治りにくい下肢の皮膚炎や潰瘍は
早めに静脈の病気との鑑別を
みんなの血管外科池袋
(豊島区/池袋駅)
最終更新日:2025/03/13


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下肢静脈瘤、および深部静脈血栓症の慢性期には、血液の逆流に伴って下肢に皮膚炎や潰瘍などのトラブルが現れることがある。しかし、血管の病気の一症状に皮膚トラブルがあることを知らなかったり、慢性期のケアの重要性を把握していなかったりすると、皮膚症状を血管の病気と結びつけて考えるのは難しい。結果として、かなり悪化してから血管外科にたどり着くケースが多いと「みんなの血管外科池袋」の田中克典副院長は話す。早期に適した治療をすれば下肢静脈瘤に伴う皮膚症状の多くは治すことをめざせるほか、誤ったケアで症状を悪化させることを防ぐことにもつながるため、治りにくいと感じたら一度は血管の病気を疑うことが大切だ。具体的な症状や治療法、予防法などについて田中副院長から話を聞いた。
(取材日2025年2月26日)
目次
下肢の皮膚トラブルから発見できる静脈疾患。早期発見と適切な治療で、つらい症状の緩和をめざそう
- Q下肢静脈瘤の症状と、皮膚トラブルになる原因を教えてください。
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A
▲つらい症状で悩まないで欲しいと語る田中副院長
下肢静脈瘤は、静脈の弁が正常に機能せず、本来なら下肢から心臓に戻るはずの血液が下肢に逆流することによって起こる病気です。逆流した血液は足の静脈にたまるため、静脈の圧力が高まり、血管がボコボコとこぶのように膨らみます。足がむくむ、重い、だるいといった症状を伴うことも多いですが、初期の場合は大きな見た目の変化がなく、むくみやこむら返りなどの症状だけが現れることも。逆流が続くと皮膚や皮下組織に酸素が届きにくくなり、皮膚のバリア機能が低下して炎症や感染が起きる可能性があります。また、血液が滞留することによって老廃物や毒素が蓄積されると、皮膚炎や潰瘍のリスクが高まります。
- Q深部静脈血栓症についても、原因と症状をお聞きしたいです。
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A
▲充実した検査機器で患者の安心につなげる
深部静脈血栓症(DVT)は、足や骨盤の深部にある静脈に血栓ができて血管が詰まる病気です。血栓ができると静脈が塞がれて血液の流れが滞るため、突然足が膨張し、痛みや皮膚の発赤が起こります。これが深部静脈血栓症の急性期で、放っておくと血栓が肺に飛んで呼吸困難を起こし、重症例では失神や心停止などを起こすことがあります。深部静脈血栓症は命に関わる病気であり、急性期の迅速な治療が欠かせないのです。ただし、急性期を経て血栓が少しずつ溶けていく慢性期に深部静脈の弁が変形し、血液が逆流する場合があることにも注意が必要です。このときに適切なケアをしないと、皮膚炎や潰瘍などの後遺症が出るリスクが高くなります。
- Q血管外科を受診すると、どのような検査が行われるのですか。
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A
▲患者の悩みを伺いながら治療の提案を行う
まずは問診を行います。下肢静脈瘤は、立ちっぱなしの仕事が多い方、妊娠・出産後の方などのほか、肥満、加齢、便秘、遺伝などもリスク因子ですから、見た目の症状と問診である程度推察できます。深部静脈血栓症は、他の病気や骨折などの手術の合併症として起こることが多いですが、原因不明の場合もあるため一概には言えません。どちらも超音波検査を行うことで、血液の逆流の有無や弁の状態を判別できます。下肢に検査用のゼリーを塗り、鼠径部から足首あたりまでプローブを当てながら一緒に画面で状態を確認していきますが、痛みや負担はほとんどありません。
- Qできてしまった皮膚炎や潰瘍の治療法を教えてください。
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A
▲清潔感のある環境で治療を行う
検査で静脈不全の有無を確認し、症状や進行具合によって治療法をご提案します。下肢静脈瘤は、血液の逆流を止めるためのカテーテル治療などで根治をめざせ、皮膚炎や潰瘍の解消につなげることも望めます。手術は日帰りで寝ている間に終わりますから、きっと「もっと早く来れば良かった」と感じていただけるでしょう。一方、深部静脈血栓症の後遺症による皮膚トラブルの場合、手術による治療ができません。弾性ストッキングや圧迫包帯による圧迫治療を継続しましょう。ただし、皮膚トラブルの原因が動脈性の疾患の場合、圧迫は厳禁です。思い当たる節があっても自己判断による処置はせず、必ず鑑別のための診断を受けてください。
- Q皮膚炎や潰瘍を防ぐためのセルフケアがあれば教えてください。
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A
▲血管外科の受診ハードルを下げたいと願う田中副院長
血液の停滞を防ぐために、弾性ストッキングや弾性包帯などで血流の循環を促すことが大切です。日常的なだるさやむくみには、市販されている着圧ストッキングや靴下を使用しても良いでしょう。ただし、下肢静脈瘤と診断された方や、皮膚トラブルが深部静脈血栓症の後遺症であることが明らかな方は、足首、ふくらはぎ、大腿を計測して適合するサイズの医療用弾性ストッキングを使用することが大切です。併せて、足を高く上げたり、ストレッチやウォーキングといった定期的な運動を取り入れたりすると良いでしょう。肥満を防ぐため、適切な体重を維持することも意識してください。
自由診療費用の目安
自由診療とは医療用弾性ストッキング/3740円~