歯並びを悪くする原因に働きかける
MFT(口腔筋機能療法)
しげとオリーブ歯科
(高槻市/摂津富田駅)
最終更新日:2025/07/15


- 自由診療
近年、子どもの口の状態として増えているのが「口腔機能発達不全症」。いつも口がポカンと開いている、発音が不明瞭、うまく食べ物が飲み込めないといった、口の機能に関わる症状が現れるほか、全身の成長にも影響を与えるという。正常な口腔筋機能の発達を促す「MFT(口腔筋機能療法)」のニーズが高まっているが、「実際にどんなことをするのか」をイメージしづらい人も多いだろう。高槻市にある「しげとオリーブ歯科」はMFTに注力しているクリニックだ。今回、院長の谷口重俊先生に、MFTとはどんな治療なのか、そして同院が行っているMFTの流れについて解説してもらった。
(取材日2025年6月25日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- QMFTとはどのような治療なのでしょうか。
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A
MFTは、お口のトレーニングを通じて悪い歯並びの原因や癖に働きかけることを目的とした治療法で、必要に応じてシリコーン製の装置を用いた咬合育成を並行して行うこともあります。歯並びが悪くなる原因には口呼吸や舌の癖もあるんです。例えば、口呼吸で口が開きっぱなしだったり、舌を前に突き出す癖があったりすると、正しい位置に舌がなく歯に不適切な力が歯にかかって歯列に悪影響を及ぼします。そこでMFTで舌や唇、口の周辺のある筋肉のトレーニングや咬合育成によって、歯がきれいに並ぶためのお口の土台づくりを行い口呼吸の改善を図るのです。咬合育成の装置はつけ始めは違和感があってもすぐに慣れてくるお子さんがほとんどです。
- Qどのような症状があると口腔機能発達不全症が疑われますか?
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A
例えば、テレビを見ている時など集中している時に、口が開いているかどうかが口呼吸を見極めるポイントです。また睡眠時のいびき、寝相が悪いことも上の顎の骨が狭いサインとなります。いつもポカンと口が開いている、指しゃぶりがやめられない、食べるのが遅いなどの習癖がある場合もぜひご相談ください。年齢としては、上顎の骨の発育が10歳前後でピークを迎えるため、MFTを行う場合は6歳から10歳前後が適しています。なるべく早期に介入してトレーニングをしていくことで発育を促すことが大切です。早い子であれば4歳ぐらいからプレ矯正というかたちで咬合育成を始める場合もありますが、少し遅い12歳から14歳でも対応可能です。
- QMFTのメリットと同院で工夫されていることについて伺います。
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A
MFTは歯が正しく並ぶための土台づくりので、歯列を整えるために、将来的に歯を抜く矯正や、ワイヤー装置などを用いた大がかりな矯正を行う可能性を大幅に減らすことが期待できます。トレーニングには鼻呼吸、舌の位置、嚥下、唇の状態という4つの柱に沿って17項目のトレーニングがあります。月ごとに決められたトレーニングを1つずつこなしてステップアップしていきます。期間は1年半から2年と長いため、モチベーションを維持するために、当院では月に1度口の中の写真を撮って変化を感じ取ってもらえるようにしています。また習い事などで忙しいお子さんには詳しく毎日のスケジュールを聞いて、細かく計画を立てサポートしています。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診・カウンセリング
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まず日常生活で口が開いているかどうか、睡眠時の状態や睡眠の深さ、質について確認し、口呼吸の有無をチェック。アレルギー性疾患などで鼻呼吸がしづらい場合は、耳鼻咽喉科の受診を勧めることも。また、「見た目」や「食べる際のくちゃくちゃ音」といった保護者が気になっているポイントや、「食べにくい」「飲み込みにくい」など子ども自身が困っていることをそれぞれに確認。問題点を把握し治療の方向性を決める。
- 2歯並びの状態や口呼吸の検査・診断
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エックス線撮影を行う。また3Dスキャナーで採取したデータをもとにデジタル上で3D模型を作製。今の歯の状態を評価する。また呼吸テストを行い口呼吸の重症度を確認する。呼吸テストは、息止めて歩けるか、3分間水を口に含みながら鼻呼吸が連続してできるか、10回の呼吸が何秒間で終わるか、などの項目がある。
- 3検査結果および治療計画の説明
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検査をして約1週間後に検査結果、および治療計画を保護者と子どもに説明。咬合育成を開始する場合、子どもにもビジュアルを活用してわかりやすく説明するように心がけている。咬合育成に用いるマウスピース型装置の種類は複数あり、呼吸テストの結果で使用する装置を決める。期間の目安は約1年半から2年。現在の歯並びの状態、年齢、歯の重なり具合に応じてワイヤー矯正のほうが適している場合もあるため、しっかりと精査する。
- 4自宅でのMFTトレーニングと咬合育成をスタート
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MFTのレクチャーは歯科衛生士が行う。咬合育成の装置は日中1時間と就寝時に装着する。1時間続けて装着できない場合は時間を分けて行う。通院は月1回。マウスピース型装置が朝起きた時に外れていないか、日中も1時間しっかり着けているかを確認。また自宅でMFTのトレーニングが1ヵ月間できたかどうかをチェック。結果を見てある程度できていると判断すれば次のステップに移り、新たなトレーニングを指導してもらう。
- 5継続受診・メンテナンス
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咬合育成の期間が終わるまで継続して受診。長い期間の中でモチベーションが下がることもあるため、歯科医師や歯科衛生士が患者とコミュニケーションを密に取ることを大事にしている。咬合育成期間が終了後は、経過を見ながら3ヵ月に1回の目安で受診。12歳臼歯が生えてきた頃に合わせて、噛み合わせが安定するのがゴールの目安となる。
自由診療費用の目安
自由診療とは小児の咬合育成/44万円、小児のワイヤー矯正/44万円