南 義彦 院長の独自取材記事
みなみ医院
(橿原市/橿原神宮前駅)
最終更新日:2024/07/29
近鉄橿原線・橿原神宮前駅から徒歩5分。近くにはマンションや住宅が立ち並ぶ閑静な環境にある「みなみ医院」。院長である南義彦先生が、大学病院や地域の基幹病院での勤務を経て、2024年に開業した。南院長の専門は消化器外科だが、現在は地域のかかりつけ医として、内科や外科だけでなく、泌尿器科、乳腺外科など幅広い診療や検診を行う。診療のモットーは、患者の話をしっかりと聞き、丁寧な説明を行うこと。話を聞くときの柔和な笑顔が印象的で、誠実に患者に向き合う様子が伝わってくる。開業して3ヵ月たったクリニックの様子について話を聞いた。
(取材日2024年6月24日)
困ったときに頼れるクリニックをめざして
先生はクリニックのある奈良県のご出身だそうですね。
はい。奈良県出身で高校までこちらで過ごし、滋賀医科大学へ進みました。滋賀医科大学医学部附属病院などで経験を積んだ後、地元に戻って勤務医をしていました。専門が消化器外科ということで手術に関わることが多く、ずっと外科一筋のつもりでやってきましたが、さまざまなご縁があり、こちらで開業することになりました。現在はさまざまな症例に対して、診療を行っています。勤務医時代を含め、住み慣れた場所ですので、この地で開業できたことをうれしく思っています。
開業までのいきさつを教えてください。
ここで地域のかかりつけ医として長年やってこられた先生がいらっしゃいましたが、閉業するにあたり、引き継ぐかたちで開業のお誘いをしていただいたことがありました。しかしその時は病院で勤務していたこともあり、辞めると多くの患者さんや関係者の方々にご迷惑をかけてしまうという理由から、継承をお断りしたという経緯があったのです。しかししばらくしてクリニックが閉院したという知らせを受け、そのクリニックにかかっていた患者さんや関係者の皆さまへの申しわけなさを感じ、私自身の意志も開業へ向けて変化していましたので、こちらで地域のかかりつけ医となることを決心しました。ただ、それが昨年の10月頃の話でしたので、今年4月の開業まで本当に時間がなく、準備などで目まぐるしく過ぎていきました。でもこのタイミングで独立できたことも、ある意味天命だと思っています。
クリニックを開くにあたり、こだわったのはどのようなことですか?
地域のかかりつけ医として、皆さまに気軽に来ていただけるクリニックにしようと思いました。例えば、本当に困った時に診てくれるクリニックがあれば、安心をお届けできるのではないかと思い、改装時に救急科外来を設けて、すぐに処置できるような専用の診療室を備えました。また感染症対策のために、発熱患者さん専用の出入り口も設けました。待合室のインテリアは、少しでも心が安らぐようにとやわらかな色合いでまとめ、生花もたくさん飾っています。また、開業に際してはスタッフの配置もとても大切なことですが、ありがたいことに旧知の看護師などが集まってくれて、気心の知れた仲間と協力して医療に向き合うことができています。患者さんにも「楽しそうで雰囲気がいいですね」と言われることもあり、恵まれた環境で過ごせていると実感しています。
広い視野を持って地域の医療体制拡充に尽力
こちらに来られるのはどのような患者さんが多いですか?
駅が近い場所柄もあり、周囲には多くのマンションがあります。そこにお住まいの方が徒歩で来られることが多いですね。前に勤務していた病院に通っていた患者さんが、わざわざ来てくださることもあります。以前のクリニックが閉業した時に「とても困っていた」とおっしゃる患者さんもいて、地域のかかりつけ医としての使命感を感じているところです。私はもともと病院では外科一筋で患者さんに関わってきたわけですが、外科手術を必要とされる患者さんには内科の持病をお持ちの方が多く、治療にあたっては外科医であっても、当然内科の知識を持ち合わせていなければなりませんでした。その経験が今、最大限に生かされていると感じます。内科、外科はもちろん、乳腺外科や泌尿器科についても非常勤医師を配置して、幅広い症例の診療をしています。
診療する上で、大切にしていることを教えてください。
わかりやすく、丁寧な説明をすることです。患者さん自身の体のことですので、まずはご自分の体についてしっかりご理解いただくことを大切にしています。そのために、医師はわかりやすい言葉を選ぶ必要がありますし、患者さんの反応を見ながら話していかなければなりません。私も若い頃はなかなかそういったことまで意識が回らなかったのですが、勤務医時代に一緒に働いていた同僚が患者さんの立場に立った丁寧な説明をしているのを間近で見て、自分もそうでなければならない、と思ったんです。それ以来、説明の仕方や順番、言葉選びを慎重に行うようになりました。「先生の説明はわかりやすいなぁ」と言われることが多くなると、医師としてもやりがいを感じますね。
先生は地域の医師会の理事もされていますね。
病院に勤務していた頃から橿原地区医師会の理事となり、長年地域医療を見てきました。当時は勤務医でしたが、医師会で開業医の先生方とコミュニケーションを持つことで、たくさんの学びがありました。医師会の役割の一つは、日頃から医師同士が交流し、いざとなったときにスムーズな連携を取れるような環境をつくることです。患者さんの病状によってはクリニックと病院が密に連携を取る必要があり、医師会で交流を持ち、それぞれの持ち場を把握することは、スムーズな連携につながります。私も開業以来、手術が必要な患者さんを病院に紹介するとき、手術を終えた患者さんがクリニックに戻って通院するときなどは、医師会で培ったネットワークが役に立っています。クリニックだけ、病院だけではなかなか行き届かないことでも、連携によって可能になることがたくさんあります。広い視野で地域の医療体制を整えるということには、今後も取り組んでいきたいです。
モットーは、誠実な診療と丁寧な説明を行うこと
クリニックの今後の展望について教えてください。
体の不調を感じた時に、「これは何科に行けばいいんだろう?」と迷うことはよくあるのではないでしょうか。そんなときにまず相談しに行くクリニックでありたいです。当院では内科や外科だけでなく、原因がわからない症状についても、丁寧に聞き取り必要と思われる検査をしていきます。例えば、乳腺外科においては女性の非常勤医師が診療をしますので、検査自体に抵抗のあるという方にもぜひ来ていただきたいですね。ありがたいことに開業以来、地域の方々に多く来院していただいていますが、今年の秋頃には隣に調剤薬局ができるそうで、もっと便利になると思います。「なんだか体調が悪いな」「痛いけどどうすればいいのかな」というときに、思い浮かぶようなクリニックになれればうれしいですね。今はまだ開業間もないこともあり、どうしてもお待たせしてしまうことがありますが、今後患者さんの流れを見ながら、もっとスムーズな診療を心がけていきます。
休日のリフレッシュ法や先生の趣味などを教えてください。
機械が好きで、コンピューターを触るのが趣味ですね。実は院内のLANの設計は私がやりました。配線も自分でしたかったのですが、開業に向けて他にやることが山ほどあったのであえなく断念しました。車を触ることも好きで、ドライブにも行きます。ただ、最近は開業の準備などで休みらしい休みを取れていないので、リフレッシュといえばもっぱら家で妻と話すことですね。妻が庭で花を育てていて、院内にもたくさん生けてくれますので、それを見ると気持ちが明るくなります。
最後に、読者にメッセージをお願いします。
開業したばかりではありますが、地域のかかりつけ医としてできることをどんどん取り入れていきたいと思っています。急性期に頼れる場所としての救急科外来や発熱症状に対応する外来など、いざというときに頼みの綱になるようなクリニックをめざし、スタッフが一丸となって患者さんに向き合っているところです。診察は19時30分までと、比較的遅くまでしていますので、仕事や学校帰りなどにも気軽に寄っていただけます。当院のモットーは、「誠実であること」「患者さんに丁寧でわかりやすい説明を心がけること」。患者さんの不安な気持ちを和らげ、しっかりと説明をした上で回復に向けて取り組んでいきますので、お困りのことがあればいつでもご相談ください。