小児の耳鼻咽喉科トラブルと
成人に多い睡眠時無呼吸症候群
駒込駅前耳鼻咽喉科クリニック
(豊島区/駒込駅)
最終更新日:2024/05/01


- 保険診療
子どもの鼻水や鼻詰まりがひどい、風邪かもしれないけれど幼稚園で副鼻腔炎がはやっているとも聞いた、などという場合、小児科に行くべきか、耳鼻咽喉科に行くべきか悩んでしまうことも多い。そこで、小児から高齢者まで幅広い年齢層の耳鼻咽喉科疾患を診療している「駒込駅前耳鼻咽喉科クリニック」の早坂あかね院長に、小児の疾患の特徴や耳鼻咽喉科のかかり方、さらに成人に多い睡眠時無呼吸症候群の治療など、気になる症状について詳しく聞いた。
(取材日2024年4月1日)
目次
小児の中耳炎や副鼻腔炎は鼻水の吸引が有用。大人の睡眠時無呼吸症候群にはCPAP療法を提供
- Q子どもに多い耳鼻咽喉科疾患について教えてください。
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A
▲子どものいびきには注意が必要と話す早坂院長
多いのは、耳の痛み、耳だれ、発熱、耳の腫れなどの症状が出る中耳炎や、鼻詰まり、白く粘り気のある鼻水などの症状が出る副鼻腔炎です。中耳炎は中耳の中に細菌やウイルスが侵入し炎症が起きた状態です。副鼻腔炎も風邪などの感染症から副鼻腔の粘膜に炎症が起きて、長く続くと慢性副鼻腔炎(蓄膿症)になります。副鼻腔炎から中耳炎が引き起こされる場合もあります。いびきや扁桃炎、アデノイド肥大なども子どもに多く見られます。子どもは咽頭部の骨格や筋肉が発達していないため、相対的にアデノイドや扁桃が大きくその結果、子どものいびきは成長に影響を与えるので注意が必要です。
- Q小児科と耳鼻咽喉科、どちらを受診するか迷うこともあります。
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A
▲小児から高齢者まで幅広い年齢層の疾患を診療している同院
症状が耳や鼻、のどに限られているのであれば、耳鼻咽喉科を受診すると良いでしょう。もしそれらの症状に加えて、咳が出る、おなかが痛い、下痢をしているなどといった症状も出ているのであれば小児科を受診したほうが良いですね。小児科でも耳や鼻の症状を診る先生もいますし、どちらか一つに限らなくてはいけないということもありません。小児科を受診した後に耳鼻咽喉科で鼻吸いをしてもらってください、と言われるケースもあります。どちらか一方を選ぶというのではなく、足し算で考えてもらえればと思います。
- Q中耳炎や副鼻腔炎の治療について教えてください。
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A
▲治療ガイドラインに基づき、治療法を提案する
治療ガイドラインには重症度を示すスコアがあり、それを一つの目安にその子の状況を総合的に診断して治療を行います。抗菌薬による治療が多いですが、中耳炎では鼓膜の切開など処置を行うこともあります。その場合も保護者の方に丁寧に説明してよく理解・納得してもらってから行います。副鼻腔炎や中耳炎は鼻水の吸引だけでも症状の改善が期待できる場合も多いです。小さい子どもは自分で鼻をかめませんのでご家族によるケアが必要でその方法も丁寧に説明します。私も子どもが小さいので、実体験に基づいてアドバイスしたり、それより上のお子さんについては先輩ママの体験も参考にしてお話しします。
- Q大人ではどんな疾患や相談が多いですか。
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A
▲睡眠時無呼吸症候群に関する些細な相談も可能
子どもではあまり見られず、大人に発症しやすい疾患として耳鳴りやめまいがあります。耳鳴りの原因や仕組みはまだ明らかではない部分が多いのですが、聞こえにも関連してきますし耳鳴りがストレスになって悪化することもありますので放置せずに受診してほしいと思います。めまいも耳に原因があるのか、脳疾患など他の疾患と関連があるのかを診断することが重要ですので、早めに受診してください。睡眠時無呼吸症候群で困っている方も多いです。ご家族からいびきの大きさや就寝中に息が止まっていたことを指摘されて気づく方もいますし、朝起きた時に喉や口が乾燥している、日中、眠くて仕事に集中できないと悩んで来る方もいます。
- Qその睡眠時無呼吸症候群の治療について教えてください。
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A
▲CPAP療法を提案することも
自宅で行う簡易検査もしくは病院での検査を行い、結果、睡眠時無呼吸症候群と診断された場合、そのレベルに応じてCPAP(シーパップ)療法を行います。これは寝ている間に、鼻に装置したマスクから適度に圧力をかけた空気を送り込み、気道の閉塞を防いで呼吸をしやすくするためのものです。ただ、もともと鼻詰まりのある人は、鼻呼吸ができず息苦しくなって睡眠中、マスクを外してしまうことも多く、CPAP療法を続けることは難しくなります。ですので、鼻詰まりなどのある方は投薬治療や手術などによって鼻症状の改善を図ることが優先されます。また、CPAP療法は、心不全の治療にも有用と考えられ、内科領域でも注目されています。