浅野 栄一朗 理事長の独自取材記事
四谷見附矯正歯科
(新宿区/四ツ谷駅)
最終更新日:2023/12/25
四谷駅から徒歩1分、四谷見附交差点に面したビルの地下にある「四谷見附矯正歯科」は、適切に成長できなかった顎に対して「顎顔面矯正」を行うことで、噛み合わせをはじめ、鼻や目、呼吸、アレルギーなどさまざまな身体の機能的な悩みへのアプローチに努める歯科医院だ。院内へと続くアプローチからカフェのような明るく清潔感のある空間になっており、不安がちな患者の心を明るくしてくれる。診療を行うのは、快活で多くの患者から厚い信頼を寄せられている浅野栄一朗理事長。顎顔面矯正を通じて子どもをはじめとする患者の未来を少しでも明るいものにできれば、との強い思いを持つ浅野先生に、クリニックの特色や、診療の詳しい内容についてじっくりと話を聞いた。
(取材日2020年12月18日)
抜歯不要で、後戻りしにくいと言われる「顎顔面矯正」
顎顔面矯正という成長が不完全な顎にアプローチする矯正に取り組んでいるそうですね。
認知度の低い矯正方法ですが、抜歯を行う歯列矯正とは異なり、未成長のままになってしまっている顎にアプローチして歯が本来生えるべきスペースをつくり出し、口腔環境や顎周りの構造を正しい方向へと導いていくものです。近年の子どもたちの顎が食生活をはじめとする生活環境などの影響で、どんどん細くなっていることをご存じの方は多いでしょう。実際歯の本数が少ないお子さんも多くいらっしゃいます。顎が小さくなっているということは本来あるべきお顔の骨格になっていないということですが、その影響についてお考えになったことのある方は少ないと思います。特に上顎の成長がうまくいっていない子どもが多いのですが、上顎が成長していないということは口だけでなく鼻や喉、目にも影響を及ぼすこともあります。矯正を通して上顎を適切な大きさに導いていくことで、歯並びや噛み合わせだけではない幅広いお悩みにアプローチしていきたいと考えています。
顎の成長が不十分だと、口や鼻、喉、目にどんな影響を及ぼすのですか?
顎が狭いと歯並びが悪くなるのはよく知られています。ほかにも鼻周りが狭いために空気の通りが悪く、鼻詰まりを起こし口呼吸になりやすいために風邪などの感染症のほか、アレルギーにもなりやすくなります。また、体に十分な酸素が取り入れられませんから、脳や運動機能の発達に影響が出てくることも考えられます。目の筋肉も影響を受け斜視になりやすかったり、喉の構造が狭く舌が奥に引っ込んでしまうため、将来的に睡眠時無呼吸症候群になる可能性も高まります。また、活舌が悪く、舌足らずなしゃべり方になることもあります。他に、顎関節症とも関連が深く、大人の方の場合は、顎を広げることで痛みや症状の緩和を図っていきます。以前オリンピックの中継を見て思ったのですが、アスリートの方々は実に理想的な顎周りをしている方が多いですね。酸素をたくさん取り入れられることが、運動機能の向上に寄与しているのではないでしょうか。
矯正にお勧めの年齢はありますか?
成長そのものを利用できる子どものほうがより向いていますが、どんな年齢の方でもその年齢に応じた方法がありますからお気軽にご相談ください。一番のお勧めは、7歳8歳頃から開始することです。お子さんの場合は、顎を広げるための特殊な装置を用いますが、顎を広げたぶん、自然と歯が適切な位置に並んでいくことが多いためワイヤー式の矯正装置を着けずに済むこともありますし、着けるとしても短期間で済むことが多いですね。また自然と歯が並ぶことで歯並びが後戻りする可能性が低くなり、リテーナーと呼ばれる保定のための装置を着ける期間も短いことが多いです。ただ歯ぎしりなどから歯を守るために、寝る時だけ保護の意味で同様の装置を着けていただくことはあります。大人の方は顎を広げるために外科手術を行う場合もあります。
歯科医療を通じて、輝く未来を子どもたちに贈りたい
ところで、どうして浅野先生はこの矯正法に取り組まれているのですか?
お子さんは無限の可能性を持っています。しかし顎の成長が障害となっているために、本来のポテンシャルを発揮できていない恐れがあります。私は今のお子さん方が100の可能性を持っているなら、現状は30から50くらいの方が多いと感じています。ぜひそれを100にして差し上げたい、と思っているのです。せっかく夢を実現できる可能性があるのに、顎の成長が劣っているだけで未来が狭まってしまうことがあれば、それは非常に悲しいことです。私も娘を持つ親ですから、そういうお子さんが少しでも良い方向へ向かうお手伝いがしたいのです。当院の院長であり、子育て経験もある私の妻も診療を担当しておりますので、小さいお子さんもなじんでいただきやすいのではないでしょうか。
この矯正法で患者さんが疑問に思われているのはどのようなことでしょうか?
「顎を広げる」というと顔が大きくなるのでは?鼻の穴が広がってしまうのでは?という疑問をお持ちになる方がいらっしゃいます。しかし、そのようなことはありませんのでどうぞご安心ください。むしろ顎が広がり、喉の奥の構造が正しくなることを促していき、本来あるべきお顔立ちに近づけていく、とお考えくださるといいでしょう。当院では歯型やお口の中の様子を把握するのに、従来の印象材による型採りの他に3Dスキャナーも用いるなど、できる限り衛生面、安全面に配慮しながら、矯正を行っています。
顎関節症の方や、歯をすべて失った方に対してインプラント治療をしているそうですね。
顎関節症の方の噛み合わせ調整を目的としたインプラント治療です。アメリカで行われた症例発表会でも3症例発表させていただきました。歯をすべて失った患者さんにインプラントを装着する場合、4〜6本のインプラントを入れてプラスチックの入れ歯を装着することが多いのですが、私はインプラントは8〜10本は必要だと考えています。そして入れ歯ではなく、セラミックのブリッジを入れます。土台がしっかりしたインプラントとブリッジを用いることで、自分の歯のような噛み心地を再現していきたいと考えています。私はこのほかにも、歯科治療に関わる人々とともに症例を出し合うなど、歯科医師として日々研鑽を積んでいます。これまで海外で学んだ経験も生かしながら、さまざまな知識をプラスすることで、今後も患者さんにより良い治療を提供していきたいと思っています。
今後は顎顔面矯正の普及にも貢献
もうすぐ開業から10年たつそうですね。
当院は、東日本大震災の翌月に開業しました。私自身は今も福島県で開業医をしていて月曜から木曜までは福島で、金曜と土曜は四谷で診療をしています。大学卒業後、失った歯を補完する方法を主に扱う補綴科で学び、その後、日本歯科大学新潟生命歯学部の小出馨教授の顎関節治療と精密な咬合治療を学びました。小出教授が私に歯科医療の素晴らしさと楽しさを教えてくださいました。顎顔面矯正は鹿児島県の矯正歯科くろえクリニックの黒江和斗先生にご指導いただきました。今は、顎顔面矯正を行っているほかの先生方とも連携し、私が外科手術を担当したり、この矯正法に興味をお持ちの先生方を対象に勉強会を開催したりしています。患者さんは全国から来院されています。もっと顎顔面矯正を行う歯科医院が増え、多くの患者さんにとって身近な医療になることをめざして活動しています。
カフェやレストランのようなおしゃれな院内ですね。
清潔感と温かみのある居心地の良い空間をめざしました。診療はすべて完全個室で、治療法などのご説明はコンサルティングルームで行います。いずれも少しでも心地良く過ごしていただけるよう、座り心地の良い椅子を厳選したつもりです。エントランスの壁面に描かれている図は、チンパンジー・マントヒヒ・ゴリラ・人間の顔の骨格を重ねたもの。進化の過程で顎の位置が変わってきているのがわかり興味深いんですよ。ぜひ一度ご覧ください。
読者へのメッセージをお願いします。
今は上顎が狭く、鼻が詰まっているお子さんがとても多いのですが、耳鼻科での診察だけでなく、一度矯正の相談をされることをお勧めします。恩師である黒江先生は「日本の子どもたちの未来のために」と常々おっしゃっていますが、私も同じ気持ちで日々の診療に取り組んでいます。お子さんたちのより良い未来に微力ながら貢献したいと心から願っています。
自由診療費用の目安
自由診療とは小児矯正/55万円~、成人の矯正/88万円~
インプラント治療/1本33万円~
セラミックインレー/4万4000円~、メタルボンド/11万円~、ジルコボンド/13万7500円~
顎を広げる外科手術/44万円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。