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小泉 さおり 院長の独自取材記事

こいずみ耳鼻咽喉科医院

(世田谷区/松陰神社前駅)

最終更新日:2021/10/12

小泉さおり院長 こいずみ耳鼻咽喉科医院 main

暗い、怖い、混んでいるといったイメージから離れ、明るく受診しやすい耳鼻咽喉科にしたいと言う小泉さおり院長。60年以上続く「こいずみ耳鼻咽喉科医院」の3代目院長として、地域医療への思いを受け継ぎつつ、医院をリニューアルして診療を行っている。「痛みなど具体的な症状がなくても、心配なことがあれば気軽に受診してください。問題がなければ安心できますし、重大な病気が疑われればすぐに専門の医療機関をご紹介します」と笑顔で優しく語る小泉院長に、同院の診療方針、気にしてほしい症状などについて詳しく聞いた。

(取材日2019年9月19日)

気軽に受診できる耳鼻咽喉科は院内もカラフルに

こちらで診療されるまでの経緯をお聞かせください。

小泉さおり院長 こいずみ耳鼻咽喉科医院1

大学卒業後、大学病院の耳鼻咽喉科で専門的な診療に携わっていましたが、祖父も父も耳鼻咽喉科の開業医で、私もいずれそうなりたいと考えていました。しばらく医院を閉じた時期はあったものの、以前と同じ場所で「こいずみ耳鼻咽喉科医院」を再開することができました。耳鼻咽喉科は鼻、耳、喉と鋭敏な感覚器を治療するため、どうしても痛い・怖いイメージが先行しがちです。それに私が小さい頃に見た当院の雰囲気もどこか冷たく暗い感じで、自分でもあまり受診したいと思えませんでしたね(笑)。このため当院の再開時にこだわったのは、皆さんに気軽に受診していただける耳鼻咽喉科にすること。自然光が入る待合室はもちろん、診療室も明るい照明にして、黄色やオレンジ色などをアクセントに温かみのある雰囲気にしています。

どのような症状での受診が多いですか?

例えば当院の患者さんの3割ほどを占めるお子さんの場合は、鼻詰まりの解消や耳あかを取るなどで受診されることが多いですね。このほか年齢を問わず、耳が詰まった感じ、喉の痛み・腫れ・違和感、鼻水が続く、匂いを感じない、あるいは変な匂いを感じる、口内炎、耳や鼻のかゆみ、耳・鼻・喉への異物などさまざまです。ただ、耳鼻咽喉科は専門的な診療科という誤解があるのか、症状が重くなってから受診される方も多いようです。当院は、目と脳のこと以外、首から上はすべて耳鼻咽喉科の対象と考えていますから、何でも気軽に相談していただければと思います。風邪のときも鼻水・鼻詰まり、喉の痛みなどがあれば、早めに耳鼻咽喉科を受診されることをお勧めします。

ちょっとしたことでも受診して構いませんか?

小泉さおり院長 こいずみ耳鼻咽喉科医院2

もちろんです。特に痛みやかゆみなどの症状がなくても、耳の調子が何かおかしいとか、何となく喉が不安だとか、首から上の範囲なら大抵のことはご相談に乗れると思います。それに耳鼻咽喉科の医師の中には、各部位を専門的に追究されている先生方もおられます。当院はそうした専門家や専門医療機関での検査・治療を、患者さんが適切にスピーディーに受けられるようにする案内役をめざしているんです。また、私自身は「どうしても必要なとき以外、薬はなるべく飲まないほうがいい」という考え。特に抗菌薬(抗生物質)は、副作用の懸念のほか、頻繁に使うと抗菌薬が効かない耐性菌が増える可能性があるため、本当に必要なとき以外はお出ししないようにしています。

鼻詰まりや喉の違和感は放っておかず適切に処置を

鼻詰まりの原因や対処法について教えてください。

小泉さおり院長 こいずみ耳鼻咽喉科医院3

原因の大半はアレルギー性鼻炎や蓄膿症とも呼ばれる慢性副鼻腔炎で、患者さんの中には「いつものことだから」と放っておかれる方も多いようです。しかし、鼻は外界から空気を取り入れるときに高性能の空気清浄機・加湿器の役割を果たしているんですよ。口呼吸が続くとせっかくの機能を利用できず、喉の乾燥や痛み、雑菌の侵入などトラブルのもとになりかねません。耳鼻咽喉科で治療を受けて症状を緩和し、早く正しい鼻呼吸に戻されるようお勧めします。また、症状全体の数%以下と非常にまれですが、アレルギー性ではなく、鼻の形が影響していたり、その方が常用する点鼻薬が原因だったりするケースもあります。後者は血管運動性鼻炎と呼ばれ、薬などによって鼻腔の毛細血管が拡張して粘膜が腫れ、鼻が詰まるもの。こちらも適切な治療を受けることが必要です。

子どもの鼻水や鼻詰まりは何が原因でしょうか?

小さなお子さんは免疫機能があまり発達していませんから、保育園などでたくさんのお友達と接するようになると、誰かが引いた風邪に容易に感染します。治りかけた頃にまた風邪をもらうと、いつも鼻水がたまった状態になり、しかもお子さんは自分で鼻をかめないので、鼻詰まりしやすくなるんです。昔からよくあることでしたが、低年齢化や少子化でそうした症状が目立つのだと思います。とはいえ、鼻水・鼻詰まりはお子さんも不快なので機嫌が悪くなり、寝づらかったり食欲が落ちたりしますから、そのままにしない方がいいでしょう。大抵は薬を使わず、小さな鼻の穴に詰まった鼻水を吸引するだけで、鼻呼吸できることがほとんど。保育園の帰りに気軽に立ち寄っていただいて鼻水をとれば、数日は鼻が通った状態で気持ちよく眠れるはずですから、お母さん方も安心してお休みになれると思います。

大人が喉の腫れや違和感を覚えたとき、どんな治療がありますか?

小泉さおり院長 こいずみ耳鼻咽喉科医院4

診断でがんなどの重大な病気でないことが確認でき、しかも風邪の後に喉の腫れや違和感、へばりつくような感じが残っているようなときは、上咽頭炎の疑いがあります。上咽頭は鼻の奥の奥、喉とつながっている部分を指し、この部分は口を開けても見えないため、この病気を念頭に置いて診ないとわからない場合があるのです。当院ではそうした可能性も十分に考慮して診断し、必要なら上咽頭擦過療法による症状の緩和も行っています。これは薬を付けた綿を使って患部に薬を塗るという、昔からある治療法で、一時はあまり行われなくなったのですが、近年はまた見直されてきています。

地域のニーズに応え、地域とつながる医院をめざして

先生が耳鼻咽喉科の医師をめざされたきっかけを教えてください。

小泉さおり院長 こいずみ耳鼻咽喉科医院5

きっかけは祖父と父が耳鼻咽喉科の開業医だったことですが、最初からその道と決めていたわけではありません。医学部入学直後は患者さんとじっくり向き合う内科に興味があり、病院実習でもいろいろな診療科を回ったものの、内科も外科も何か違う感じがして……。結局、普段は見えない鼻や耳や喉の奥を診て治療し、症状が劇的に改善することも多い耳鼻咽喉科が自分に向いているとわかったんです(笑)。残念ながら私が卒業して2年目に父が亡くなり、かといってすぐに後も継げず、いったん医院は閉院。2011年に当院を再スタートさせました。私と同年代くらいの方がお子さんを連れて見えることも多いので、これからも一緒に成長していけたらと思っています。

今後の目標についてお聞かせください。

まずは「誰でも気軽に受診していただけ、必要なら専門家へ道案内をする医院」という当院の考えを、地域の皆さんに情報発信する機会を検討したいですね。さらに地域の医師会を通じて多様な診療科の先生方とも交流を深め、他の医院と当院との連携がもっとスムーズになる協力体制をつくることも大切と考えています。また、私は父をがんで亡くすなどがんが身近な病気だったことから、順天堂医院の樋野興夫先生によるボランティアにも参加中です。これは主治医でなくても、がんの患者さんの話をじっくり伺っていくもので、こうした活動を世田谷区にも広げられたらと思っているところです。私が卒業した獨協医科大学には年齢や診療科が異なる開業医の卒業生が集まる会があり、世田谷区内でも交流が盛んですから、先輩方からアドバイスをいただきつつ、目標の実現に努力したいと考えています。

では地域の方にメッセージをお願いします。

小泉さおり院長 こいずみ耳鼻咽喉科医院6

耳、鼻、喉の詰まりや痛みなどは、長引けばそれに慣れたと感じるかもしれません。しかし本当は不快さや違和感でうまく集中できない状態を、ご本人もご家族も当たり前と思っているだけなのです。そうした状態を抱えてずっと生活するより、一度は専門家に診てもらって解決法を検討されるのはいかがでしょうか。また、聞こえの問題を抱えるお子さんは、ご家族から「反応が鈍いのでは?」と誤解されていることも多々あります。こちらも少しおかしいと思ったら専門の医療機関に診せて、必要なら人工内耳を使うなどで聞こえの問題を改善することが望ましいでしょう。当院は比較的待ち時間が長くなく、受診していただけていますし、より専門的な検査・治療が必要かどうかを判断して、適切な医療機関をご紹介しますから、気軽に来院いただければと思います。

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