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北村 邦夫 院長の独自取材記事

市ヶ谷ウィメンズヘルス&ウェルネスクリニック

(新宿区/市ヶ谷駅)

最終更新日:2026/10/30

北村邦夫院長 市ヶ谷ウィメンズヘルス&ウェルネスクリニック main

市ヶ谷駅から徒歩1分のビル2階にある「市ヶ谷ウィメンズヘルス&ウェルネスクリニック」。木目とグレーを基調にしたモダンな院内は、まるでヘアサロンのように洗練されている。院長の北村邦夫先生は自治医科大学の一期生で、長年にわたり、女性の健康と権利を守る活動に力を注いできた産婦人科医。低用量ピルや緊急避妊薬の承認活動、HPVワクチンの開発に関わる臨床試験に携わるとともに、著書や講演を通じた情報発信にも尽力してきた。「ゆりかごから墓場まで」をコンセプトに、思春期から老年期まで女性の生涯に寄り添う診療を実践。「婦人科は受診のハードルが高いと言われますが、安心して相談できる環境をつくりたいんです」と語る物腰やわらかな北村先生に、月経や子宮頸がん予防など、女性の健康への思いについて詳しく聞いた。

(取材日2026年10月1日)

「ゆりかごから墓場まで」女性の一生に寄り添う

院長に就任された経緯を教えてください。

北村邦夫院長 市ヶ谷ウィメンズヘルス&ウェルネスクリニック1

私はこれまで一般社団法人日本家族計画協会の理事長や会長を務め、低用量ピルや緊急避妊薬の承認に向けた活動や、子宮頸がん予防ワクチンの開発にも携わってきました。同協会が運営するクリニックにおいて、この市ヶ谷の地で三十年余にわたり婦人科診療を続けてまいりましたが、所属組織の移転に伴い、閉院することになったのです。その折、以前から親交のあった医療法人社団雄秀会の村上雄太理事長が声をかけてくださり、新たな診療の場として当院で院長を務めることになりました。私を長く頼りにしてくださる患者さんがいる以上、この地域での診療を途絶えさせるわけにはいきません。場所や組織の形は変わっても、生涯にわたって女性の健康を支えるという志は一貫しています。

どのような方針で診療に取り組んでいますか。

当院が大切にしているのは、「ゆりかごから墓場まで」、つまり女性の生涯にわたって健康を支えるという考え方です。女性には、生まれたばかりの頃から高齢期に至るまで、それぞれの年代に特有の病気やトラブルがあります。月経が始まる前のお子さんにも、閉経を迎えた後の女性にも、婦人科的なサポートが必要になる場面は少なくありません。私たちはSRHR(Sexual and Reproductive Health and Rights)、すなわち「性と生殖に関する健康と権利」という考え方を軸に、生涯を通じた女性の健康支援に取り組んでいます。一時的な症状への対処にとどまらず、その方のライフステージ全体を見渡しながら産婦人科医の立場で丁寧に寄り添うこと、それが当院の根幹です。婦人科は受診のハードルが高いと言われがちですが、どの年代の方にも気軽に頼っていただける場でありたいと考えています。

受診しやすい環境をつくるために取り組んでいることはありますか。

北村邦夫院長 市ヶ谷ウィメンズヘルス&ウェルネスクリニック2

婦人科の受診をためらう方の声に応えるため、いくつかの工夫を重ねています。まず、インターネットを通じた予約システムを導入しました。患者さんの都合に合わせて予約でき、院内での待ち時間の軽減にもつながっています。また、女性医師を中心とした診療体制を整え、スタッフも女性が中心です。私は男性の産婦人科医ですが、女性の医師に診てもらいたいという声があるのは事実であり、その要望に応えられる環境をつくることが大切だと考えました。さらに、検査や治療に至る前の段階でも相談を受けられるよう、相談室を設けています。すべてが検査や治療に直結するわけではありませんが、まず話を聞いてもらえる場所があることで、受診への一歩が踏み出しやすくなるのではないでしょうか。

ピルの処方や子宮頸がん予防に注力

月経に関する悩みで来院される方も多いのでしょうか。

北村邦夫院長 市ヶ谷ウィメンズヘルス&ウェルネスクリニック3

月経痛を訴える女性は実に多くいらっしゃいます。「生理痛はあって当たり前」「女性なら我慢するもの」と思い込み、つらい痛みを我慢している方が少なくありません。かつて女性が生涯に経験する月経は、50回ほどでした。しかし、出産回数が減った現代では約450回にも及びます。妊娠を計画していない時期につらい月経症状を我慢し続ける必要はありません。保険適用のLEP製剤、子宮内黄体ホルモン放出システムなど月経痛を緩和するための治療の選択肢は豊富にあり、当院のスタッフも知識をしっかり持っています。私自身も「ピルの邦ちゃん」の愛称で呼ばれたこともあって、特にピルの処方には注力していますので、ぜひご相談ください。月経痛やPMSなど、正しい知識の啓発により女性が学びやすく働きやすい環境をつくること、それが私たちの日々取り組んでいる課題です。

子宮頸がんの予防や検査についても、注力されていると聞きました。

子宮頸がんの原因はHPVというウイルスであることが明らかになっており、現在は9価のHPVワクチンを接種することで発症リスクの大幅な低減が期待できます。私自身、このワクチンの開発にあたって臨床試験に携わった経験があり、科学がもたらした恩恵を一人でも多くの女性に届けたいという強い思いがあります。ワクチンは原因であるHPVの侵入そのものをブロックするための一次予防策であり、検診による早期発見とは役割が異なります。万が一、病気が疑われるときには精密検査が必要になります。当院では、細胞診に加え、コルポスコープ(子宮頸部拡大内視鏡)を用いた検査まで対応しており、さらに精密な検査や治療が必要な場合には、近隣の高次医療機関へ紹介するシステムも整えています。

そのほかに対応されている疾患やお悩みについて教えてください。

北村邦夫院長 市ヶ谷ウィメンズヘルス&ウェルネスクリニック4

月経に関することや子宮頸がん予防に限らず、各ライフステージに応じた課題に幅広く対応しています。例えば更年期を迎えれば、更年期特有の不調に対するサポートへと移行していきます。小児期のお子さんの婦人科的なトラブルに対応することもあり、外陰部の炎症やおりものなど、大人とは異なる婦人科的な問題が起こることもあります。お子さんをお持ちの親御さんには、お子さんの体の変化にぜひ関心を持っていただきたいと思います。私のもとには15歳の頃から通い続けて45歳、50歳になった患者さんもおられます。一人の女性の人生に長く関わることで見えてくるものがあり、それこそが「ゆりかごから墓場まで」の実践だと感じています。

「知らせないのは罪」何でも相談できる場をめざして

患者さんへの情報提供も積極的にされていますね。

北村邦夫院長 市ヶ谷ウィメンズヘルス&ウェルネスクリニック5

「知らないのは愚か、知らせないのは罪」という言葉を、私は常に胸に置いています。80年、90年と生きることが当たり前の時代に、知らないがために大切な機会を逃してしまうのはとても残念なことです。だからこそ、私たち医療従事者は知らせることに熱心であるべきだと考えています。私自身、長年にわたり著書の執筆や講演を通じて、ピルやHPVワクチン、思春期の体の変化、性教育など幅広いテーマで情報を届けてまいりました。日々の診療でも、治療や検査だけでなく、相談の段階から必要な知識をお伝えすることを大切にしています。正しい情報にふれることで、ご自身の体について納得のいく選択ができるようになる。その手助けをすることが私たちの役割です。

患者さんと接する際に心がけていることを教えてください。

大切にしているのは、安心していただける雰囲気をつくることです。私は相談室で患者さんのお話を伺う機会も多いですが、そこでは婦人科の枠を超えた話題が出ることも珍しくありません。結婚や離婚、パートナーとの関係のことなど、一見すると婦人科とは無関係に思えるご相談もあります。けれど、そうしたお話の中に診療に必要な情報が含まれていることは決して少なくありません。病気だけを診るのではなく、その方の生活や人生にも目を向ける。まず話を聞き、背景を理解したうえで、一緒に解決策を考えることを大切にしています。検査や処方の前段階にある「相談」という時間を、私たちは診療の大切な一部として位置づけています。

最後に、今後の展望と読者へメッセージをお願いします。

北村邦夫院長 市ヶ谷ウィメンズヘルス&ウェルネスクリニック6

当院は一般的な婦人科診療に加え、ユースクリニックとして25歳未満の方や、思春期の方の心と体に関するお悩みの相談にも応じています。一方で、長く通ってくださる患者さんの中には、年齢を重ねるにつれて婦人科の範囲を超えた不調が出てくる方もおられます。私の力には当然ながら限りがありますが、診療科を超えた紹介先との関係をしっかり築いておりますので、必要に応じて適切な医療機関へおつなぎすることが可能です。婦人科に限らず、体のことで気になることがあれば、きっかけはどうぞ当院で構いません。ご相談いただけたらと思います。