自覚症状なく深刻化する歯周病は
定期検診が早期発見の鍵
しげとオリーブ歯科
(高槻市/摂津富田駅)
最終更新日:2025/07/15


- 保険診療
成人のほとんどが罹患しているといわれる歯周病。自覚症状がなく進行してしまうため、歯周病の重症化を防ぐためにも、定期的な検診で予防、早期発見、早期治療に努めることが重要だ。また近年、虫歯(う蝕)は歯だけのトラブルだが、歯周病は全身の健康にさまざまな影響を及ぼすことも伝えられている。高槻市にある「しげとオリーブ歯科」では、原因となる歯石やプラークを適切に取り除くプロケアと同様にセルフケアのサポートにも力を入れていれている。そこで院長の谷口重俊先生と歯科衛生士の谷口結衣さんに、歯周病のリスクや治療方法、同院の取り組みなどについて詳しく聞いた。
(取材日2025年6月25日)
目次
症状が何もないうちからの検診が重要。プロケアと同様にセルフケアのサポートにも力を入れる
- Q歯周病とはどのような病気ですか?
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A
▲歯周病はとにかく早期発見、早期治療をしていくことがとても重要
【谷口さん】歯を支える骨や歯茎が歯周病に感染し骨が失われる病気で、日本では成人のほとんどが歯周病に罹患しているといわれています。初期では自覚症状なく進行してしまうため、検診の時に歯茎が腫れている、もしくは出血する箇所や、歯を支える骨が痩せている箇所から発見につながることが多いですね。歯周病は、本人に自覚症状が出てきた頃には、すでに重症化してしまっていることがほとんど。一度重症化してしまうと、健康な歯茎にまで戻すことはなかなか大変になってきます。そのため何もないうちから定期検診を受け、早期発見、早期治療をしていくことが、今後歯を健康的に残していくためにとても重要です。
- Q歯周病は全身の健康に及ぼす影響も大きいのだとか。
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A
▲エックス線画像を用いながら、わかりやすく患者に伝える院長
【谷口院長】近年、歯周病菌が全身にもたらす影響が注目されています。歯周病菌は、血管を通じて全身に回っていきます。例えば女性であれば、早産や低出生体重児のリスクが高まること、不妊の原因になるともいわれています。また、高齢の方であれば歯周病菌が気管に入り込むことで誤嚥性肺炎を引き起こすリスクが高まることや、慢性的な炎症が脳の神経細胞に悪影響を与えて認知症に影響を与えるといわれています。当院では、エックス線画像をお見せし、歯周病は歯を支えている骨の病気で、顔の一部の骨が溶けていること、口だけの病気ではなく全身に関連する病気であることを伝え、患者さんの年代に合わせてリスクをお伝えするようにしています。
- Qこちらでの治療の進め方について教えてください。
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A
▲患者の歯周病の状態に合わせて、3段階で治療を進めていく
【谷口さん】歯周病の状態に合わせて3段階で治療を進めています。第1段階では、表面的な歯石や着色の除去を行い、ブラッシング指導を行います。第2段階では、歯茎のポケットが深い方は、結構硬い歯石がついていることが多いので、歯茎に麻酔をかけて深めの汚れを除去します。第3段階は、歯周病がかなり進んでいる場合ですが、歯茎に麻酔をかけ歯茎を切開し、骨や歯の根っこを見ながら歯石の汚れを取って、炎症した歯茎は除去して縫合します。これは歯周ポケットを浅くすることを目的とした処置で、歯磨きなどセルフケアがしやすい口腔環境をめざします。治療が終わった後は定期検診に来ていただき、悪化しないように経過観察が重要です。
- Q患者さん自身ので行うセルフケアも重要なのですね。
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A
▲患者一人ひとりに合わせて丁寧に説明を行う
【谷口さん】当院ではメンテナンス時に患者さんに「私たちと二人三脚でやっていきましょう」とお伝えしています。なぜなら、月に1回の来院であっても、1年365日のうち私たちが介入できるのは12日のみ。歯間の汚れは2日で急激に増えるといわれているので、セルフケアが非常に重要となるわけです。また、患者さんご自身がセルフケアを頑張っているつもりでも、間違ったケアを行っている場合もあります。例えば、硬い歯ブラシでゴシゴシ磨きすぎると逆に歯茎が傷ついて痩せてしまう原因となります。そこで当院では、お一人お一人に合わせて、歯ブラシの握り方や力のかけ方、角度、歯ブラシや歯磨き粉の選び方について丁寧にお伝えします。
- Q受診の目安となる自覚症状はありますか?
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A
▲早めに受診をし、予防や早期発見、早期治療に努めることが大切
【谷口さん】歯磨きの時の出血、歯茎が痩せているなどの自覚症状があれば受診が必要です。歯が揺れている、口臭が強いといった症状が現れる場合は、すでに重症化している可能性があるので、必ず診てもらいましょう。ちなみに歯磨き時に出血しないという方でも、磨く時の力が弱すぎて出血してない場合もあるので歯科医師による診断を受けましょう。当院では適正に検査して、出血量や歯周ポケットの深さを加味して診断します。1年以上歯科医院に行っていない場合も、何かしらあると思うので歯科検診をお勧めします。いずれにせよ、ご自身の歯の健康を守るために自覚症状がないうちから受診をし、予防や早期発見、早期治療に努めることが大切です。