病院に通えない患者を訪問して
心と体を支える在宅医療の重要性
横浜綱島フォレスト在宅クリニック
(横浜市港北区/綱島駅)
最終更新日:2024/04/15
- 保険診療
超高齢社会と呼ばれる現在では、自分では通院が難しくなった一人暮らしの高齢者も多い。また、病気を経て「最後は家族とともに過ごしたい」と考える患者も少なくない。そんな時に頼りになるのが、医師が患者の自宅に訪問して診療を提供する在宅医療だ。「横浜綱島フォレスト在宅クリニック」は、港北区綱島西を拠点とし、半径16キロ圏内を対象に訪問診療を行う在宅医療専門のクリニックだ。「病気の対応だけでなく、患者さんのご家族のことをはじめとする生活も含めて関わることで、患者さんの生活の質を総合的に向上していくことが、在宅医療の役割です」と話すのは、山地孝拡(やまじ・たかひろ)院長。在宅医療を検討している人が気になる訪問医療の特徴や費用、クリニックの体制について、詳しく話を聞いた。
(取材日2024年4月3日)
目次
病気への対処だけでなく、家族への支援も惜しまない。患者の生活を総合的に支えることが在宅医療の役割
- Qそもそも、訪問診療とはどういったものでしょうか?
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A
当院の訪問診療では、退院後は自宅で医療を受けたい方や、ご自身では通院できない方、がんなどの症状が末期まで進行していてご自宅で家族とともに最期の時間を過ごしたい方などを対象に、ご自宅に定期的に訪問して診察を行っています。外来と違う点としては、1日あたりの訪問数が限られていることで、お一人お一人にゆとりを持って時間を割けることと、患者さんへの関わり方ですね。訪問診療では、患者さんの病気そのものだけではなく、ケアマネジャーと連携したり、ご家族の負担にも関わったりします。患者さんがご自宅で療養する日々が少しでも良くなるように、総合的にサポートを行うことが、在宅医療の役割だと考えています。
- Q自宅に来てもらうことで、費用面の負担も気になるところです。
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A
費用面では、外来と比較すると高いというイメージをお持ちの方も多いと思います。しかし、なかなかお一人では通院が難しい方の場合、ご家族が付き添う時間的なコストや頑張って行ったものの待ち時間で疲弊してしまう体力面の心配、行き帰りの交通費などもあるでしょう。その点、月2回の定期訪問と、何かあった時には24時間365日対応で医師が伺うという保証がありますので、在宅医療の費用対効果はそう悪いものではないと思います。
- Qどういった流れで訪問診療の相談をするのでしょうか?
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A
まずはケアマネジャーの方や、患者さんご自身もしくはご家族からお電話でご相談をいただきます。基本的には、ケアマネジャーなどの関連職種、病院からのお問い合わせが多いですね。それからご自宅に訪問して、在宅医療についての詳しい説明を行い、ご同意いただければ訪問診療がスタートするという流れですね。
- Q系列院と連携して、幅広い医療につなげているとか。
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A
はい。当院の母体となる法人では、在宅医療を専門にしている当院のほかに、呼吸器や消化器、循環器などを専門とするクリニックを運営しています。ですので、訪問診療で伺う患者さんのご家族の診療はもちろん、ご家族の付き添いがあれば外出できる患者さんで、必要があれば、系列院でより精密な検査を受けていただけるよう手配することも可能です。通常、訪問診療では細かい検査をすることが難しいのですが、系列院と連携していることでスムーズに適切な医療につなげることができます。また当院では、系列院への通院が難しくなった患者さんの紹介も受けています。
- Qクリニックの在宅医療の方針について教えてください。
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A
一番大切にしているのは、患者さんの生き方や望まれている生活をきちんと尊重することですね。病気があったとしても、その中にある幸せは患者さん一人ひとりさまざまです。また、在宅医療にはご家族の協力が不可欠です。在宅で診てほしいということは、患者さんへの思いも強い一方で、実際に体験してみなければわからない介護の負担もあります。ですので、医学的なことに限定せず、ご家族からお電話で相談に乗っていますし、レスパイト入院やショートステイ、デイサービスなどの提案をさせていただきながら、患者さんとご家族が納得できて、少しでも良い日々になるようにサポートしていくことを大切にしています。