浦岡正尚院長の独自取材記事

うらおか内科・内視鏡クリニック

(大阪市住吉区／長居駅)

最終更新日：2025/04/10

大阪メトロ御堂筋線・長居駅から西へ徒歩約9分、長居公園通りに面した医療ビルに「うらおか内科・内視鏡クリニック」がある。院内は木目のベージュとオフホワイトを基調にした内装。待合室、中待合室ともゆったりとした造りで、リラックスして診療を受けられる。院長の浦岡正尚先生は、名古屋や兵庫、大阪の病院で消化器内科の医師として研鑽を積んだ後、同院を開業した。とりわけ内視鏡検査・治療の経験が豊富で、先進の機器を備えて胃・大腸の内視鏡診療に対応している。「患者さんに対して優しい、明るいクリニック」をめざしているという浦岡院長に、離島での診療経験もあるという経歴や同院の診療ポリシー、得意とする内視鏡診療などについて話を聞いた。

（取材日2025年3月21日）

基幹病院と離島を行き来し数多くの内視鏡診療を経験
患者の負担を軽減できるように努める
多くの人が受診しやすい環境を提供する

基幹病院と離島を行き来し数多くの内視鏡診療を経験

開院までのご経歴を教えてください。

医学部卒業後、最初に勤務したのが名古屋医療センターです。規模の大きな病院で救急の患者さんも多く、搬送されてくる患者さんを診ながら、内視鏡を使った胃がん治療なども経験でき、非常にやりがいのある環境でした。その後は、大阪市内の総合病院で、高血圧症や脂質異常、糖尿病、肺炎などさまざまな内科診療を経験しました。療養型病床を備えた病院だったので、褥瘡（床ずれ）の管理など、内科以外の診療も担当し、医師としての幅を広げるような経験ができたと思います。

多くの内視鏡診療を経験されていますね。

私の世代の消化器内科の医師は、内視鏡を扱えることが基本的なスキルのひとつなのですが、もっとしっかり学びたいと考えて、肝臓、胆のう、膵臓の内視鏡診療・治療が経験できる尼崎市の中央病院、さらに内視鏡を使ったがん手術にいち早く取り組んでいた岸和田徳洲会病院に勤務しました。救急車搬送の多いとても忙しい病院なので、当初は1年ぐらいしか持たないかもしれないと考えていましたが、結局7年も勤務し、気が付けば消化器内科の主任部長も担当させて頂きました。消化器内科の医師だけで30名ほど集まった病院なので、各地の徳洲会病院の応援に行くことも多く、宮古島や与論島、奄美大島などの離島でも定期的に診療を行っていました。1日あたり数十人の患者さんに内視鏡検査・治療を行うような状況で、1週間で100名を超えるような数多くの患者さんの診療を担当することになり、内視鏡診療の技術を磨くことにつながったと思います。

開業を決意された理由を聞かせてください。

離島での診療を開始して気づいたのが、内視鏡検査・治療について知らない方が多いということでした。消化器疾患の早期発見、治療のためには、まず知ってもらうことが必要だと痛感したのです。その後、病院の消化器内科の医師がそれぞれ離島での取り組みを続けたことで、ある程度認知が広がった、知っていただけるようになったと実感でき、次のステップについて考えるようになりました。病院に残る、開業するという2つの選択肢があり、自分の両親がそうであったように開業して、地域の健康を支えることを選びました。ずっと関西で診療を続けてきたので、大阪での開業を決めました。大阪は大都市ですが、大阪でも『内視鏡検査・治療でここまでできるんだ』という認知をさらに広げていきたいと考えています。

優しい雰囲気のクリニックですね。

「患者さんに対して優しい、明るいクリニック」を目標にしており、医療機関にありがちな無機質な空間ではなく、患者さんが過ごしやすい空間にしたいという思いがありました。設計を担当してくださったのが女性の設計士さんで、私の妻もインテリアに興味を持っているので、2人がアイデアを出し合って、優しい感じのクリニックになったと思います。設備としては、内視鏡のほかに、エックス線検査装置、超音波検査装置、心電図などを備えています。採血後、短時間で結果がわかる迅速血液検査も導入しています。

患者の負担を軽減できるように努める

どのような患者さんが来られますか？

内科のクリニックなのでご高齢の方が多いだろうと考えていたのですが、20〜40代の比較的若い患者さんも多く、ちょっと調子が悪いから診てほしいと受診される方も少なくありません。「ネットで見て難波から来た」という患者さんもおられます。特に、ワクチン接種の時期には日曜日も開けていたので、遠方からもたくさん来られました。訴えで多いのは、やはり便秘、下痢、腹痛、胸焼けやげっぷ、健康診断の便潜血検査で異常を指摘されたといった、おなかの症状ですね。市販の薬を使ってみたけれど症状が改善しないといった方もおられますね。地域の内科クリニックなので、風邪などの感染症、高血圧症や糖尿病といった生活習慣病の患者さんもたくさん来られます。

診療の際に心がけておられることは？

皆さん何らかの症状があって、つらい状態で受診されるので、それが少しでも改善されて、来たときよりも明るい気持ちでお帰りいただけるような対応を心がけています。昔気質の先生のもとで研鑽を積んだ時の経験で、先生が患者さんに強く注意される様子を見て、「つらい状態の時に叱るように話をされると、結構つらいな」と感じることもあり、患者さんの気持ちに負担がかからないように注意しています。

内視鏡診療にかける思いを聞かせてください。

これまでずっと継続してこられたのは、非常にやりがいがあり、医師として強く興味を持てたからです。まだ駆け出しのころ、同じようなことをしていても、上手な先生が担当すると患者さんの負担が軽減できることを目の当たりにして、自分も少しでも早くそんな先生方のレベルに達したいと考えて取り組んできました。指導する立場になってからも若い先生が早く技術を身につけられるよう注力してきました。

内視鏡検査は疾患の早期発見・治療に役立ちますね。

もちろん、がんなどの病気の早期発見に役立つことも、内視鏡診療に注力している大きな理由です。現在では、がんは不治の病ではなく、早く見つけられれば治療できる病気になってきています。しかし、大腸がんにしろ、胃がんにしろ、見えない部分で起こる病気なので不安を感じ、時には放置してしまうこともあります。内視鏡を使って病気を見える化できれば対応は可能なので、放置はできる限り避けて欲しいと思います。インターネットで調べたり、こうした記事を読んだりしている方は、何か心配なことがある、検査に興味を持っているという方だと思うので、思い切って内視鏡検査を受けることをお勧めしたいですね。

多くの人が受診しやすい環境を提供する

休日に診療されることもあるのですね。

開院前に勤務した病院は、曜日や時間に関係なく、患者さんを受け入れるような土壌があったので、当院でも何かできないかと考え、祝日の内視鏡診療や日曜日のワクチン接種を行いました。休日には発熱で受診される方が多く「やれるだけやってみよう」と発熱の外来も始めてみたところ、スタッフがかなり頑張ってくれて2024〜2025年の年末年始は休みなく対応できました。患者さんにも喜んでいただけたというお声を多くいただきうれしかったですね。内視鏡診療についても休日対応を増やしたいのですが、安全に行うためにはどうしても人手が必要となるため、調整しながら実施日を増やしていきたいです。

すばらしいスタッフさんたちですね。

皆さん、本当によく働いてくれます。当初は接遇・マナーの講習も考えていたのですが、そのような必要がないくらい優しく丁寧に患者さんに対応してくれています。スタッフ間の連携をスムーズにするために電子カルテを導入しており、院内のどの端末からでも同じ画面を確認できるのが当院の特徴です。また、インカムを採用しているのでスタッフ間の連絡もスムーズで、「そろそろ内視鏡検査が終わります」など、患者さんの状況を把握して、少しでも待ち時間を減らすように心がけています。当院は予約優先制で、緊急受診された患者さんの対応でお待ちいただくこともあり、そうした場合の待ち時間短縮が現在の課題です。

今後の展望を教えてください。

血便が出た、おなかが異様に張っているなど、緊急検査が必要となってから受診される方もいらっしゃるので、内視鏡検査には予防的な面もあることをもっと知っていただきたいと考えています。現在では麻酔を使うなど検査の負担もかなり軽減されており、怖がる必要はありません。ちょっと勇気を出すことで、生命が救われるケースがあることを継続して伝えていきたいです。受診された方には検査の大切さをお伝えしていますが、もっと積極的に情報を発信してきたいと考えています。