近藤 功 院長の独自取材記事
中央高松ハートクリニック
(高松市/伏石駅)
最終更新日:2024/05/22

循環器専門クリニックの不足が懸念視されていた県南部において、地域住民のニーズに応えようと、2024年4月1日に開院したのが「中央高松ハートクリニック」だ。高松中央ICから車で5分と交通至便な立地で、16列のマルチスライスCTをはじめとした先進の設備もそろえている。「患者さんの訴えを傾聴して、何に困り、何に悩んでいらっしゃるのかを丁寧に聞き取ることが大切」と語る近藤功(こんどう・いさお)院長は、優しく丁寧な語り口で患者に安心感を届けるドクター。プライベートでは、ハードな筋力トレーニングを毎日欠かさないというストイックな一面もある。日本循環器学会循環器専門医として、患者の立場に立った最善の医療の提供を心に誓う近藤院長に、開院までの道のりやクリニックの診療内容についてたっぷりと語ってもらった。
(取材日2024年4月25日)
県南部の医療支援にあたり、脳心連携にも取り組む
開院おめでとうございます。まずはクリニックの設備について教えてください。

当院は、高松市春日町にある「高松ハートクリニック」の初めての分院となります。県南部にお住まいの循環器疾患を持つ患者さんや、患者予備軍となる方々に医療支援を行いたいと、2024年4月1日に開院しました。高松ハートグループの医師複数名が入室できる4つの診察室のほか、院内にはエックス線撮影室、処置室、運動負荷検査室、超音波検査室、生理機能検査室、16列のマルチスライスCTを設置したCT室があります。県南部で、ここまでの設備をそろえている循環器専門クリニックは少ないと思いますよ。場所も高松中央ICから車で5分と、アクセスの便利な立地です。向かいにはドライブスルーつきの調剤薬局があり、さらに同じ建物の中で、脳神経外科のクリニックが診療を行っています。運営母体は異なりますが、当院はこの脳神経外科クリニックとの協力体制を敷くことで、「脳心連携」にも取り組んでいます。
「脳心連携」はあまり耳慣れない言葉ですが、脳と心臓には関係性があるのでしょうか?
脳と心臓は、たいへん密接な関わりを持っています。脳神経外科を受診された患者さんに心疾患が見つかるケースは非常に多く、逆に循環器内科へ心疾患の治療を受けに来られた患者さんが、脳疾患を合併しているケースも多いんです。中でも脳梗塞はかなりの割合で、心房細動などの不整脈疾患が原因となって発症します。心房細動の治療をすることで、脳梗塞の再発予防を図るパターンもありますね。同一施設内で脳(ブレイン)と心臓(ハート)の専門家が密に連携し、シームレスな医療を提供することができれば、患者さんもより早く必要な治療を受けられると考えています。
現在の患者層や、よくある主訴についても伺いたいです。

開院直後は、もともと春日町の本院に通院していて居住地が近くなった方々に多くご来院いただいていましたが、最近ではこの林町近辺にお住まいの新しい患者さんが増えています。地域柄でしょうか、本院と比べると若い患者さんが多く、40代、50代の働き世代の方にもお越しいただいている状況です。症状でいうと、不整脈によって「動悸がする」という方と、「胸が痛い」という方が多いと感じます。動悸や胸痛の原因を探して、病の源、上流へとさかのぼると、高血圧症やメタボリック症候群などにたどり着くことがままありますので、そうした生活習慣病が見つかった場合には、しっかりとご説明を行った上で介入させていただくという流れになります。
患者の困り事を丁寧に聞き取り、診療につなげる
医師を志したきっかけや、その後のご経歴は?

医療漫画の主人公への憧れと、高校の恩師の後押しがあり、香川大学医学部に進みました。循環器内科を専門分野に選んだのは、内科でありながらも外科的な手術に取り組めるという側面があったからです。手術によって急性期の患者さんの苦痛を取り除くことができたら、大きなやりがいを感じられるだろうと思いました。大学病院には8年間在籍し、その後は大阪の労災病院で3年間、みっちりと心臓カテーテル治療の修行に励みましたね。昼も夜も仕事をしていて、当時はほぼ家に帰れなかったです。大阪から戻った後は、香川県の拠点病院の一つである高松医療センターで9年間、地域住民を支える医療に携わりました。そして2012年に、気心の知れた医師仲間と3人で、本院となる「高松ハートクリニック」を開院。当時の香川県では、不整脈の手術治療をしている医療機関が少なかったので、開院から6、7年の間は不整脈のカテーテル治療を中心に行っていました。
カテーテル治療とは、どのような治療なのでしょうか?
血管内にカテーテルと呼ばれる治療用の管を挿入して、医師が人為的に操作する手術治療です。大きく分けると、2つの種類があります。一つは血管の病変に対して行う「ステント治療」。カテーテルによって、金属製の小さな筒を特殊な風船とともに血管内に挿入し、風船を膨らませてから筒だけを残すことで血管を広げます。動脈硬化によって詰まってしまった血管を、物理的に広げることがこの治療の目的です。もう一つは、不整脈に対して行う「カテーテルアブレーション」です。カテーテルを用いて心臓の中の電気経路を操作し、脈の乱れを整えることをめざします。こういった治療が必要な患者さんには地域の中核病院をご紹介し、当院では再発予防を含めた治療後のフォローを行います。カテーテル治療の適応患者さんの選定やアドバイス、アフターケアは私の得意分野ですし、中核病院とも密に連携していますので、安心してお任せいただきたいです。
クリニックの診療理念をお聞かせください。

本院と同様、「医は仁術なり」の格言に従って、患者さんの立場に立った最善の医療を提供することを診療理念に掲げています。具体的には、まず患者さんの訴えを傾聴して、何に困り何に悩んでいらっしゃるのかを伺います。初診の際は、特に丁寧な聞き取りを心がけていますね。高齢の患者さんなどは、ご自分の症状をうまく表現できない場合もありますが、時間をかけてお話を聴きながら理解に努めます。大切なのは、患者さんの情報をしっかり得るということ。患者さんがクリニックの門をたたいた第一の理由を、医師の私が理解しないことには、良い治療、最善の医療を提供できません。皆さんのお困り事、お悩み事をきちんとすくい上げ、それを診療につなげることで問題の解決を図りたいと思っています。
「医は仁術なり」を心に掲げ、地域医療を支えたい
これからは、どのような治療に力を入れていきたいですか?

2025年問題を目前に控え、今後はますます社会の高齢化が進んでいくでしょう。当院は地域に根差した循環器専門クリニックとして、地域の高齢者医療のニーズに貢献したいと考えています。さらに高齢者だけでなく、働き世代の診療にも力を入れていきたいです。例えば、最近は不整脈を訴えて受診される40代の女性が多いのですが、その原因は心臓の問題ではなく、更年期のホルモンバランスかもしれません。ホルモンが原因であれば、「この症状は生理現象で、時期が来れば落ち着きます。それまで仲良く付き合っていきましょう」と患者さんにご説明して、薬を飲む必要はないことを理解していただきます。患者さんは不安な気持ちでクリニックに来られますので、その不安を安心感に変えられるように、適切な診査・診断と医療知識を提供してあげたいですね。
まだまだ慌ただしい日々かと思いますが、休日はどう過ごされていますか?
医師仲間の先輩や友達と一緒に、海へ釣りに行くことが多いです。よく利用するポイントは、瀬戸大橋の下などでしょうか。仲間と一緒に釣りをして息抜きをしつつ、情報交換も行っています。釣り以外の時間の過ごし方というと、筋トレは毎日欠かしません。ローラーを使って、一日100回は腹筋を鍛えています。一日でも休むと、体が落ち着かないんです(笑)。それから、以前はスキーやスノボーにも熱中していて、家族みんなでゲレンデに行っていました。今の状況が落ち着いたら、また家族で滑りに行きたいです。
最後に、読者や地域の方々へメッセージをお願いします。

昨今では、ほとんどの方がインターネットなどで情報を収集し、自分がどんな病気にかかっているのかを、ある程度調べてから来院されるようになりました。当院ではどんな疑問や訴えに対しても、丁寧に耳を傾けることを第一としていますので、どうぞ気軽にお話しください。「医は仁術なり」を心に掲げながら、さらにグループ一丸となって、地域の皆さんの支えとなれるよう力を尽くしてまいります。