高安 武志 院長の独自取材記事
おひさま脳神経外科・歯科
(広島市中区/江波駅)
最終更新日:2024/03/01

吉島二丁目バス停から徒歩2分ほどの場所にある「おひさま脳神経外科・歯科」。脳神経外科と歯科が一緒に診療を行う、全国でも数少ないクリニックだ。医科と歯科が連携して総合的な医療を提供することをめざす同院で院長を務めるのは、日本脳神経外科学会脳神経外科専門医である高安武志先生。脳神経外科の医師としての豊富な経験を生かし、頭痛やめまい、物忘れなど、脳に関するさまざまな病気や症状に対応する。診療の際には、時間をかけてわかりやすく丁寧に説明することを何よりも大切にする高安院長。「わかりやすく説明し丁寧に診療すると時間はかかりますが、最終的に患者さんの満足度も高くなると思うのです」と優しく語る。穏やかな物腰が印象的な高安院長に、診療時の心がけや歯科部門との連携など、さまざまな話を聞いた。
(取材日2023年12月27日)
わかりやすく丁寧に説明することを何よりも大切に
2023年11月に開業されたそうですね。どのような患者さんが多く来院されていますか?

開業当初はご年配の患者さんが多くいらしていましたが、最近では当院の看板やホームページを見て来られる若い世代の患者さんも増えてきました。ご年配の患者さんでは、物忘れやめまい、ふらつきなどがあり、脳梗塞や認知症を心配していて、「脳神経外科ができたので来てみた」という方が多いですね。中高生から30~40代くらいの若い世代で多いのは、頭痛やめまいでお悩みの患者さん。ほかに、手足のしびれを訴える方や「頭をぶつけた」ということで来院される方もいます。外科を専門としていますので、頭部の外傷にも対応しているんです。近隣にお住まいの方が多いですが、少し離れたエリアにお住まいの方が通勤途中に立ち寄られることもありますね。
若くても脳梗塞などの脳の病気に注意が必要でしょうか?
まれにではありますが、若くても脳梗塞を発症することはあります。不摂生な生活を送っていたり、タバコを多く吸っていたりするとリスクが高まりますし、特定疾患の一つで脳の血管が徐々に細くなっていく病気もあるため、お子さんでも脳梗塞になる可能性があります。そうした病気を見逃さないよう、疑わしい症状が見られたら、MRI検査やCT検査を行って詳しく調べさせていただきます。検査の結果、脳梗塞などの重い病気が見つかったら、広島大学病院をはじめ、広島赤十字・原爆病院、県立広島病院、広島市立広島市民病院、その他脳神経外科を専門とする病院へと速やかにご紹介します。近隣の病院には顔見知りの先生が多く勤めていて、連携もスムーズに行えますので、ご安心ください。
診療の際にはどんなことを心がけていますか?

わかりやすい説明を最も大切にしています。わかりやすく説明し丁寧に診療すると時間はかかりますが、最終的に患者さんの満足度も高くなると思うのです。説明の際には難しい専門用語を平易な言葉に置き換え、できるだけかみ砕いてお話しするよう心がけていますね。患者さんの年齢などに応じて表現を変えるようにも工夫しています。またMRIやCTをお見せする際にも、左右が逆になっていることから丁寧に説明させていただきます。軽い脳梗塞が見つかった方には血液をサラサラにするための薬を飲んで予防することの大切さをお話ししたり、頭痛の方には説明用ツールをお渡ししたり。お一人お一人に合わせて丁寧に対応するよう努めています。
豊富な経験を生かして、病気の早期発見・予防に注力
そもそも先生はなぜ脳神経外科の医師をめざされたのですか?

小中学生の頃から「医師になりたい」と思っていたんです。一時期パイロットに憧れたこともありましたが、最終的に高校2年生の頃、医師になることを決意しました。手術に興味があったので、「医師になるなら外科がいい」と思っていましたね。自分の手を動かして病気を治すためのお手伝いができることに魅力を感じていたんです。その後医学部に入り、講義や実習で学んでいくうちに、脳の診療に惹かれるようになっていきました。学生時代に手術を見学した際、執刀医の先生が「脳は美しい」と言われて。脳は脳脊髄液という液体の中に浮かんでいて、とても神秘的なんです。脳の血管の手術だったのですが、手術も流れるように美しく、出血もほとんどせず脳と血管が分かれていくのを見て感動したことを覚えています。
勤務医時代の印象に残るエピソードをお聞かせください。
初期研修を終えて最初に勤めた病院で、医師の理想像ともいえる先生に出会いました。脳外科部長の先生で、手術が上手なことはもちろん、とても穏やかで、患者さんにいつも真摯に向き合っていらっしゃいました。私たち部下に対しても、頭ごなしに何かをおっしゃるようなことはなく、問題があったとしても、「私はこう思うよ」「こうしてみたらどうかな」などと優しく諭してくださって。先生の背中を見て、多くのことを学ばせていただきました。実のところ、当時はまだ20代で先生の良さを十分にわかっていなかったのですが、別の病院に移り、自分にも後輩ができるにつれ、先生の対応の素晴らしさがわかるように。今でもお付き合いをさせていただいていて、当院の内覧会にも来てくださったんです。
経験を重ねるにつれ、診療に対する姿勢も変わってきたのですね。

随分変わりましたね。医師になった頃は「どんどん手術したい」という気持ちが強くて。そんな私に別の先生が、「手術でトラブルが起きた時にリカバリーできるようになったら一人前。そうなった時に初めて手術を任せてもらえるよ」と教えてくださいました。経験を積み、医師になって7年目くらいに日本脳神経外科学会脳神経外科専門医の資格を取得してから、多くの手術を任せてもらえるように。手術を行うにつれ、先輩方がいろんな場面を想定しながら、トラブルが起きてもすぐに対応できるよう上手に手術をされていたんだと思い知りました。これまでの経験を生かし、脳の病気の早期発見や予防に取り組んで皆さまの健康をサポートしていきたいと考えています。
歯科とも緊密に連携して、健康を総合的にサポート
こちらのクリニックならではの強みについて教えください。

歯科部門があることが強みです。脳神経外科と歯科が一緒になったクリニックは、全国的にも少ないのではないでしょうか。先日も「顔が痛い」という患者さんがいらっしゃったのですが、当院でなら、痛みの原因が頭にあるのか歯にあるのかを医師と歯科医師で相談し合って見極めることができます。また糖尿病の患者さんが抜歯を行う場合、抜歯後の感染リスクが高まる可能性があるので注意が必要ですが、当院なら糖尿病の検査もできますので安心して治療を受けていただけます。脳卒中や認知症の患者さんは、お口の環境を整えることも大切ですが、当院なら歯のメンテナンスもしていただけます。脳神経外科と歯科が連携することで相乗効果が期待できるのではないかと考えています。
歯科部門があることは大きな強みですね。
頭痛やめまい、物忘れなどがあって脳の病気が気になっていても、大きな病院の脳神経外科にはなかなか足が向かないかもしれません。当院は歯科部門もありますので、当院の歯科部門に通っている患者さんに「脳神経外科にも行ってみようかな」と思っていただけるのではないかと思うのです。「脳神経外科を受診したいけど、ハードルが高い」と思われていた方でも気軽に来ていただけるクリニックをめざしています。
診療でお忙しい中、ご自身の健康のために行っていることはありますか?

健康のためにゴルフをしています。といってもここ最近は開業したばかりで忙しく、ほとんどできていなくて。落ち着いたらまた再開したいですね。ほかには、週1回ほど自宅で懸垂したりダンベルを使ったりして筋力トレーニングをしています。大学病院時代は医局と病棟などを行き来して比較的長い距離を歩いていたのですが、開業してからはあまり歩かなくなっていて……。意識して運動するよう心がけていますね。
最後に読者に向けたメッセージをお願いします。
開業を機に、漢方治療についても勉強しています。患者さんの中には、西洋医学では治療の対象にならないような症状を訴える方も。そうした方をサポートするために漢方薬も処方し、隣の調剤薬局にもさまざまな漢方薬をそろえてもらっています。医科と歯科が連携して全身の健康を総合的に支えることをめざしていますので、脳やお口のことでお悩みがあれば、どうぞお気軽にご来院ください。