橘 恵 院長の独自取材記事
内科・糖尿病内科 天王寺めぐみクリニック
(大阪市天王寺区/桃谷駅)
最終更新日:2025/11/20
桃谷駅西口のすぐ目の前という通院しやすい立地にある「内科・糖尿病内科天王寺 めぐみクリニック」。2024年に同院を開業したのが院長の橘恵(たちばな・めぐみ)先生だ。橘先生は、これまでに病院やクリニックで糖尿病と生活習慣病を中心に、一般内科から救急医療まで幅広い診療経験を積んできた。橘先生だけでなく、受付スタッフ、看護師、管理栄養士などすべてのスタッフが患者との対話を大切にし、一人ひとりに適した診療を提供している。「糖尿病の診療が好き」と語る橘院長に、診療体制や糖尿病治療について話を聞いた。
(取材日2025年7月22日)
チーム一丸となり、患者に親身になって寄り添う
開業から1年がたち、変化したことはありますか?

「人を診て、安心できる治療結果を患者さんとともにつくっていく」という実現したい医療に向け、スタッフ全員の協力のもと、チーム全体で患者さんの治療のあたることができた1年でした。看護師や管理栄養士などのスタッフがそれぞれの強みを生かし、多方面からアプローチをしています。看護師は日常生活での困り事や不安、疑問についてを聞き取り、療養指導を行います。また、ご自宅で使用いただく医療機器についても丁寧に指導を行います。管理栄養士は食事内容や食習慣など、管理栄養士だからこそ聞き取れる情報から、患者さんに適した提案を行います。スタッフ全員が患者さんの状態を親身になって聞き取るので、患者さんも安心してお話していただいています。このため、より質の高い医療が行え、私自身も安心して治療にあたっています。
糖尿病診療におけるモットーを教えてください。
治療を始める上で最も大切なのは、患者さんご本人の意思です。医学的にどのようなアプローチが望ましいか、患者さんはどうしたいかをじっくり話し合います。正しいからと言って医療者側が良いと思う治療を押しつけてしまうと、治療の継続は困難です。「薬は飲みたくない、増やしたくない」「もう少し様子を見たい」といったご意向があり、緊急性がなければ、できる限り応えます。血糖測定機器などを活用し、患者さんとともに状態把握に努め、生活習慣などで改善できるところを探します。さまざまな情報が氾濫する中、病気と上手に付き合えるよう、また病気にならないようサポートするのが私たちの役割です。治療が生活の中心にならないよう、食事や運動を楽しみながら取り入れるのが当院のモットーです。会話を通じて一人ひとりの生活や趣味嗜好に合った方法を提案し、「前向きになれた」「来て良かった」と言っていただけることが、私の喜びです。
糖尿病の治療で注射は必要なのでしょうか?

これまで糖尿病治療で「注射」といえばインスリン注射でした。そして「一度始めたら一生やめられない」と思われがちです。しかしGLP-1製剤などの登場により、注射の選択肢は広がっています。インスリン注射も改良が進み、長時間安定した効果が見込める製剤や、体に合った物を選べるようになりました。原因にもよりますが、血糖が高い状態が続くとき、早めにインスリン注射を使って膵臓を休ませることで、最終的に中止できることもあります。GLP-1製剤で減量し、インスリン注射の回数を減らしたり、やめられたケースもあります。一方で、命を守るためにインスリン注射が不可欠な場合もあります。糖尿病の原因に応じて治療法は異なるため、インスリンの意味や治療の見通しを丁寧に説明しながら進めています。
近隣の医療機関との連携で病気の早期発見をめざす
療養に対するモチベーションはどのように維持したらいいでしょうか?

糖尿病と付き合っていく中で、思うようにいかないときはあります。療養に時間を割ける時はいいけれど、例えばご家族の介護やお仕事などで忙しくなると食生活がくずれてしまい、悪化してしまうことも。人生の中で自分のペースを保てないタイミングは誰しもに訪れます。そういう時には良い状態をキープできるよう一緒に考えていきます。定期的に診察に来ていただくことでその時に合ったベストな選択をしていくことができます。
啓発用の資材も充実していますね。
健康に関する知識を持っておくことで、病気になった時にも向き合い方が変わってきます。そのため、患者さんが知識をつけていくことはとても大事です。最近は「ヘルスリテラシー」という言葉も耳にしますよね。当院では管理栄養士による栄養指導や看護師からのアドバイスも含め、患者さんが病気について知る機会が多いように思います。院内には飲料の糖質量が視覚的にわかるよう砂糖を入れたペットボトルや栄養指導に用いるフードモデルも置いていますし、待合室にはさまざまなパンフレットも取りそろえています。診察の待ち時間に気になる内容のパンフレットを読んでくださっている患者さんの姿もよく目にします。患者さんが手にしているパンフレットから心配事や関心がわかり、診療にも役立っています。
近隣の医療機関との連携体制について教えてください。

近隣の基幹病院やクリニック、医師との連携も当院の強みです。他院の先生たちとともに地域の方に向けたセミナーなども開催しており、幅広い診療科目の医師とのつながりがあります。そのため、患者さんの状態に応じて適切な医療機関を紹介することができるのです。どの先生も丁寧に優しく、的確に診てくださるので安心して紹介しています。また、大きな病院だけでの対応が難しいちょっとした困り事や症状にも対応します。大きな不調がなくてもかかりつけ医があると適切なタイミングで大きな病院を紹介できたり、病気の早期発見にもつながります。どこへ行ったらいいかわからない、何が原因かわからないという方もぜひ来ていただきたいですね。
患者の人生に伴走し、健康寿命を10歳延ばしたい
どのような状態なら受診すべきですか?

糖尿病で現れる症状には、喉が渇きやすい、トイレの回数が増えた、手足がしびれる、体重減少などがあります。初期は自覚症状が乏しく、健診で見つかることも。一方で「年齢のせいか疲れやすい」と感じて検査したら血糖値が高く、治療を開始したことで体のしんどさが取れて、「あれは糖尿病でしんどかったんだと気づいた」ということもあります。気になる症状がある方や健診で血糖値の異常を指摘された方は、ぜひ一度来院してください。「糖尿病」と一言で言っても進行度により治療法は異なります。当院では血糖値やHbA1cをすぐに測定でき、合併症や神経障害をチェックできる機器も導入しています。必要に応じて近隣の先生方と連携を取りながら合併症を調べていくことができるので、体について包括的に調べていくことができます。
今後の展望を教えてください。
患者さんの人生に伴走できるようなクリニックであり続けることが目標です。これまでにさまざまな診療に携わる中で、「健康に生きる」ことの大切さを痛感してきました。今は比較的若い年代の患者さんが多いのですが、年齢を重ねるにあたり、さまざまな不安が出てきたり、それこそ病気が出てくるのは避けられないと思っています。そのためには早期発見早期治療が必要です。患者さんと長く関わり、かかりつけ医として「健康に豊かに生きる生活」のための診療をしていきたいです。今の日本の平均寿命と同じ年齢まで健康寿命を延ばしていきたいですね。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

忙しい毎日の中で受診の時間をつくるのは簡単ではありません。しかし体は一つしかなく、向き合う時間を持ち、自分の体をメンテナンスしながら年を重ねることで、より健康で豊かな人生を送ることができます。自分が得た情報が自分の体に合っているかを相談しながら、良い体づくりをしていきませんか。治療は医師が方針を決める時代から、選択肢を提示し患者さんとともに決める時代へと変化しています。もちろん最良と思う治療法は提示するので、治療の選択を患者さんに丸投げするのではなく、一緒に選択していくのです。悩みや不安を一人で抱えず、今の状況を知ることで安心につながります。何もなければ安心、早期発見なら治療につながり、病気を治すことも可能です。不調を放置せず、10年後、20年後の未来の自分のために、ぜひご相談ください。

