病気のつながりを見つける
どういった方が来院されますか?
【臼井院長】近隣にお勤めの、30~50代の男性が多く来院されます。開業にあたり、ビジネスパーソンも受診しやすいように、午前の診察を14時までとしたことも良かったのかもしれません。主な症状は風邪や咳で、頭痛を訴える患者さんも少しずつ増えてきました。当院には脳神経内科を専門とする医師が在籍していますので、頭痛にお悩みの方にぜひ知っていただければと思います。
クリニックの特徴としては、脳・心臓・肺の各専門の医師に診ていただけることでしょうか。
【臼井院長】そうですね。脳神経内科は宇野先生、循環器内科は私と田中先生、呼吸器内科は私と、各診療科を専門とする医師が担当しているのが当院の特徴です。しかし、だからといって受診のハードルを上げたいわけではありません。地域のクリニックとして、風邪の症状も診ますし予防接種にも対応します。単に専門家が診るのが強みではなく、専門家ならではの視点で、疾患同士のつながりを見つけて治療することが当院のめざすところです。クリニック名に「つながり」と入れたのも、そうした意味合いがあります。
クリニックの内装でのこだわりを教えてください。
【宇野先生】脳神経内科を受診される方は、重度の片頭痛を訴える方が多くいらっしゃいます。片頭痛で発作が起きると照明の明かりがまぶしく感じ、目を開けているのもつらくなるので、調光できるようにしました。また、待合室にはホスピタルアートを展示しています。ホスピタルアートとは、アートによって医療機関の環境を快適で癒やされる空間にしようという取り組みです。欧米ではすでに20年以上前から取り入れられています。私が以前勤めていた医療機関の患者さんにホスピタルアーティストがいらっしゃるので、開院にあたりアート制作を依頼しました。臼井院長の発案で、四季を感じるアートとして春夏秋冬4つの異なる作品を展示しています。それぞれにかわいらしい動物が描かれているので、診察を待つ間、どんな動物がいるのか鑑賞を楽しんでいただきたいと思っています。
医師、スタッフ、患者がつながる医療
先生同士ではどういった連携をされているでしょうか。
【臼井院長】例えば、私が喘息の患者さんを診ていて、頭痛の症状もあると伺った場合には、すぐに宇野先生に診ていただきます。
【宇野先生】診察室がすぐ隣なので、私の診察日と重なっていた場合は、即日脳神経内科の診察をすることが可能です。咳の症状で受診した患者さんも、まさか頭痛と関連があるなんてと驚く方もいらっしゃるでしょう。臼井院長と田中先生との3人の間では、開業前からたくさんの患者さんを診ていて“肺・心臓・脳のつながりは密接だ”という強い認識がありました。私たちは、お互い信頼し合っているからこそ診療の連携もスムーズですし、1つのクリニックで複数の診療科の医師にかかれることは患者さんにもメリットがあると思います。
クリニックの理念にはどういった思いが込められているのでしょうか。
【臼井院長】2019年のラグビーワールドカップを観ていて、直感的に浮かんできたのが「誠実に」「謙虚に」「常に冷静に」「互いを尊重し」「すべてに感謝して」という5つのワードだったんです。それをそのままクリニックの理念としました。私はもともとサッカーファンで、自分でもプレーすることもあります。ラグビーはサッカーに比べると荒々しい競技に思えますが、審判と話し合って試合を進めたり、試合後はノーサイドといって勝者も敗者もないという姿勢だったりと、まさに紳士のスポーツだなと感心しました。そうした振る舞いをするラグビー選手を見ていて思い浮かんだのが、この理念です。これらのことは、人間が生きていく上で常に大事にしなくてはいけないことですし、医療従事者はなおさら大事にすべき言葉だと私は思っています。それでもやっぱり、私はサッカーが好きですね。
睡眠時無呼吸症候群は複数の疾患とつながる複雑な病
睡眠時無呼吸症候群を専門的に深められたきっかけは、何だったのでしょうか。
【臼井院長】医師になって最初に入職した聖路加国際病院の恩師が、その後東京医科大学病院の循環器内科に異動になり、お声がけいただいたことがきっかけです。当時私は武蔵野赤十字病院の呼吸器内科にいたのですが、東京医科大学で睡眠時無呼吸症候群という病気を勉強してみないかと打診を受けたのです。2005年頃だったと思いますね。そうして、東京医科大学病院で睡眠時無呼吸症候群の外来や検査室の設置に携わりました。当時は、睡眠時無呼吸症候群と高血圧症や心筋梗塞に関連があるのではと考えられ始めた矢先でした。実際に当時、高血圧症や心臓の疾患を治療する循環器内科の入院病棟を夜間歩いていると、いびきが大きい人が多く、中には呼吸が一時的に止まっている人も少なくありませんでした。そうしたことから、睡眠時無呼吸症候群の研究には取り組まなければならないと思ったのです。
睡眠時無呼吸症候群と脳神経には、どういったつながりがありますか?
【宇野先生】脳卒中のリスクの原因の一つに、睡眠時無呼吸症候群があると考えられています。そもそも、心臓や血管といった循環器と脳の関係はとても密接で、不整脈は脳卒中の原因の一つですし、抗血栓薬の副作用として脳出血などもあります。そのため、循環器の疾病と関連する睡眠時無呼吸症候群は脳神経とも無関係ではないと考えています。
【臼井院長】さらにいうと、睡眠時無呼吸症候群は喘息とも非常に合併が多いとされています。睡眠時無呼吸症候群の方の半数が喘息も併発しているといわれているほどです。長引く咳にお困りの方で、いびきや睡眠中に呼吸が止まっていることを指摘された人は多いのではないでしょうか。このように、睡眠時無呼吸症候群はさまざまな疾患とつながっていて、関係性は複雑です。当院では自宅で睡眠データを取り、専門的に解析します。いびきが気になる方は一度受診してみてください。
読者へメッセージをお願いします。
【臼井院長】肺・心臓・脳、これらはバラバラに機能しているのではなく、“つながって”身体を動かしています。したがって、病気もまた“つながって”しまうのです。当院では、できる限りその「病のつながり」を見つけ、患者さんの手助けを行いたいと思っています。
【宇野先生】働く人の約20%の人は頭痛持ちといわれるほど、頭痛でお困りの方は多くいらっしゃいます。私自身も重度の頭痛患者であるからこそ、患者さんの気持ちに寄り添えると思っていますので、頭痛でお悩みの方はご相談ください。また、認知症やパーキンソン病といった疾患にも力を入れています。特に認知症はタイプによってアプローチの方法が異なりますので、まずはどのタイプの認知症か診断することが重要です。多職種と連携して、医師としての役割を果たしたいと思います。ご心配なことがありましたら、ぜひお越しください。