服部 努 院長の独自取材記事
みんなの血管外科池袋
(豊島区/池袋駅)
最終更新日:2024/05/14

池袋駅東口から徒歩約2分という便利な場所にある「みんなの血管外科池袋」。院長の服部努先生は、長年にわたり大学病院で血管外科領域の手術を数多く手がけてきた血管外科のエキスパートだ。気軽に受診でき、忙しい人でも日帰り手術を受けられる場所をつくりたいとの思いから開業を決意したという。これまで磨き上げてきた技術をキープするために、自宅にも練習用のキットを備え、日々の努力は欠かさない。また温かな愛情にもあふれており、取材を懐深く受け止めてくれた姿からは、患者と向き合う姿勢が垣間見えた。取材では、街の喧騒を忘れるような落ち着いた空間で、ユニークなクリニック名の由来などをじっくりと聞いた。
(取材日2024年4月15日)
誰もが通いやすく気軽に手術を受けられるクリニックを
まず、ユニークなクリニック名に込めた思いからお聞かせください。

どなたでも血管外科を身近なものとして通ってほしいという思いを込めて、「みんなの血管外科池袋」という名前をつけました。ターミナル駅である池袋駅からすぐ近くのこの場所を開業の地に選んだのも、誰でも通いやすいようにしたいと思ったからです。また、大学病院で25年間にわたり研鑽を積み、身につけた技術をより身近な場所で皆さんに提供したいという思いもありました。シャント形成や下肢静脈瘤手術などの血管外科関連の手術をメインとするクリニックは珍しいかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。後進には、外科医のキャリアとしてこのような道もあると伝えることもできたらうれしいですね。
広い手術室が2つあるそうですね。
そうですね。当院は基本的に二診制で、僕ともう1人の医師が同時に手術を行えるようになっています。また、手術用機器は先進のものを導入しました。日帰り手術のみの提供となりますが、患者さんには安心感を抱いていただけるのではないでしょうか。ちなみに診察室も2つあり、それぞれに大学病院などで用いられているレベルの超音波検査機器を置いています。また、患者さんが診療時間よりも早く着いた時、クリニック前で立ったままお待ちになることのないよう外待合室も造りました。
血管外科というのはどのような診療科なのでしょうか?

主に血管の病気の診断と治療を行っています。血管の病気と聞くと自分とは関係ないと思う方も多いかもしれませんが、実は非常に身近なもの。例えば代表的なものでいうと動脈硬化ですね。狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症などの発症リスクを高めるといわれている病気です。近年、日本人の食生活の欧米化に伴い増加傾向にあります。他にも血管の病気は、動脈瘤などの血管変性疾患、血管の炎症、膠原病など血管に症状が特異的に出現する病気などさまざま。このように、血管の病気は身近なものが多く存在しているため、少しでも気になることがあれば気軽にご相談ください。土日祝日も診療するので、平日は仕事で忙しいという方にも利用していただければと思います。
長年の経験で培ったスキルと深い愛で患者を支える
先生が血管外科の医師を志した理由を教えていただけますか。

幼稚園の時に車にひかれて足を骨折したことから始まり、高校生になるまで外科のお世話になることが多かったため、小さい頃からずっと「外科医になりたい」と思っていました。外科の中でも血管外科を選んだのは、基本的に良性疾患を扱う分野だからです。例えば悪性腫瘍であるがんは、どんなに良い手術ができたとしても病気の勢いに勝てず、患者さんを救うことが難しいということも多いです。一方良性疾患は医師のスキルでほとんど決まるといわれているのです。自分の努力が反映されやすい、血管外科のそういう点に興味を持ちました。大学病院では一通りの経験をしてきましたが、現状に満足するのではなく、今後も技術をキープする努力が大事だと思っています。そのため私は糸を結んだり縫合したりといった基礎練習を、今でも毎日欠かすことはありません。
これまでの経験で忘れられない患者さんはいますか。
血管外科の手術は医師の技量が結果に反映されやすいからこそやりがいもありますが、その分つらさもありました。それは勤務医時代のこと。大学病院には非常に難しい症例の方も数多く訪れます。そのため患者さんの中には、力の限りを尽くしましたが助けられなかった方も……。その方のことを今でも決して忘れることはなく、「もっとできることがあったのではないか」と思い出しています。もっとドライな考え方もあるのかもしれませんが、僕にはできませんでした。しかし、このウエットな性分があったからこそ、確かな技術を身につけようと常に必死で走り続けることができたのだと思います。
診療にあたって大切にしていることは何でしょうか。

モニターではなく患者さんを見て、しっかりと向き合うことを大事にしています。いつもの薬の処方だけで来た方でも、いろいろなところを診て触れて、変わったことはないか確かめるようにしていますね。先日、僕がおなかの動脈瘤を手術した患者さんと久しぶりにお会いした時、すっかり痩せてしまっていたのです。事情を聞いてみたら、実は末期がんだとわかりましたが、いつもと変わらず丁寧に診させていただきました。するとその方は、「もう末期だから、誰もこんなふうにじっくり診察してくれないよ」と冗談めかしながらも涙をこぼされたんです。当院でもどんな状況の方も受け止めて、愛情を持って真摯に接していきたいと思っています。
スタッフとも力を合わせ温かな場所をつくりたい
今後の展望についてお聞かせください。

明るくて優しいスタッフたちが日々頑張ってくれているので、喜んで働いてもらえる環境にしていきたいです。医療は無償の愛で成立しているともいわれますが、犠牲になるばかりで自分が不幸せでは人には優しくできないと僕は考えています。だからこそ、スタッフたちを家族同様に幸せでいっぱいにして、あふれ出る愛で患者さんを包み込むような場所にできたらと思っています。もちろん、常に先進的な技術を取り入れるなどバージョンアップも欠かせませんが、それだけでは不十分です。「医療とは医学・医術、加えて医道という人と人が接する上で大切なものがある。すなわち医療はLOVEだ」という恩師からの言葉を胸に25年間、外科医として歩んできましたが、これからも座右の銘であることは変わりません。
お忙しい毎日ですがリフレッシュ法はありますか。
家族のために料理を作ることでしょうか。最近はワタリガニのしょうゆ漬けのカンジャンケジャンを作りました。1ヵ月ほどかけて豚肉の塩漬けのパンチェッタに挑戦したこともあります。お酒に合う一品だけではなく、子どもたちから「ラーメン食べたい」とリクエストがあれば、スープの仕込みから始めますよ。ただ、気持ちに余裕がある時だけという感じですね。いろいろと考えなければいけないことがある時には、なかなかできません。ですから家内も「料理している時は楽しそうね」と、僕がキッチンに立っていると安心すると言っています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

血管の病気は意外と身近に潜んでいるものです。例えば足がだるい・重苦しい・むくんでいるといった症状は、下肢静脈瘤が原因という場合もあります。決して珍しい疾患ではありません。また、新たな国民病ともいわれる慢性腎臓病に関しては、ご自身だけではなく身近な人が悩んでいるという方も増えているのではないでしょうか。何となく不調を感じても、その状態が続くうちにいつしか当たり前になってしまい、受診の機会を逃している人も少なくありません。当院ではシャント形成から管理までを行っていくので、些細なことでも気になることがあればぜひ一度ご相談いただければと思います。